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ジェンダークィアによるメンズコスメレビュー100本ノック その30:コムニコスのコミュニケーションローション

 

 

 

※本記事はアフィリエイトリンクを含みます。

 

ジェンダークィアによるメンズコスメレビュー100本ノック、その30です。

 

前回と第1回はこちら。過去回一覧は記事末尾に貼っておきます。続き物ではないので1から読む必要はありません(読んでくれたら嬉しいけど!)。以前の内容を踏まえるときはリンクを貼ります。

 

www.infernalbunny.com

 

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わたしはテストステロン投与(男性ホルモン治療)を受けているが、女性から男性への「性別移行」を目指しているわけではなく、男性ジェンダーに帰属意識はない。しかし、AFAB*1のジェンダークィアとしても、そしてわたしの生活を規定するもう一つの属性である精神障害者としても、メンズコスメが持つ可能性に注目しているので、メンズコスメの奥深い世界をより理解するために、身銭を切って100個のコスメを買って使ってレビューすることにしました。「メンズ向け」「ジェンダーレス」を明言しているブランドのアイテムを中心に、メイクアップアイテムだけではなく、スキンケア、ヘアケア、美容グッズなど幅広く取り上げる予定です。

 

第30回となる今回は、コムニコス(COMMUNICOS)のコミュニケーションローションをレビューしていきます。

 

 

 

 

 

1.結論:ボディケアと性交痛ケアは両立しない

今日は序盤からサクサクレビューしていきます。コスメ業界でローションと言えば化粧水を指すことが多いが、こちらのコミュニケーションローションのローションは性愛の文脈におけるローション、つまり潤滑剤だ。ということでこの記事では性器や自慰やセックスの話をするので、苦手な人は読まないでください。

 

潤滑剤は、膣または肛門にペニスやセックストイを挿入する前に塗布して摩擦を軽減し性交痛を防ぐために用いられることが多い。ほかにも、挿入に限らない性器接触をする際に滑りをよくしたり、身体に塗っていわゆるローションプレイをしたりと、使い方は人それぞれだ。温感機能つきのもの、いい香りのもの、食べられる(!?)もの、ブラックライトで光る(!!??)ものなど多種多様だが、基本的には「粘度のあるベタベタした液体」である。

ジェンダーレスコスメブランドであるコムニコスが出しているこちらの潤滑剤の特色は、公式サイトに「肌を保湿しつつもベタつきを軽減する仕様にしているため、潤滑ローションとしてだけでなく、ボディマッサージやボディローションとしてもお使いいただけます」とあるところだ。潤滑ローションとボディケアローションの兼用を謳うコスメは今まで見たことがありません(というか、コスメブランドが潤滑ローションを出しているのを初めて見た)。直感的には、この2つの用途の兼用は無理なのではないかと感じます。潤滑ローションは塗布後も長時間ぬめりが持続することが必要だが、ボディケアローションは肌に適度に浸透してべたつかないことが求められる。ボディケアローションがいつまでもベタベタしていたら服や布団が張りついて不快だ。

そこで、取り急ぎまずはボディケアローションとして使ってみることにした。

 

 

結論から言うと、兼用できなくはないけど向いてないと思います。普通に。

 

なんというか、普通に潤滑ローション。腕に塗ってみるとよく伸びる。マッサージするように揉んでも、一般的なボディケアアイテムよりも浸透が遅い。そして表面が浸透してからもペタペタした感触が長時間持続して不快。ボディケアとして使う理由がない。そうなるだろうと思いながら使ってみて、実際そうなった形です。

 

 
 
 
 
 
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以上をとりあえずのレビューとします。

次項からは、コムニコスとはどのようなブランドなのか、そして潤滑ローションとしてのレビューを、順を追って見ていきます。

 

 

 

2.コムニコスとは

コムニコスは同名の株式会社が運営するブランドである。株式会社コムニコスはヘアメイクアップアーティスト集団であり、撮影用ヘアメイクの派遣やメイクアップ研修などを行っている。ブランドのコムニコスは、それらの経験を生かして開発された。公式サイトには「年齢・性別の垣根をこえて」とあり、エイジレス・ジェンダーレスを志向している。

 

store.communicos.jp

 

昨今ジェンダーレスを標榜するブランドは多いが、従来美容をしてこなかった男性にどれくらいアプローチしているか、つまりジェンダーレスコスメブランドとしての実態がどれくらいあるかはブランドによって違う。コムニコスの場合は、メイクを始めるきっかけの例として「一生カッコ良い父ちゃんと言われたい。年下の奥様のために若々しくいたい。人が見た目を整えたいというきっかけは様々」ともあり、明確に男性ユーザーにフォーカスしている。男性美容と言いつつスキンケアコスメで日和るのではなくメイクアップコスメを展開しているのも特徴で、ヘアメイクアップアーティストとしての知見が生かされているようだ。パートナーや肉親間でコスメをシェアすることも提案されており、メイクを通じたコミュニケーションが推奨されている。これが会社名・ブランド名(communication+cosme)や、今回レビューするローションの商品名に繋がっている。

 

男性がメイクする動機の例として挙げられている「一生カッコ良い父ちゃんと言われたい。年下の奥様のために若々しくいたい」は、強い家父長でいたい・異性にセックスアピールを保ちたいといった従来的な男性のジェンダーロールに沿ったものである。ここではシスジェンダー・ヘテロセクシュアルの男性が強く想定されており、マジョリティの素直で普遍性のあるニーズとして筆頭に挙げられているのだろう。しかし公式サイトを見ていくと、ヘテロセクシュアルではない人々の存在も想定されているのがわかる。

会社・ブランド理念では、同性カップルに言及がある。

 

For all the people

それは、すべての人に絆を与える。

どんな型にもはまらない。性別、年齢の垣根を越えた存在。

メイクの役割の概念をくつがえす存在。

メイクを通して、今こそ、人と人との繋がりを。

Yes, He【彼氏】

Yes, She【彼女】

Yes, Couple【夫婦】

Yes, Same-sex couple【同性カップル】

Yes, Brother【兄弟】

Yes, Sister【姉妹】

Yes, Close friend【親友】

Yes, Parent and child【親子】

For all the people

「 COMMUNICOS 」

それは、すべての人に 絆 を与える。

 

さらに、コムニコスのコスメを活用するシチュエーションの例として、ゴミ出し(ワンマイルコスメとして)・オンラインミーティング(時短コスメとして)・親子3人のバーベキュー(シェアコスメとして)・金婚式ディナー(高齢カップルのコミュニケーションツールとして)に並んで、男性同士のカップルがパーティーに行く前にコンシーラーをシェアする場面がイラストつきで掲載されている。

 

store.communicos.jp

 

わたしは人並み以上にメンズコスメ/ジェンダーレスコスメに関心を持って観察しているが、はっきり同性カップルの表象を用いているブランドを見るのはこれが初めてである。上記リンクを見てもらうとわかる通り、表象としては非常に簡素で最低限だが、それでも現在の日本のブランドでは(残念ながら)珍しいことだ。

 

ほかのブランドでは、メンズコスメブランドのボッチャン(BOTCHAN)が国際カミングアウトデー(10月11日)に毎年触れているのが、同性カップルへの間接的な言及と言えるかもしれない。

 

 
 
 
 
 
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ボッチャンは2019年4月28日・29日の東京レインボープライドにも出展していた。

 

 
 
 
 
 
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ボッチャンの「自分らしく」にせよコムニコスの「性別の垣根を越えた」「すべての人に」にせよ、SOGIの多様性を単なる個性に矮小化するクリシェ的な表現から脱してはいない。マジョリティにとっての口当たりのよさが優先されており、マイノリティが直面している困難を隠蔽していると批判することはできる。そもそも「ジェンダーレス」という言葉自体、表層的な流行としてのポリティカルコレクトネスを意識した単なる「目配せ」でしかないと感じられるケースも多く、コムニコスもそのような向きと差別化はまだできていない。コムニコスは2023年3月デビューでもうすぐ1周年である。今後の動向に注目したい。

 

ちなみに株式会社コムニコスは、メンズコスメレビュー100本ノックその29で取り上げたブランメルも運営している。

 

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ブランメルは40代・50代以降の男性向けのメンズコスメブランドであった。パッケージデザインも価格も高級路線である。ブランドのコムニコスは、ブランメルに比べると安価で(それでもプチプラコスメと言うにはやや高い値づけ)、ニュートラルな印象のデザインである。

 

 

 

3.コミュニケーションローションについて

さて、コムニコスのコミュニケーションローションの話だ。

 

 
 
 
 
 
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コムニコス コミュニケーションローションstore.communicos.jp

価格:5500円 容量:5ミリリットル×12包

 

公式サイトで注文したら、同時期に購入したブランメルと同時に届きました。ブランメルは高級路線なので梱包も凝っていたが、コミュニコスは簡素で実利優先。

同時購入したので株式会社コムニコス代表の大塚香織氏からメッセージをいただいた。ありがとうございます。大塚氏はコムニコス所属のヘアメイクアップアーティストとしてもホームページに名前がある。

 

 

ローションは個包装パウチである。出先に持っていくのに便利。

 

 

モノトーンにシンプルなロゴはメンズコスメ/ジェンダーレスコスメによく採用されているデザインだ。個人的には好みなので嬉しい。

製品情報はこちら。

 

 

特徴は天然甘味料のキシリトールが配合されていることだ。「口に含んでも違和感がない仕上がり」らしい。ローションが付着した性器や身体を舐める際に口に入っても安心ですね。せっかくなのでがっつり食べてみたところ、まずは化学的な苦味ががつんと来るが、あとから爽やかな甘味と清涼感がやってきた。不味いは不味いが、少しくらいなら口に入っても大丈夫そうだ。ただし舌が微妙に痺れる。当たり前だが、食べないに越したことはないと思う。がっつり食べたいなら他社のフレーバーローションを選ぶべし。

 

 

なお、比較として、手元にあったマツモトキヨシの安価な潤滑ゼリーも食べてみたのだが、キシリトール配合とは書いていないがやはりほのかな甘味があった。潤滑ゼリーはどの商品も多少は口に入ることが想定されていると思われる。

 

 

www.matsukiyococokara-online.com

 

 

 

4.潤滑ローションとして使ってみた

ボディケアローションとしてのレビューは冒頭に書いた通りだ。

次に、潤滑ローションとしても使ってみます。

 

直近でパートナーとセックスする予定はないので、セックストイの立鳥(たとり)を使う。

 

 

立鳥のレビューは過去記事に書いています。実はフォロワーさんから、呉樹きっかけで立鳥を買ってみたらヨかったです♪ とのDMをいただいたこともある。みんな大好き立鳥。

 

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立鳥をフックにトランスジェンダーの身体性について書いたエッセイが『反トランス差別ブックレット われらはすでに共にある』に載っています(宣伝)。現代書館から発売中。

 

gendaishokanshop.stores.jp

 

普段立鳥で自慰をするときは、挿入はせずクリトリス吸引機能だけを使う。その際ローション類は使っていない。

今回は、コミュニケーションローションを塗布した上で膣挿入をしてみます。

 

……(挿入中)

 

うん、塗ってないときよりスムーズに入る(当たり前の感想)。

すみません、普段自慰でもセックスでもローションを使わないので語彙力がなく、当たり前の感想しか出てきませんでした。

こんなもんじゃないかな……。最後にローションを使ったのが10年近く前だからわからんけど……。

 

使用後シャワーを浴びたときにぬめぬめといつまでも残る感じがしなかったのはよかった。ボディケアローション兼用を謳うくらいなので、べたべたと肌に残るような油性成分主体ではないと思われる。

しかし、肌馴染みがよくすぐ洗い流せるということは、ぬめりが持続しにくいということでもある。濡れにくくて性交痛が強いに人は向かないかもしれない。基本的には自前の膣で塗れることができる人が、補助的に使うのがいいと思う。肛門挿入向きでもない気がする(肛門は分泌液を出さないので、膣用ローションよりもいっそうぬめりの持続性が重要)。

 

5.メンズコスメブランドの多機能アピールはなんのためか

結局、ボディケア用品としての実態は薄いという結論に至った。ボディケアローション兼用というのは、多機能とボーダーレスを意識するあまりついでに謳ってみただけなのかもしれない。ここには、男性に希求するためには付加価値を多めに見積もらざるを得ないメンズコスメ/ジェンダーレスコスメならではの苦し紛れがあるのではないだろうか。

過去記事で述べてきたように、メンズコスメブランドはエイジレスやサスティナビリティ、エシカル、時短、多機能など、審美的な効果効能ではない付加価値を強くアピールする傾向にある(倫理的配慮に関しては本気で取り組んでいるブランドもあれば、トレンドのカタカナ語を浅薄に並べ立てているだけのブランドもあるだろう。それは消費者が一つ一つ判断していくしかない)。レディースコスメにおいては、「毛穴をカバーする」「シミが隠れる」など、審美的な効果効能のアピールにまずは注力するブランドが多い。しかしメンズコスメにおいては、肌や顔をよくする以外の付加価値が強調され、消費体験に特別観が演出されるのである。男性はそもそも美容に抵抗があるので、肌や顔がよくなるだけではまだ動かないと判断されているのではないだろうか。また、現状美容に手をリソースを注ぐ男性は人並み以上に「美意識が高い」人に限られているので、そのような「感度の高い」男性にアピールするための工夫なのかもしれない。

 

とはいえ、コスメブランドの製品一覧に潤滑ローションがある図は初めて見るもので、新鮮ではあった。そこではコスメと潤滑ローションが日用品としてシームレスに繋がっており、メイクとセックスが同一の地平にあった。美容行動と性行動はどちらも強くジェンダー化された行為であり、好むと好まざるとに関わらず他者から性に紐づいたジャッジをされがちだ。したらジャッジされるのはもちろん、しないならしないで理由を詮索される。コスメと同じデザインの潤滑ローションは、他者の視線から自由な性そして生の在り方を示しているのかもしれない。

 

 

以上、コムニコスのコミュニケーションローションについてでした。

 

 

 

メンズコスメレビュー100本ノックの過去回一覧はこちらからどうぞ。

 

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*1:assigned female at birth の略。出生時に女性を割り当てられること。AMAB=assigned male at birth は出生時に男性を割り当てられること。