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ジェンダークィアによるメンズコスメレビュー100本ノック その22:メンズコスメブランドのホリデーコフレ情報2023

 

 

※本記事はアフィリエイトリンクを含みます。

 

当ブログでは、「ジェンダークィアによるメンズコスメレビュー100本ノック」と題して、女性の境遇で暮らすジェンダークィアの美容好きの目線から、さまざまなメンズコスメをレビューしてきた。

 

過去回はこちら。続き物ではないので1から読む必要はありません(読んでくれたら嬉しいけど!)。以前の内容を踏まえるときはリンクを貼ります。

 

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わたしはテストステロン投与(男性ホルモン治療)を受けているが、女性から男性への「性別移行」を目指しているわけではなく、男性ジェンダーに帰属意識はない。しかし、AFAB*1のジェンダークィアとしても、そしてわたしの生活を規定するもう一つの属性である精神障害者としても、メンズコスメが持つ可能性に注目しているので、メンズコスメの奥深い世界をより理解するために、身銭を切って100個のコスメを買って使ってレビューしているのである。

 

第22回となる今回は番外編として、メンズコスメブランド/ジェンダーレスコスメブランドのホリデーコフレ情報をまとめました。この記事を書いている今は2023年11月末で、レディース分類のコスメブランドはこぞってホリデーコフレを発売している時期である。一方メンズコスメブランドは、ホリデーコフレを作っているところはまだまだ少ないようだ。しかし今後メンズ美容が浸透するにつれて増えていくことだろう。2023年の様子を、メンズコスメ業界の現在地の記録として、記事にまとめておきます。

 

 

 

 

ホリデーコフレとは

そもそもホリデーコフレとはなにか。コフレ(coffret)とはフランス語で「宝石箱」「小箱」を指し、ホリデーコフレとは、クリスマスシーズンに限定発売されるコスメ数個のセットのことだ。各ブランドは、クリスマス限定カラーを出したり、限定デザインの華やかなパッケージを作ったりして、クリスマス気分で浮かれた消費者の財布を狙うのである。購買意欲を煽る工夫としては、先述のように特別な色やデザインの限定コスメをいくつかセットにして出すのが王道。ほかには、定番コスメをいくつかまとめてバラで買うよりお得な値段で売る、定番コスメのミニサイズを出す、限定デザインのポーチやブラシをつけるなどのパターンがある。第一弾はスキンケアアイテム、第二弾はメイクアップアイテムなど、複数種類のコフレを出すブランドも多い。ホリデーシーズンは、レディース分類ブランドにとっては一大商機なのです。

2023年の例をいくつか見てみよう。

コスメデコルテ(DECORTÉ)は、人気の化粧下地の限定ミニサイズと人気のフェイスパウダーの限定色にアイシャドウとアイライナーをセットにしている。ポーチもついてきて8250円はお得だ。

 

 

ジルスチュアート(JILL STUART Beauty)は、「花々が咲き誇るユートピア」をテーマに、華やかな限定デザインのアイシャドウ・チーク・リップ・ネイルオイルを展開。

 

 

Dior(ディオール)は、パリのDior本店を模した華麗なボックスにミニサイズの香水・美容液・リップを詰めている。

 

 

サボン(SAVON)は、限定の香りのシャワーオイルと、ボディスクラブ・ボディローション・オードトワレが現品サイズで入って、さらに非売品のスノードームまでついてくる豪華さ。なおサボンはイスラエルのブランドであり、2023年10月からパレスチナのガザ地区においてイスラエル軍による虐殺行為が続いている現在、製造工程や企業イメージなどに影響を受けている可能性は高い。

 

 

イメージ掴めたでしょうか。

なお、クリスマスシーズンに発売されることから従来はクリスマスコフレと呼ばれていたが、近年は非キリスト教圏の消費者を取り込むためにホリデーコフレと呼称するブランドが増えてきている印象だ。当ブログでもホリデーコフレと表記するようにしている。

 

 

 

メンズコスメブランドのホリデーコフレ2023

さて、そんなホリデーコフレを作っているメンズコスメブランド/ジェンダーレスコスメブランドを見ていきます。2023年現在はこうしてリストアップできるくらいしかメンズのホリデーコフレは存在しないが、いずれ増えていくと思われる。

普段は美容にあまりお金を使わない人も、気になるホリデーコフレがあったら、クリスマス気分を言い訳にしてぜひ買ってみてはいかがでしょうか。

 

1.KHAKI(カーキ)

SPECIAL COFFRET<洗顔料&オールインワンローション&ポーチ>www.khaki.jp

 

メンズスキンケアブランドKHAKIのホリデーコフレは、洗顔料とオールインワンローションにポーチをつけてギフトボックスに入れたセット。商品説明は男性ユーザー目線ではなく、どちらかというとギフト贈り主(≒女性)を想定して書かれており、女性消費者の多さが察せられる。

 

 

KHAKIについては過去記事で詳しくレビューしています。

 

www.infernalbunny.com

 

2.アスレティア

onlineshop.athletia-beauty.com

 

アスレティア(athletia)は2020年日本発のライフスタイル&スキンケアブランド。明確にメンズ向けとは謳っていないが、百貨店などではメンズコスメの棚に置かれていることが多い。旗艦店である表参道店にはヨガやピラティスのスタジオも併設されており、上記のKHAKIと同じく、スポーツのアクティブなイメージを強調してジェンダーレスに希求しているようだ。日本初のクリーンビューティーブランドを自称し、自然由来成分使用やリサイクルガラス容器使用などサスティナビリティを強調しているのも、メンズコスメレビュー100本ノックその9で述べたメンズコスメブランドの特徴に当てはまる。

ホリデーコフレは、スキンケアのセット、リップ&ボディケアのセット、ルームミスト&ボディケアのセット、ナイトケアのセットと4種類を展開。オリジナルの巾着ポーチがついてくる。アスレティアの通常ラインのパッケージはシンプルだが、ホリデーの巾着ポーチは比較的華やかなデザインである。

 

 

 

 

3.ブランメル

brummell.jp

 

ブランメル(BRUMMELL)は2023年デビューの中年男性向けメンズコスメブランド。ロンドンの老舗テーラードをコンセプトとし、ハットをモチーフにした「男心をくすぐる(公式サイトより)」パッケージデザインが特徴。

ホリデーコフレは、トナー(化粧水)とモイスチャライザー(保湿液)のセットを特別ラッピングしたもの。

 

 

4.クワトロボタニコ

quattro-botanico.com

 

クワトロボタニコ(QUATTRO BOTANICO)は、日本発の男性用ボタニカルスキンケアブランド。植物由来成分使用を売りにしている。実店舗ではバラエティショップや百貨店で見かける。

ホリデーコフレは、洗顔料・化粧水・クリーム・ポーチのセット。商品名は「スキンケアセレクション2023」で、公式サイトにはホリデーともクリスマスともコフレとも書いておらず、クリスマスの浮かれ感は排除されている。しかし発売時のプレスリリースにはしっかり「クリスマスコフレ『ボタニカル スキンケア セレクション 2023』(税込7,480円)を2023年11月8日(水)より数量限定で発売します」とあり、明確にクリスマス商品である。

 

prtimes.jp

 

商品説明は終始男性ユーザー目線ではなくギフトの贈り主目線で書いてあり、先述のKHAKIに似ている。クリスマスに自分用に美容関係の商品を買うという行動に馴染みがない男性への配慮と、ギフトとして買ってほしい女性への希求を両立させようとした結果なのではないでしょうか。

 

 

5.ナナチュラル

7NaNaturalホリデーコフレnanatural.jp

 

ナナチュラル(7NaNatural)は2022年日本発のクリーンビューティーブランド。天然由来成分100%使用が売りである(一部カラーはヴィーガン処方)。ジェンダーレスブランドだが、強いて男性美容に取り組んでいるというよりは、現代的な倫理的配慮の一環としてジェンダーフリーを標榜しているパターンと見受けられる。ジェンダーレスかつオーガニックなのは先述のアスレティアと同じだが、アスレティアがメンズコスメコーナーでも売られているのに対して、ナナチュラルはメイクアップキッチンやビープルなどのオーガニックコスメのセレクトショップを主な販路としており、メンズコスメ性はアスレティアよりは強調されていない。

ホリデーコフレは、主力商品のマルチカラー7色がひとつになったパレットと、ブランチインセンス(BRANCH INCENSE)のお香のセット。ブランチインセンスは天然由来成分のお香のブランドである。

 

 

 

 

6.BAUM(バウム)

www.baumjapan.com

 

BAUMは2020年デビューの資生堂系列のジェンダーレスブランド。百貨店ではメンズコスメの棚に置かれていることが多い。樹木由来の成分が売りで、容器も木とガラスを組み合わせてサスティナブルなイメージを強調している。

ホリデーコフレは、限定の香水と、ハンドクリームとハンドウォッシュのセットの2種類。

 

 

7.ニールズヤードレメディーズ

www.nealsyard.co.jp

 

ニールズヤードレメディーズ(NEAL'S YARD REMEDIES)は1981年イギリス発のオーガニックブランド。百貨店ではメンズコスメの棚に置かれていることが多い。アスレティア然りBAUM然りニールヤードレメディーズ然り、ことさらに男性美容に注力していなくても、現代的な倫理的配慮の一環としてなんとなくジェンダーレスということになっているブランドがメンズコスメカウントされるのは、メンズコスメ業界あるあるです(呉樹調べ)。明確にメンズを謳っているブランドだけじゃ売り場が埋まらないんでしょうね。

ホリデーコフレはスキンケア中心に3種類。 

 

 

8.ドランクエレファント

www.drunkelephant.jp 

ドランクエレファント(Drunk Elephant)は2013年アメリカ初のスキンケアブランド。2019年から資生堂傘下に入り、2021年日本上陸。pH値に注目した独自の配合や、複数のクリームを自分で混ぜて塗るユニークな使用法が特徴。カラフルだがニュートラルな雰囲気のポップなパッケージで、ジェンダーレスを標榜している。

ホリデーコフレはクリーム・保湿液・日中用美容液・目元用クリームのセット。

 

 

9.LAKA(ラカ)

www.qoo10.jp

 

LAKAは2018年デビューで、韓国コスメとしては初のジェンダーニュートラルコスメブランド。男性表象のモデルと女性表象のモデルをほぼ半々で起用しており、男性向けコスメとしての実態も十分にある。一部アイテムはヴィーガン処方。

ホリデーコフレは人気のティントリップとネイルのセット。

 

 

 

 

その他男性向けホリデーコフレ

以上が2023年に観測できたメンズコスメブランド/ジェンダーレスコスメブランドのホリデーコフレである。取りこぼしもあるだろうが(とくに韓国コスメについてはブランドの興亡が激しく、追い切れていない)、それにしてもレディース分類ブランドのコフレよりは種類が少ないのがわかるだろう。

メンズコスメの有名ブランドでもホリデーコフレは出さないこともある。たとえば業界トップのバルクオム(BULK HOMME)は、2021年・2022年とホリデーコフレを出していたが、今年2023年は今のところ情報がない。

 

www.fashion-press.net

 

www.fashionsnap.com

 

男性向けホリデー商品としてはほかに、レディース分類ブランドがメンズ向けコフレも出すパターンがある。たとえば、先述したサボンはメンズコスメブランドではないが、男性向けのコフレ「トラベルギフト ジェントルマン」を出している。内容はミニサイズのシャワーオイル・ボディスクラブ・フェイスポリッシャー(スクラブ洗顔料)。プレゼントにもおすすめと謳われているので、購買客は女性も想定しているようだ。

 

www.sabon.co.jp

 

また、コスメの中でも香水はメンズとレディースの区別が比較的緩いので、香水ブランドのコフレが男性向けホリデーコフレとして美容誌で特集されているのもよく見かける。ジェンダーレス傾向の香水コフレは、メゾンマルジェラ レプリカ、トムフォード、ペンハリガンなど多数ある。

 

 

以上、男性向けホリデーコフレ情報でした。2023年の記録として書き残しておきます。

 

記事サムネイルは、伊勢丹新宿メンズ館のクリスマスの飾りつけです(撮影可の表示あり)。

 

 

 

 

 

 

*1:assigned female at birth の略。出生時に女性を割り当てられること。AMAB=assigned male at birth は出生時に男性を割り当てられること。