ジェンダークィアによるメンズコスメレビュー100本ノックその24：男子小学生歓喜！？ドラゴンの柄のコスメまとめ

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当ブログでは、「ジェンダークィアによるメンズコスメレビュー100本ノック」と題して、女性の境遇で暮らすジェンダークィアの美容好きの目線から、さまざまなメンズコスメをレビューしてきた。

過去回はこちら。続き物ではないので1から読む必要はありません（読んでくれたら嬉しいけど！）。以前の内容を踏まえるときはリンクを貼ります。

www.infernalbunny.com

わたしはテストステロン投与（男性ホルモン治療）を受けているが、女性から男性への「性別移行」を目指しているわけではなく、男性ジェンダーに帰属意識はない。しかし、AFAB*1のジェンダークィアとしても、そしてわたしの生活を規定するもう一つの属性である精神障害者としても、メンズコスメが持つ可能性に注目しているので、メンズコスメの奥深い世界をより理解するために、身銭を切って100個のコスメを買って使ってレビューしているのである。

第24回となる今回は番外編として、ドラゴンモチーフのコスメ情報をまとめました。すべてレディース分類ブランドですが、メンズコスメに絡めて紹介します。

1．君は家庭科のドラゴンを憶えているか
2．コスメにおけるドラゴンモチーフ2023
3．インバウンド需要としてのドラゴン
4．大人向けドラゴンとしてのスキットル

1．君は家庭科のドラゴンを憶えているか

過去のメンズコスメレビュー100本ノックで、コスメのパッケージの性差について以下のように書いた。

www.infernalbunny.com

レディースコスメにおいて機能性が強調されないのは、メイクは女性ジェンダーの義務とされているので不便感があっても軽視されるからだろう。しかし一方で男性ジェンダーにおいては、機能的であることはメイクという革新的な行動においても生産性が問われている証のようでもあり、むしろ抑圧的であるとも読めるのではないでしょうか。たとえばレディースコスメにおけるラデュレの花びらチークみたいに、ビジュアル重視であまり役に立たないメンズコスメも、いずれは出てくるのかもしれません。ドラゴンの裁縫箱みたいなパッケージのメンズコスメとか……。

裁縫セットや書道セットなど、小学生、中でも男児をターゲットとした持ち物のデザインにドラゴンが多用されていることは有名である。ネットではすでに検証がなされている。ドラゴンの流行りを生み出したのはオリジナルキャラクターの企画製作会社サンワードであり、2001年から多様なドラゴン柄を打ち出しているそうだ。

教材用のドラゴンを描き続けるサンワードにインタビューしました

俺たちを魅了した「ドラゴン裁縫セット」がカタログから消えた？　生みの親に聞く「ドラゴンの現在、そして未来」 https://t.co/UiaHNkTTxT @itm_nlabより pic.twitter.com/eT1LaIubqp
— ねとらぼ (@itm_nlab) 2020年7月31日

Z世代ギリギリ生まれのわたしの体感としても、学校教材のカタログには、ドラゴンの柄の裁縫セットや布地が載っていた記憶がある。ただ、上記記事中にあるデザインほどは派手ではなく、バリエーションも少なかった気がする。世代や地域差、学校が採用したカタログ会社の差もあるのかもしれない。しかし1994年生まれの男性の友人に話を聞いたところ、彼のいた小学校では男児向け裁縫セットはすべてがドラゴン柄で、ドラゴンのバリエーションの中から選ぶしかなかったという。ドラゴンがいかに男児にウケていた（と、実態はともかく、メーカーはそう判断していた）かがわかりますね。

ちなみに、わたしが小学5年生のときにカタログから選んだ裁縫セットはドラゴンではなかった。しかし当時すでに性別違和があり、またマセた子どもにありがちなミソジニーもしっかり内面化していたので、「女性らしい」とされるデザインは避けたかった。マセていたので子どもっぽいものも嫌だった。子どもっぽい選択肢しかなくて閉口した記憶があるが、消去法で選んだのがこちら。

今もそんなに気に入った柄ではないが、新調するほどは恥ずかしくないのでそのまま使っている。自分用の安い服は破れたら即捨てがちだが、先生（同居人）の仕事用のブラウスのボタンつけなどに使う。

自分で布を選んで作ったエプロンは手元に残っていないが、黒とブルーグレーの抽象柄に、白文字のClositer Black体（デスノートのLのフォント）で英文が書いてある柄だった。こっちのほうが恥ずかしい。

自分で布を選んで作った巾着ポーチは今も残っています。過去記事で紹介したようにドクロ柄。これも若干気恥ずかしいがドクロが小さくて目立たないので使っている。

あ、このご時世なので念のため書いておきますが、ドラゴンや英字プリントやドクロのモチーフを好むのが性別違和であるなんて話は一言もしてませんからね。わたしはたままた性別違和がある児童だったが、わたしの選択はわたしの個性である（ジェンダー規範とまったくの無関係ではないが）。男児だろうが女児だろうがそれ以外だろうが、ドラゴンを好む人はいるだろう。

これはフリー素材のかっこいいドラゴン。

2．コスメにおけるドラゴンモチーフ2023

話が逸れたが、ドラゴンである。

ゲームや漫画や映画などのファンタジーで人気の神獣であり、児童に刺さる人気のモチーフであることは間違いないようだ。

ドラゴンの裁縫箱ほど派手ではないが、ドラゴンモチーフのコスメは実は存在するので、まとめていきたいと思います。

①シュウウエムラ　インビジブルレッド

【新着】【新春コスメ】シュウウエムラから深紅の限定カラーコレクションが登場　ドラゴンを配した特別パッケージ https://t.co/uC6N4Syemg pic.twitter.com/np5cazIYXo
— FASHIONSNAP Beauty (@FashionsnapBeut) 2023年11月18日

シュウウエムラ（shu uemura）の2024年1月1日から全国発売される限定コレクション「インビジブルレッド」は、赤色に金色のドラゴンが描かれたデザインである。

1月1日発売ということからしても、正月気分で浮かれた消費者を狙うコレクションである。ドラゴンというよりは、2024年の干支である辰年の竜モチーフと思われる。

②ローラメルシエ　ルナーニューイヤーコレクション

ローラメルシエ24年新春コスメ、“ドラゴン×深紅色”のスティックアイシャドウ＆名品ルースパウダー - https://t.co/vNUbiwGXOj pic.twitter.com/Va3KLOVzDO
— Fashion Press (@fashionpressnet) 2023年12月7日

ローラメルシエ（LAURA MERCIER）の2024年1月1日発売の限定コレクションも、赤色と金色の竜を基調にしている。こちらも、新年気分を盛り上げるデザインとして採用されている。

③ボビイブラウン　グロウウィズラックコレクション

ボビイブラウン“ドラゴン”着想の24年春コスメ、リッチ質感のアイシャドウや限定フェイスパレットなど - https://t.co/5bYpkRarp1 pic.twitter.com/jz9Qzs9fqM
— Fashion Press (@fashionpressnet) 2023年11月30日

ボビイブラウン（BOBBI BROWN）の2024年1月2日発売の限定コレクションも、干支に着想を得たデザイン。先述のシュウウエムラとローラメルシエとは違いパッケージに直接的に竜は描かれていないが、プレスリリースではドラゴンモチーフと明言されている。

3．インバウンド需要としてのドラゴン

以上3ブランドがドラゴンモチーフのコスメを出している。いずれもかっこいい神獣としてのドラゴンではなく、干支の動物としての採用で、がっかりした方もいるかもしれない。しかし従来のレディース分類コスメには珍しいモチーフであることは確かで、X（Twitter）では「【特定のコンテンツのキャラ】の概念コスメっぽい」という声も見られた。

ドラゴンモチーフは今後も出てくるかもしれない。2023年12月上旬現在、わたしが調べて見つかったのは上記の3つだが、2024年2月の春節に向けて新たに発売するブランドが増えるのではないだろうか。春節は中華圏における旧暦の正月で、新年の正月よりも盛大に祝われ、日本を訪れる中国人が増える。COVID-19堝も明けたとされている今、そのいわゆるインバウンド消費を狙うブランドがありそうだ。中国では竜は縁起のよいモチーフである。

4．大人向けドラゴンとしてのスキットル

過去記事で書いた「ドラゴンの裁縫箱みたいなパッケージのメンズコスメ」は半分冗談ではあるが、今後メンズコスメ市場が多様化していく中で、出てきてもおかしくないと思っている。メンズコスメレビュー100本ノックその23で取り上げたFigo（フィーゴ）のスキンローションは、なんとウイスキーのスキットル容器の形をしていた。