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渋谷ヒカリエ・夏のZINE祭り2024 出店記録&売上寄付のご報告

 

 

 

※本記事はアフィリエイトリンクを含みます。

 

2024年7月14日・15日、夏のZINE祭りの出店が無事終了しました。呉樹はパレスチナ支援のためのチャリティステッカーを販売し、計4万5259円の寄付をいただきました。
事前に公開したイベント告知記事はこちら。

 

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誘ってくれた高島鈴さん、お隣のブースの皆さん、スタッフの皆さん、お世話になりました。そしてお金を出してくださった皆さん、本当にありがとうございました。この記事ではイベント出店の記録と、寄付のご報告を書いていきます。寄付報告だけ確認したい方は目次から飛んでください。

 

 

 

 

1.出店にあたって考えていたこと

友達の高島鈴からイベントに誘われたのは2024年6月13日である。わたしは5月に文学フリマ東京に出店して以来、文フリ以外の東京のイベントに興味を持っていたのでありがたく乗っからせていただくことにする。夏のZINE祭りについては寡聞にして存じ上げなかったが、過去にも渋谷ヒカリエで開催されてきたZINEの即売会であることを知った。

文フリとは違って来場者としても参加したことがないイベントであるので、Google検索したりX(Twitter)で検索したりして、まずはイベントの規模感・空気感を掴むことにした。このタイプのインディペンデントなイベントは過去に来場したことがあったり運営側としても大学時代に多少携わったりしていたので、雰囲気はすぐ掴むことができた。

 

 

個人的に、小規模な文化系イベントには複雑な愛憎がある。わたしは地方在住の大学時代から自主映画制作や文筆をしており、映画や音楽や文章にまつわる小規模な文化コミュティに出入りしていたが、わたしが住んでいた地方のコミュニティには常にどこか薄ら寒い内輪ノリが漂っていた。24時間で消えるインスタストーリーのみでなされる告知、お洒落ではあるがひどく視認性が低い細すぎるカリグラフィーで描かれたフライヤー、住所表記さえない会場表示に、わたしはいちいち憤っていた。それらのエクスクルーシブなデザインがある種のゲートとなって文化的な水準のようなものをキープする役割があるのは容易に察せられたし、地方の小さなイベントであるから運営側としてはあまり大勢が来ても困るのも理解できたが、そのくせイベント後の飲み会ではいつものメンツの中年男性たちが「どうしたら若者にもっと来てもらえるか」などと話しているのに怒りを覚えた。わたしはADHD、発達障害者であり、つまりこの国では空気が読めなくてキモくて加害的なやつとされる側の人間であるので、空気を読んで内輪に馴染むという営みには人一倍熱意がある。その場に求められている振る舞いに自分をチューニングする作業は最低限できるほうである。取り急ぎ「空気が読める」側になることで生き延びてきたからこそ、「空気が読めない」とされて緩やかに排除されてきたであろう同胞たちを思って、わたしは常に引き裂かれてきた。しかし同時に、そのような小規模な文化コミュニティこそが、空気が読めなくてキモくて加害的なやつとされがちな人々の居場所となってきた側面があるのもよくわかるのだ。小規模なイベントには、大規模で洗練されたイベントにはない包括性のようなものは確実にあって、そこにうまくはまることができた人にはかけがえのない居場所となる。わたしも結局は小規模イベントに掬われる側の人間なのだ。本物のお店のような洗練されたイベントでは要請されるオペレーションも高度になり、わたしにはついていけないだろう。接客業のバイトでは常に劣等生だった。

 

夏のZINE祭りは、大規模イベントの洗練と小規模イベントの包括性が混在しているイベントとわたしには感じられた。出店者は一応は公募であったらしいが「いつメン」感が強いと感じられる反面、場所は渋谷ヒカリエという大規模商業施設であることが面白いと思った。わたしとしては、小規模イベントならではのアットホームな空気感のよさを壊さないようにしつつ、明文化されない場のコードを読むのが苦手な同胞たちにもなるべく雰囲気が伝わるような発信をしてバランスを取ろうと思った。

告知に当たっては、前回の文フリの告知と同じく、最寄り駅や時間など必要情報が一目でわかるような発信を心がけた。

 

 

文フリの出店レポは過去記事に書いている。

 

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2.出し物について

7月は通信制大学のテスト期間でもあり、新しくZINEを作る時間は取れそうになかったので、オリジナルステッカーを作ることにした。以前作ったエッセイ同人誌『クィアネスとメンタルヘルスのアイデンティティ・ゲーム』の表紙のリクガメがとても可愛いので、機会があればグッズ化したいと思っていたのだ。装画は斉藤鳩さん作である。

 

 

この際たくさん刷って、今後呉樹直己としてイベント出店するときに持って行きたいと思った。

 

値段を任意のカンパ制としたのは2つ理由がある。まず、ノベルティのようにしてタダで配布するという選択肢はなかった。このカメはわたしが一人で描いたものではなく鳩さんの作品でもあるので、なんの名目もなく無料でばら撒くことはできないと思った。著作権は一応譲渡という形にさせていただいており、法的にはわたしの好きにしていいのかもしれないが、個人的な仁義として無料はナシだなと思った。

次に、決まった値を付けるのも避けたかった。なぜなら、決まった値にするのであればこのサイズのステッカーは200円くらいが妥当であろうが、500円や1000円といった500円単位のきりのいい値段でないと、釣銭を用意するコストが跳ね上がるからである。わたしは文フリの本も、1000円で収まらなければ1500円まで値上げすると決めていて、実際1500円で売った。細かい計算や咄嗟のやり取りが苦手な自覚があるので、今後もオリジナルの制作物を売るならなるべく1000円か1500円にしようと思っている。それなのにステッカーが200円だと、せっかくきりのいい値段にしている意味がなくなってしまう。かといってステッカーを500円にしてしまうと、このサイズのステッカーとしては高すぎるので、買ってもらえなくなるだろう。

以上2つの理由から、値段は勝手につけてもらう任意制とした。これなら釣銭のことを考える必要が一切ない。カンパとなれば名目が必要なので、パレスチナに寄付とした。2024年6月時点で喫緊の社会課題と感じられたのでパレスチナ支援を選んだ。社会状況が違えばなにかしらべつの寄付先を見つけただろう。

 

ステッカーを作るのは初めてなので、印刷会社は初心者に優しそうな、入稿テンプレートがあるところを探した。最終的にステッカージャパンの塩ビクロス・マットで作ることにした。

 

www.stickerjapan.com

 

鳩さんには6月19日にデータ作成を依頼した。同時に依頼した別件の作業と合わせて謝礼を提示したが、最終的には1カ月ぶんのイラレの契約費を払うということで合意した。つまりは実質無償で引き受けてくださったことになる。ありがとうございます。また、既存の絵をあとからグッズ化するときの著作権周りのことについても教えていただいてためになった。

7月6日にデータを納品していただき、7月7日入稿。7月11日に実物が届いた。

 

 

サイズは横50ミリ×縦40ミリの楕円形で、枚数は当分足りるように2000枚刷った。印刷費は27910円となった。

 

 

イベントにはこのステッカーと、エッセイ同人誌の在庫の残り3冊を持って行くことにした。

 

3.名刺制作

カンパを募るからには、寄付完了報告を確認できるようにするのが筋だろうから、ステッカーと一緒に呉樹の連絡先がわかるものも自由に持って行けるようにしたいと思った。そこで名刺を刷ることにした。べつに所属などもない身分なので名刺が必要な機会自体が数えるほどしかなく、これまでは手作りの名刺(既存のカメ柄のカードに紙を切り貼りしたガチの手作り)でやりくりしていたが、この機会にちゃんと印刷することにした。

今回はデザイナーさんに頼んだりはせず、印刷会社の無料テンプレートを用いて自分でデザインした。

利用したのはラスクルのライン_名刺_シンプル_表面というテンプレートである。

 

design.raksul.com

 

これを自分で適当に編集した。デザインの専門知識は皆無なので、見る人が見たらバランスが変かもしれない。UDフォント(ユニバーサルデザインフォント)を使うことだけ意識した。用意されているフォントから、たしかUD新ゴMを選んだと思う。

仕様は通常サイズ/片面モノクロ/マット紙/標準220kgを選んで、6月25日に注文。29日に到着した。当分足りるように500枚刷って、2892円であった(うち送料500円)。

 

 

 

デザインはシンプルにして、あとからカメのはんこを押してささやかな個性を出してみたつもりである。

 

4.渋谷のカフェ紹介記事執筆

イベント会場が渋谷なので、このタイミングで渋谷のおすすめのカフェや休憩スペースを紹介する記事を執筆した。いずれ書こうと構想していたので、いい機会であった。

 

www.infernalbunny.com

 

渋谷は東京都心の中でもとりわけ人混みが酷くて疲れやすい。記事に絡めてイベントを宣伝することもできるし、実際イベントに来る人にも役に立つと思った。

 

 

 

5.イベント1日目

あっという間にイベント当日である。

流れでブース装飾はわたしが用意することになり、好きにやらせてもらった。ここでも文フリの出店経験が役に立った。

敷布は文フリのときに買った青色のサテンの布にして、段ボールで裏張りした看板を作った。イベントの空気感からして、文フリで使ったようなポスタースタンドはガチすぎて浮くと予想して用意しなかった。果たして実際に、ポスタースタンドでZINEの説明を掲げているブースはほとんどなかったので正解だったと思う。

 

 

普段から綺麗な空き箱を収集する趣味があるので、ステッカーは中くらいの空き箱に、名刺は小さい空き箱に入れた。寄付金入れには台所にあった瓶容器を流用し、フェミニズムアーティストのsuper-KIKIさんから以前いただいたFree PALESTINEの布パッチで装飾した。

1日目のブースの様子はこんな感じになった。これにあとから高島鈴のフリーペーパーが加わった。

 

 

イベント中は、出店時間の11時きっかりから20時きっかりまできっちりブースに座ることだけ自分に課していた(離席するときはXで知らせる)。小規模な即売会イベントは開始時刻や終了時刻が前後するのが当たり前で、出店者もいたりいなかったりするゆるさが魅力の一つであるが、それは明文化されていないコードである。この手のイベントに慣れていない人には勝手がわからないだろう。まあ実際は11時ぴったりに来る人も20時間際に駆け込んでくる人もいなかったが。呉樹の知名度では、ある程度イベント慣れした「広義の身内」しかほぼ来ないだろうと予想していたし、実際そうだったと思う。しかし一応、時間は必要以上に杓子定規に守ることを心がけた。もろちんこれはあくまで個人的なこだわりであり、ほかの人に強制したいわけではない。イベントになにを求めるやどこにエネルギーを注ぐかは、出店者それぞれ違うだろう。誰しもリソースは有限なのだ。

 

同人誌3冊はすぐに完売した。

ステッカーは、2万4136円を売り上げた。

 

 

わたしの小銭が足りなくなるハプニングがあったが、お隣のブース「NEW ERA Ladies」のsuper-KIKIさんと宮越里子さんに助けていただいた。ありがとうございました。

super-KIKIさんは過去記事で何度か作品を紹介したフェミニズムアーティストである。最近オンラインショップを開設されたそう。

 

superkikishop.com

 

宮越里子さんはオフラインでお会いするのは初めてだったが、わたしが寄稿している『われらはすでに共にある 反トランス差別ブックレット』のデザインを担当されたというご縁がある。

 

gendaishokanshop.stores.jp

 

 

 

6.イベント2日目

1日目を踏まえて、ブース装飾をいつくかアップデートした。

 

1日目にブースから人混みを眺めていて、渋谷という場所柄か英語話者の来場者がそこそこ多いことに気づいた。実際、白人系と思われる方がブースの前で立ち止まって、通りすがりの英語も話せる日本語話者の方が気を利かせてわたしの看板を英訳してくださる一幕もあった。そこで2日目は、英語の簡単な説明文を追加した。文章は大学講師の友達に確認してもらった。

 

 

日本語の説明看板も、A4からA3に大きくした。大きくなったぶん1日目に使ったプラスチック製のブックスタンドでは倒れてしまうと予想されたので、先生(同居人)の金属製のブックスタンドを拝借して持参した。

 

高島鈴のフリーペーパーは1日目は敷布の上に直接置いていたが、2日目は箱を用意して高い位置に置いて見やすくした。

高島鈴は指サックを買ってきてくれた。これで紙が取りやすくなった。

 

椅子なしで地べたに座っていると身体がバキバキになったので、折りたたみのキャンプ椅子のようなものが欲しかったが、わたしの家にも高島鈴の家にもなくて用意することができなかった。次回椅子なしのイベントに出店することがあれば課題としたい。

 

なお、ほかのブースがやっているような上から吊り下げるタイプの装飾がなくて地味だと感じたので、以前トランスマーチで購入したsuper-KIKIさんの作品(「家父長制を破壊せよ」などの英語メッセージがプリントされた布)で飾ろうかと思って持参したが、結局使わなかった。お隣がsuper-KIKIさんたちのブースなので来場者にとって紛らわしくなると思ったのと(すでに赤い布パッチを使っているので、実際1日目も何度か間違えられた)、これ以上は連帯の表明を超えて内輪感を醸し出してしまいそうだと思ったからである。super-KIKIさんは東京のインディペンデントなクィア/フェミニズムシーンで親しまれている方で、来場者にはKIKIさんの作品である布パッチやポリティカルアパレルを身に着けている人が本当にたくさんいた。ばらばらの来場者が結果的に同じ人の作品を着けているのは美しい光景だが、出店者側がやるのはまた違ったニュアンスを帯びると感じた。連帯と内輪感・党派性は違う。

 

ほかのブースの名札の様子。吊り下げるタイプの装飾を用いている人が多かった。

 

2日目は2万1123円を売り上げた。2日間のステッカー売上合計は4万5259円となった。

 

2日間、大きなトラブルはなく、楽しむことができた。

わたしのサインを求めてくれる人や、ブログの感想を伝えてくれる人がいた。ブログを読んで発達障害の検査を受けて治療を始めたという人もいた。わたしはブログでADHDのことを扱いはしても、ADHDの「説明」は意識的に避けている。「ADHDとはこんな障害である」とも「こんな人はADHDである」とも書かない。それでも、わたしのブログを読んで自分の特性に思い至ったという人は何人かいて、とても嬉しく思っている。皆で生き延びていきましょう。

エッセイ同人誌『クィアネスとメンタルヘルスのアイデンティティ・ゲーム』に興味を持ってくださった方もありがとうございました。必ず増刷するのでお待ちください。増刷したらブログとSNSで告知します。通販も行います。

 

会場の混雑はさほど酷くはなく、車椅子の方やベビーカーの方、乳幼児連れの方も複数いらっしゃった。都心の駅ビルだけあってエレベーターや多目的トイレも整備されている。大規模商業施設というと商業主義の塊で排他的と決めつける人もいるが、資本力がある場のほうが圧倒的に設備が整っていて、物理的な来場ハードルが低くて万人にひらかれているケースは多い。ある場がオルタナティヴとして成立しているか否かは一概に測ることはできないのだと実感する。今回の夏のZINE祭りは、階上で開催されていた呪術廻戦のイベントの帰りと思しきオタクグッズ持参の方がちらほら来場していたのがよかった。内輪だけで喋っててもしょうがないからね。

 

7.買ったもの

客として買ったものを駆け足でまとめておく。個別に紹介できなくてすみません。

 

 

●藤高和輝 ノット・ライク・ディス──トランスジェンダーと身体の哲学

●ロクサーヌ・ゲイ/野中モモ 飢える私 ままならない心と体 

●カツヤ 極私的ディーヴァZINE

●美学校 別冊 Multiple Spirits Feat. シャドーフェミニズムズ

●漫想社 漫想新聞第5・7・8・9・10号

●アヘド・タミミ/高橋若木/宮越里子 アヘド・タミミ、抵抗するパレスチナの若い世代

●ジョディ・ディーン/安藤歴/宮越里子 パレスチナはすべての人のために語っている

●super-KIKI SISTERS NOT CISTERS

●YUKI DANKONピンバッジ

●ブース名失念 マスクのキーホルダー

 

お話してくださった皆さま、ありがとうございました。

 

 

 

8.寄付報告

改めて、わたしのチャリティステッカーの売上は1日目2万4136円、2日目2万1123円の計4万5259円であった。きりよく繰り上げて4万6000円を、予告通りUNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)に寄付した。

 

https://www.unrwa.org/japan

 

 

ガザのUNRWA本部が爆撃されたとの情報もあり、寄付先選択は迷ったが、ひとまずはスピードを優先し、JVCやGFMなどのほかの窓口への送金は追い追い個人的に取り組んでいくことにした。

 

以上、寄付報告と、イベント記録でした。

 

 

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