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日記:森美術館「私たちのエコロジー 地球という惑星を生きるために」展

 

 

 

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行ってきました。

 

展覧会に行くシリーズでは内容にちなんだネイルをすることが多いですが、こちらは友だちと突発的に行ったので事前準備なし。

 

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展覧会公式サイトはこちら。

 

www.mori.art.museum

産業革命以降、特に20世紀後半に人類が地球に与えた影響は、それ以前の数万年単位の地質学的変化に匹敵すると言われています。この地球規模の環境危機は、諸工業先進国それぞれに特有かつ無数の事象や状況に端を発しているのではないか。本展はその問いから構想されました。

 

本展では、国内外のアーティスト34名による歴史的な作品から新作まで多様な表現約100点を、4つの章で紹介します。第1章「全ては繋がっている」では、環境や生態系と人間の活動が複雑に絡み合う現実に言及します。第2章「土に還る」では、1950~80年代の高度経済成長の裏で、環境汚染が問題となった日本で制作・発表されたアートを再検証し、環境問題を日本という立ち位置から見つめ直します。第3章「大いなる加速」では、人類による過度な地球資源の開発の影響を明らかにすると同時に、ある種の「希望」も提示する作品を紹介します。最終章である第4章「未来は私たちの中にある」では、アクティビズム、先住民の叡智、フェミニズム、AIや集合知(CI)、精神性(スピリチュアリティ)などさまざまな表現にみられる、最先端のテクノロジーと古来の技術の双方の考察をとおして、未来の可能性を描きます。

 

 

 

 

1.展覧会感想

面白かったです。まず森美術館といえば、六本木ヒルズの53階に位置する美術館である。東京都港区六本木は日本で最も資本主義的煌びやかさに満ちた地であり、六本木ヒルズは近隣の虎ノ門ヒルズ・麻布台ヒルズと並んでそびえ立つ、日本を代表する高層複合施設だ。日本の威信そのものを表していると言っていいだろう。運営元の森ビル株式会社が持つこれらのヒルズには文化への目配せも用意されており、2003年開業の六本木ヒルズは上階に森美術館を冠し現代美術系の展示を多数行っているほか、2014年開業の虎ノ門ヒルズは写真家の蜷川実花が展覧会を手がけ、2023年11月に開業したばかりの麻布台ヒルズはチームラボによるデジタルアートを常設……となんだか時代が下るごとにしょっぱくなっている気がするが、気のせいとしましょう。とにかく、六本木ヒルズは最も歴史のあるスゴイタカイビルなんである。今回の展覧会も、協賛には元首相麻生太郎も社長を務めた麻生グループほか、トヨタ・三菱・清水建設など錚々たる大企業・財閥が並ぶ。

 

 

エコロジーを語るには最低にして最高の環境と言っていいでしょう。

内容は面白かったです。どの作品にも、地球という惑星を大局的に見て人間中心主義を脱する姿勢は当然共通している。その上で、森美術館という場所そのもの、われわれ人間の営みそのものを極めて直接的に組み込んだ展示が興味深かった。

ダニエル・ターナーの「壁面彫刻」の一つ『気圧計ワニス』(2023)は、日本船籍のケミカル・タンカーの気圧計を美術館の壁に直にこすりつけたもの。ケミカル・タンカーは各種燃料油の輸送のほか、プラスチック、合成ゴム、合成繊維の運搬など石油・化学産業に必須の業務を担い、こんにちのグローバル化された都市生活には不可欠である。そのケミカル・タンカーと、天候測定の機器は、この地上53階の壁において並列的に結びつけられ、暗雲立ち込める未来を可視化する。

 

 

会期終了後は壁紙ごと交換するのだろうか。このようなやり方は森美術館では初めてではないようで、持続可能な美術館運営の体現の一つとして、前回の展覧会の名残りが再塗装しないままになっている部位も見られた。

 

 

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アサド・ラザの『木漏れ日』(2023)は、六本木ヒルズ森タワーのエコシステムに注目し、高層ビルという一環境をより巨視的な環境の一部として捉えようとするもの。長年故障していた天窓のロールスクリーンを補修するための足場が、照明なしで太陽光に照らされているさまは、あるべき姿への再生を表現しているという。

 

 

構築にあたっては六本木にある朝日神社の宮司によって神事も行われ、解体後は伝統工法の保全活動を行う非営利活動法人「おだわら名工舎」に返却され建材として再利用されるという。ここらへんの用意周到具合は、アートとしての緻密さというよりは大企業が噛んだエコを標榜する活動にありがちな小賢しさのほうを感じなくもない。今回の展覧会では輸送を最小限にし、可能な限り資源を再生利用するなどサステナブルな展覧会制作を行っているそうである。

 

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六本木ヒルズという場が最も生かされていたと感じたのは谷口雅邦『発芽する?プリーズ』(2023)であった。作者は華道にも通じているそうだが、作品は一般的に想起される生け花とは似ても似つかない。土と植物の根が巨大な塊を形成しており、それが東京の中心街を一望する絶景を背景に鎮座しているのである。

 

 

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写真や映像作品では、当然人間以外の生き物を捉えたものが多い中で、爬虫類が多用されているのが目を引いた。ハンス・ハーケ『10匹のカメを自由にする』(1970)、イアン・チェン『1000(サウザンド)の人生』(2023)ではリクガメが用いられ、カメ好きとしてテンションが上がった。アピチャッポン・ウィーラセタクン『ナイト・コロニー』(2021)にはトカゲ(トッケイヤモリ?)が登場した。

 

エミリヤ・シュカルヌリーテ『時の矢』(2023)ではヘビと、下半身が魚で上半身が人間に近い人魚のような生き物が登場する。解説文では人魚は「人間と魚が融合した近未来的なサイボーグ」と解釈されている。爬虫類は、哺乳類と同一空間で健康を維持するのは難しいことが多い特異的な住環境から、人間から遠く離れた原始の自然の象徴のように感じる一方で、哺乳類よりも毒々しい色合いや特有の硬い体表は人工物のようにも感じられるアンビバレントな生き物だ。爬虫類もまたサイボーグ的ではないか。

なお『時の矢』は、解説文には「過去の栄華の記憶を秘めた遺跡の上を、人間と魚が融合した近未来的なサイボーグとも解釈できる人魚が優雅に泳いでいく姿は、人間の時間軸を超えた視点で都市や文明を俯瞰することの必要性を、人間中心主義的な視点に終始してしまう現代の私たちに訴えかけているかのようです。」とある。しかし個人的には、人魚は優雅というよりはかなり頑張ってバッシャバッシャと見るからにしんどそうに泳いでいるように思われた(おそらく人間にボディスーツを着せてプールなどで実際に泳がせて、背景の海だけ合成している? 人魚の足を装着しているとバタ足を封じられるためかなりしんどそうに見える)。

 

総じて面白かったが、わたし自身の知識不足も感じた。西洋中心主義批判・加速原理批判・アクティビズム・フェミニズムなど多角的な視点が盛り込まれていることは明記されており、また原爆後遺症や戦後日本の公害問題を記録した作品には障害学との交差も感じられた。ただしそれらを十分相対化できているか、たとえば先住民族の営為を「神秘的」に演出した映像作品に自己満足的なポストコロニアリズムを超えた視点があったかは、わたしの見識では判断がつかず。専門家の批評を読みたい。

 

 

 

森美術館「私たちのエコロジー 地球という惑星を生きるために」展は2024年3月31まで開催。図録は通販可能。

 

sayusha.com

 

例によって障害者手帳提示で予約不要・入場無料でした。いつもサンキューな!

 

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2.古着とエコロジー

 

冒頭に書いたように、今回は突発的に出向いたのでネイルは工夫していなかったが、たまたま古着を着ていた。今回着ていたのは世田谷区のヴィンテージ古着の店で買ったリメイクコート。

 

 

薄手のシャツトレンチコートに、シルバーのスプレーが吹きつけてある。個人が手作業で行ったのか、ムラが見られる。

 

 

元のトレンチはJONES NEW YORK(ジョーンズニューヨーク)のもの。調べてみると、1996年アメリカ発の安価なレディースオフィスウェアブランドだそう。日本でいうナチュラルビューティーベーシックやPLSTみたいな感じですかね。

 

わたしが古着を求める理由の一つには環境問題の観点がもちろんあるが、わたしの選択が本当にエコロジーに繋がっているのか精査したことはない。古着とエコに関して、虎ノ門エリアで開催中の「服のおわりから問う - 古着の墓場ケニアからスラムの視点を交えて考える」展が今は気になっている。2月22日まで。

 

www.fashionsnap.com

 

 

 

エコロジーを考えるにあたって、わたしは興味関心事の一つである美容・服飾分野をとっかかりにすることが多い。最近考えているのは、精神障害者としての実存がわたしに求め、当ブログでも大量に発信してきた「ADHDライフハック」とエコの絶望的な相性の悪さについてである。スキンケア用品は瓶や缶を避けてプラ容器を使い捨てするのも、使い捨てを前提に安いビニール傘しか買わないのも、個人的な精神的負荷を環境負荷に転換しているだけとも言える。

 

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最近は、選べるならばプラスチックフリーパッケージやヴィーガンコスメを積極的に選んでいるが、免罪符的な自分本位の消費であると言うこともできるだろう。

 

 

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