敏感肌ADHDが生活を試みる

For A Better Tomorrow

ジェンダークィアによるメンズコスメレビュー100本ノック その25:アンドビーの薬用UVプレストパウダー

 

 

 

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ジェンダークィアによるメンズコスメレビュー100本ノック、その25です。

 

過去回はこちら。続き物ではないので1から読む必要はありません(読んでくれたら嬉しいけど!)。以前の内容を踏まえるときはリンクを貼ります。

 

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わたしはテストステロン投与(男性ホルモン治療)を受けているが、女性から男性への「性別移行」を目指しているわけではなく、男性ジェンダーに帰属意識はない。しかし、AFAB*1のジェンダークィアとしても、そしてわたしの生活を規定するもう一つの属性である精神障害者としても、メンズコスメが持つ可能性に注目しているので、メンズコスメの奥深い世界をより理解するために、身銭を切って100個のコスメを買って使ってレビューすることにしました。「メンズ向け」「ジェンダーレス」を明言しているブランドのアイテムを中心に、メイクアップアイテムだけではなく、スキンケア、ヘアケア、美容グッズなど幅広く取り上げる予定です。

 

今回は、アンドビーのフェイスパウダー、薬用UVプレストパウダーをレビューしていきます。

 

 

 

 

1.アンドビーについて

ジェンダークィアによるメンズコスメレビュー100本ノックもついに第25回、折り返しの折り返しに到達した。なんですけど、今回取り上げるコスメは厳密に言うとメンズコスメではない。でももう違うのも紹介しちゃいます。だって100個もレビューしなきゃいけないんだもん、1個くらい違うの混ざっててもいいでしょ(自分で始めた企画なのになぜ被害者面?)

 

とっとと行きましょう。今回取り上げるアンドビー(&be)は、2018年に河北裕介が立ち上げたコスメブランドである。河北裕介は1975年生まれのヘア&メイクアップアーティスト。長谷川潤・平子理沙・小嶋陽菜など著名人のヘアメイクを担当し、「河北メイク」と呼ばれる作風で人気を博している。書籍やテレビ出演、YouTubeチャンネルを通じて一般の美容好きにも支持され、近年最も注目されているメイクアップアーティストの一人であろう。私生活では2014年にトップ美容家の神崎恵と結婚(2022年離婚)。著名人同士が結婚すると女性のほうが「誰々の妻」扱いされることが多い印象ですが、この二人の場合、知名度が拮抗していた上に美容界隈は女性が多い分野だからか、河北氏のほうが「神崎恵の夫」呼ばわりされていた印象があります。

 

 

 

そんな河北裕介のアンドビーは、「男性・女性問わずさまざまな人の生活に寄り添える、生活に関わるアイテム」を提案することを旨としているそうである。美容好きから敏感肌の人、小さな子どもまで使用できるアイテムをメイクアップアーティストとしての経験と親としての経験を通して提案しているとのことだが、ビジュアル面においては女性表象モデルの起用が多く、ジェンダーレスコスメブランドとしての印象は薄い。アンドビーが初めて男性モデルを用いたのは2022年5月のことで、俳優の神尾楓珠(かみおふうじゅ)をスキンケアラインのモデルに起用した。コスメ分野における男性モデルの起用は2020年ごろから一気に増えた印象なので、2018年創業で最初から万人向けを謳っているはずのブランドとしては遅いほうであろう。

 

www.oricon.co.jp

 

神尾楓珠は1999年生まれの若手俳優で、どちらかというと女性ファンが多い印象である。アンドビーでの起用も、男性にアピールしているというよりは女性ファンのほうを向いているように感じられる。メンズコスメレビュー100本ノックその19で取り上げた木村拓哉のリップの広告や錦戸亮のマスカラの広告の例からしても、男性を起用しているから男性向け・女性を起用しているから女性向けとは限らないのが広告の複雑さである。一概には言えないので、個別に判断するしかない。

 

 

 

2.アンドビーのマットベースシリーズ

河北メイクは肌をツヤっぽい質感に作り込むのが特徴の一つであり、アンドビーのベースメイクアイデムも、ツヤ質感のものが多かった。今回レビューする薬用UVプレストパウダーは、アンドビー初のマットコレクションとして2023年4月に発売されたものである。ツヤ肌にこだわってきた河北裕介だからこそできる新しいマット質感という触れ込みであった。

そのマットベースシリーズの発売と同時にブランドアンバサダーに起用されたのがINI(アイエヌアイ)である。INIは韓国発のオーディション番組出身のグローバルボーイズグループで、11人の男性からなる。

 

 

 

マットベースシリーズは、個々の販売店のSNSや店頭ポップなどでは、INIの起用に絡めて「マット質感なので男性にもおすすめ」といったプロモーションがされていた記憶がある。河北裕介のX(Twitter)でも明言されている。

 

 

しかし広告の方向性としては、依然女性消費者向けの起用とわたしには感じられる。各地で展開されていた等身大パネルを用いた販促も、女性向けの文法に沿っていると思われた。

 

2023年6月、原宿のアットコスメ東京で撮影。

 

 

総じて、現行のアンドビーは、ジェンダーレスブランドとしての実態は薄いというのがわたしの印象である。現状日本においてコスメを買うのは女性のほうが圧倒的に多いのだから、経営判断としては妥当であろう。今後チューニングを加えるかどうかはブランド次第である。

 

 

 

3.商品について

 

andbe-official.com

価格:3080円 容量:8.5グラム

 

さて、薬用UVプレストパウダーについてである。

まず、わたしは2023年5月に購入して2023年11月にほぼ使い切ったのだが、最後のほうは蓋がぶっ壊れていた

 

 

蝶つがい式のコンパクト容器が使い切る前にぶっ壊れるのは、プチプラ*2のパウダーでは当たり前の現象である。過去にはイニスフリーのパウダーもぶち壊れた。

 

 

アンドビーはドラッグストアで買えるコスメの中では比較的高めの価格帯だが、一応プチプラの範疇であるので、アンドビーの容器が特別脆弱なわけではないと思う。てか書きながら思ったけど、プチプラのコンパクト容器がぶっ壊れるのって普通ですよね……? もしかしてわたしの扱いが粗いだけ……? たしかに、コスメはひっ掴んでポーチにぶち込んで家を飛び出すことを前提にして選んでいるが、ここ1、2年はそういうこともしていないのだが……。

 

容器を壊すかは置いておいて、ADHDとしては、出先のトイレで慌ただしくメイクすることを考えてコスメを選ぶのは大事だと思っている。わたしがフェイスパウダーにおいては必ずプレストパウダーを選ぶのもそれが理由だ。過去記事でもたびたび書いてきたが、フェイスパウダーは、押し固められた固形のプレストパウダーを選ぶべきである。粉が固まっていないさらさらのルースパウダーは、粉が舞い飛んでポーチや指を汚すので持ち運びにも不便だ。

 

左がプレストパウダー、右がルースパウダー。

 

フェイスパウダーは、プレストタイプのほうがしっかり色がついてルースタイプのほうがふわっと乗るといった質感の違いもあるのだが、わたしは完全に無視している。薄づきにしたければカバー力の低いプレストタイプを探せばよいだけの話だ。日常生活においてメイクに割くことができるリソースが多くて、質感にまでこだわりたい人だけがルースパウダーを選べばよい。自分なりのバランスを考えて生活するのが大事。
アンドビーのこのパウダーも、固形なので初心者やADHD向けです。鏡とパフつきのコンパクト容器で、これ一つひっ掴んでポーチに放り込んで家を飛び出すことが可能。

 

 

容器もそこそこ薄く、持ち運びに耐える。

 

 

パフには特筆すべき点はない。ドラッグストアコスメならこんなもんだろう。

 

 

製品情報はこちら。

 

 

メラニン生成抑制効果(いわゆる美白効果。なお当ブログでは「美白」という言葉は採用しない)とシワ改善効果があるナイアシンアミドを含有しており、日焼け止めと薄化粧とスキンケアが叶う。スキンケアコスメではなくメイクアップコスメに含まれる薬用成分は濃度は高くないと思われるので過度な期待はできないが、あると嬉しいですねという感じ。

わかりにくいとは思うが一応手の甲でスウォッチしました。右側に塗布している。

 

 

色白ではないわたしが浮かないので、色はやや暗めと思われる。アンドビーは看板商品のUVミルクのナチュラルベージュもかなりしっかり濃い色であり、「色白」至上ではないようなのは好感度高いですね。

 

 

わたしは、カラーコントロール系の日焼け止めの上から使っている。ここ1年はベースメイクはごくナチュラルにするのがマイブームなのでちょうどよかった。

 

 

 

4.マット効果の実力は……?

さて、フェイスパウダーとしては気になるのが時間経過後の崩れ方・テカリ方である。アンドビーのこちらは、かなり優秀だと思っている。イニスフリーのようなミネラルパウダー系の力業で皮脂を吸収する超サラサラタイプではないが、適度に崩れにくく、崩れても汚くない。ちょうどそれを証明する画像が撮れたのでご覧ください。

 

時は2023年6月。小学校時代の友人から突然LINEが届いた。

 

 

インターネットで顔を出して活動する上で避けては通れない、リア友バレである。

幸いこの友人は、地元で最も信頼している人の一人であり、ばれてもなんの問題もなかったのでよかった。たまたまXでブログが流れてきて、参考にしてくれていたそうです。嬉しい! ちなみに感づいたきっかけは自撮りの手の写真らしい。手と文体だけでピンとくるの凄すぎない??? 髪色も髪型も昔と違うので、顔の写真を見たときはむしろ勘違いかと思って一旦引き返したらしいです。

 

話はとんとん拍子で進み、先方が東京に来るときに遊ぶことになったのが7月のこと。14時ごろにメイクをして家を出ました。フェイスパウダーはもちろんアンドビーの薬用UVプレストパウダー。

数年ぶりの再会に、話は弾む弾む(写真掲載許可済)。

 

 

この写真は盛れた気がするので、マッチングアプリをすることがあったらプロフに使おーと言ったら、マチアプにシーシャの写真を使うとチャラいやつだと思われるよとのこと。そうなんだ。

 

 

二軒目、三軒目と回るうちに……

 

 

終電を逃した。

 

渋谷のど真ん中で。

 

絶対に終電を逃さないノンバイナリーなのに。これじゃまるで東京遊びに慣れないシティノンバイナリー未満。

 

 

これは、「無敵のゾーン」に集うゴミたち。

 

 

友人はタクシーで宿泊予定のホテルに向かい、わたしはタクるには距離があるのでコンビニで軽食やメイク落としを買ってネットカフェで朝まで過ごすことに。

 

 

さて、このときの顔面を今からお見せします。

思い出してほしいが、メイクをしたのは14時である。現在時刻は深夜1時。7月の灼熱の東京で半日近くを過ごしている。おしゃべりに夢中で、ちゃんとしたメイク直しなど一回もしていない。最後に寄った磯丸水産のトイレで、手を拭く用のキッチンペーパーで皮脂を適当に抑えただけ。

そのときの顔面がこちら。どん。

 

 

けっこう綺麗じゃないですか? あ、流石に完全無加工ではないですが。あと、遊び疲れて目が死んでいるのもスルーしてください。

 

もちろんリップは落ち切っているし、毛穴も開き切っているが、真夏に一度もメイク直しせず半日経過した肌だと思えばまあまあいい線行ってるのではないだろうか。

特筆すべきは毛穴落ちの少なさである。毛穴は開いているが、嫌な感じに白くポツポツしていることはなかった。

河北コスメ、恐るべしである。

 

その後は、肌ラボのお泊りセットのクレンジングでメイク落としして、メディヒールのパックでせめてスキンケアしました。コンビニに置いてある応急処置用スキンケアセットには、メンズ用を謳うものはまだないようだった(2023年7月時点)。

 

 

めちゃくちゃカッコつけてるみたいになったパック姿。

 

 

アンドビーのパウダーの優秀さ、おわかりいただけただでしょうか。

 

 

以上、アンドビーの薬用UVプレストパウダーについてでした。

 

ちなみに友人がブログを知ったのは、ライターの絶対に終電を逃さない女さんがブログを紹介してくださったツイートが流れてきたかららしい。恐るべし万単位のフォロワーがいるインフルエンサー。

 

 

 

 

 

 

 

*1:assigned female at birth の略。出生時に女性を割り当てられること。AMAB=assigned male at birth は出生時に男性を割り当てられること。

*2:プチプライス・コスメの略語。マツキヨなどのドラッグストアや、PLAZAやロフトなどのバラエティッショップで販売されている廉価なコスメのこと。おおむね2000円以下のアイテムが多い。