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この記事では、わたしが個人的に実践していた/実践している、外出先で気分が悪くなったときに落ち着くための工夫を共有している。誰かの役に立てば幸いだ。ただし、わたしは精神障害者手帳を持っているがパニック障害や不安障害等は診断されたことはなく、過換気や常同行動もなく、ある程度工夫すれば「健常者」と同様の屋外活動ができる程度の人間である。明確な診断に至るほど不安やパニックが強い人の苦痛を解決する術は持っていない。あくまで、明確な診断名に至らない程度の軽い不調をちょっと緩和する「コツ」として気軽に読んでほしい。
ちょっとした工夫6選
1.安定剤を飲む
いきなり身も蓋もない手段だが、精神科で安定剤を貰うことは最低限のスタートラインだと思う。錠剤1粒で解決できるものを、落ち着く音楽♪ いい香りのするハンドクリーム♪ とかで誤魔化し続けてはいけない。
精神科は予約待ちが長いし、地方だと数自体少ないし、費用もかかるが、なんとか行ってほしい。行けば治るからではなく(治る人もいる)、あらゆる意味で行かないと話にならないからである。費用に関しては自立支援医療制度を利用して1割負担にすることもできる。
おすすめの薬などはない。わたしの処方薬もプライバシーなのでモザイクかけてます。医者と自分自身と相談。
ただ、安定剤は眠気・ふらつき・思考力低下などの副作用が出ることもあり、外出先ではなかなか使いづらいものだ。そこで次項以降の工夫がある。
2.水を飲む
喉が渇いていなくても水を飲むべし。冷たい流体の感触に集中して気を紛らわすことができるし、熱中症や乾燥の予防にもなるので、こまめに飲んでおいて悪いことはない。
わたしは無印良品の「自分で詰める水のボトル」を持ち歩いている。容量は330ミリリットルで、小さいペットボトルと同程度だが、ペットボトルとは違って扁平な形状なのでバッグの中でかさばらず、スマートに持ち歩ける。抗不安薬を飲むのにも当然必要だし。
無印良品の店舗には無料の給水スポットがあり、水の補充ができる(無印良品の水ボトルである必要はなく、べつのメーカーのものでもよい)。給水器設置店舗の一覧は公式サイトから。なにか買わないと使えない雰囲気では全然ないので、アクセスできる人は多いに利用しよう。
また、大都市の話になるが大きめの百貨店にも無料の給水スポットが設置されていることがある。わたしは伊勢丹新宿店の2階をよく利用する。公式サイトに「給水目的の来店もOK」とあるのでどんどん利用しよう。
まあ伊勢丹新宿のすぐ隣に無印良品もあるんだけどね
ただし無印良品は、以前から指摘されている新疆綿使用にかかる人権問題や、近年はトランスジェンダーへの差別発言を繰り返している坂梨カズ氏をコスメのプロデューサーに起用し続けていることなどから、個人的には積極的に買いたいブランドではなくなっている。今持っているものは大事に使うが、買い替えるときは代替品を探すかもしれない。
3.えいようかんを食べる
ちょっとした食べ物を食べて、味に集中して気を紛らわせるのもいい。ガムでも飴でもミンティアでもなんでもいいが、個人的なおすすめは井村屋のえいようかんである。元は保存食・非常食として開発されたもので、賞味期限は5年、アレルゲン不使用。小さくて持ち運びに便利だが1本171キロカロリーで、約エナジーゼリー1本・ご飯小盛り1杯ぶんのカロリー補給ができる。甘味は強いが瑞々しいので喉が乾かない。手が汚れない・音や匂いが出ない・食べカスが出ないので人前でささっと食べやすく、公共交通機関の中でのコーピングに最適。
製品情報はこちら。裏面には災害用伝言ダイヤルの使い方が記載されている。
個人的にえいようかんのいいところは、味が好みすぎないことだった。好きすぎるお菓子だと1日で食べ尽くしてしまうので、食べてもテンションダダ下がりしない程度には美味しいが平時に食べ尽くしてしまうほどではないのがちょうどいい。各自、えいようかんでなくてもいいので、自分なりの「好みすぎない携帯食料」を見つけておくと捗ると思う。
家での備蓄にも最適です。過去記事でも紹介しました。
4.好きな香りのハンドクリームを嗅ぐ
ハンドクリームを手に塗ったり香りを嗅いだりして気分転換のきっかけにする。前項までの水の触覚にせよお菓子の味覚にせよ、不安や緊張とはべつの感覚に集中して気を紛らわせるのが気分を鎮めるポントだと思う。
今個人的に持ち歩いているのはuka(ウカ)のリップ&ネイルバーム。使いやすいミニサイズのスティックタイプで、ラベンダーのいい香りがする。
各自好きなものを選べばいいが、容器は上記のようなスティック容器かチューブ容器をおすすめする。蓋を回して開けるスクリューキャップのジャー容器は外出先では使いにくいので避けたほうがいいと思う。
チューブ容器のクリームの例がこちら。ロクシタンは王道ブランドだがそこそこ安価で香りのバリエーションが豊富なハンドクリームが揃っている。過去記事でも紹介しました。
スクリューキャップのジャー容器のクリームの例がこちら。個人的には使いにくいと思うが、荷物で押し潰してしまっても中身が飛び出すことがないのはメリットである。各自使いやすいと感じるほうを選ぼう。
まあ、容器が多少使いにくくても、気分が上がるなら気に入ったものを選ぶのが一番だ。わたしも仕事用のバッグにはクリスマスプレゼントでいただいたCHANELのハンドクリームを入れている。卵型の容器が美しいが、中身はやや出しにくい。
5.アクセサリーを磨く
わたしはシルバーアクセサリーをよくつけているので、ポーチとともにアクセサリークロスも持ち歩いて曇りや黒ずみを一心不乱に磨いて気を紛らわせている。人との待ち合わせでそわそわしてしまうときにも有効。遅刻防止のため念には念を入れすぎて早く着きすぎてしまう発達障害者は多いのではないでしょうか。人と会う前にアクセサリーがピカピカになるので実益もあって一石二鳥。
過去記事でも紹介しました。
6.好きなWeb記事を再読する
文字を読むのが好きな人であれば、すでに読んだお気に入りの文章を再読するのもいいだろう。Kindleで本格的に本や漫画を読んでもいいのだが、個人的には心身不安定なときはフィクション色の強いコンテンツには入り込めないので、Webエッセイ的な読み物を利用することが多い。内容のわからない新しい文章を読むと思いがけず心を乱される可能性があるので、既知のものの再読をおすすめする。このブログを再読してくれてもいいんやで。
Web記事を保存しておくには、ブラウザのデフォルトのブックマーク機能だと整理がしにくいので、わたしはブックマーク管理ツールRaindrop.ioを愛用している。PCからもスマホアプリからも同期できて、デバイス・ブラウザを問わずにWebコンテンツを収集・フォルダ分け管理・検索ができる。気になる記事に出会ったらとりあえず「未整理」フォルダに突っ込んでおいてあとからフォルダ分けするのもいい。
超便利なのに知名度が低い気がするが、非常におすすめです。わたしはITリテラシーが激低なので、たぶんNotionとか流行りのアプリには同等の機能があるのだろうが、とりあえずRaindrop.ioを長年愛用しています。凝った使い方をしていないので、とりあえずブクマをフォルダ分けして検索できるだけで大満足である。SNSで有用そうな情報を見つけて、あとで読もうととりあえずクリックしているうちに開きっぱなしのタブの数が物凄いことになった経験がある人も多いと思うが、Raindrop.ioに突っ込んでおけばあとからキーワード検索で引き揚げることができる。落ち着いて読みたいが今すぐは時間がなかったり精神的にきつかったりするシリアスな内容の記事も、とりあえずRaindrop.ioに突っ込んで、あとから「ガザ」とかで検索して思い出せばよい。
わたしのフォルダ分けの例はこんな感じ。ジャンル横断的な内容も多いので分類はざっくり。わたしは使っていないが、タグ分類やハイライト機能もある。伏せているのは職場名や大学名が含まれるフォルダです。
Raindrop.ioを見ると自分の興味関心が一目瞭然で面白いですね。わたしは社会に興味があって物欲が強い人間らしい。その通りである。
ちなみに、末尾の「成人」とは自慰の際に閲覧するいわゆる「おかず」のフォルダである。大学の勉強の資料だろうがオナネタだろうが一元化して管理するスタイル。なんでも一元化しとけば見落としや忘却の心配がないですからね。
「パニックになったときに見るフォルダ」をあらかじめ作っておくのもいいだろう。
以上、わたしのちょっとした工夫6個でした。
すべて、具体的な行動レベルに落とし込んである。心身の状態が悪いときに、具体性のない心がけレベルのチップスは役に立たないことが多い。
外出前に普段から備えておくこと
上記のコツをスムーズに行動に移せるように、普段から備えておくことも大事。これはかなり広範かつ個人差の大きい作業になるので、前章の6つほど具体的に記載することはできないが、とりあえずざっくり書いておく。
外出時のバッグの中身は整理しておこう。「映える」中身である必要はない。最低限、必ず入っているものを把握できていればそれでいい。
ちなみにわたしのバッグの中身紹介は過去記事に書きました。わたしはバッグの整理を長年試行錯誤してきたのでゴミ一つ入っていないが(撮影時だけ見栄を張っているわけではなく普段から綺麗)、べつにゴミなど余計なものが思いがけず入っていてもかまわないと思う。ないはずのものがあることより、あるはずのものがないことのほうが、パニックを誘発しやすい。
服装の工夫も大事。感覚過敏で気分が悪くなりやすい人は、視覚刺激や締めつけや違和感などがある服は最初から選ばないこと。
ADHDの服選びの条件の話はこちらでしています。
暑さ寒さによるストレスを減らすためには、そもそも季節・気温に合った服を選ぶのも大事になってくる。自分の感覚を察知しにくい感覚鈍麻の傾向がある人は、「気温●℃ 服装」とかで検索して勘所を掴むことから始めよう。ちなみに感覚過敏と感覚鈍麻は併存する(わたしも両方持っている)ので、不快なことに敏感ですぐ不調になるが原因が全然自覚できず毎度大騒ぎしてしまうという難しい状態に陥ることは珍しくない。とりあえず自分の傾向を自覚することから始めよう。
天気予報も調べるようにしよう。時間感覚の連続性が薄いタイプの人は天気予報を見る習慣がないことも多いが、われわれの生きる日々は連続している。今日夜更かししたら、明日は寝不足になる。明日を調子よく過ごすために、今日できることは多い。
騒音から一時的に逃れるためにはノイズキャンセリングイヤホン。わたしはAppleのAir Pods Proを使っている。
わたしが買った当時はノイズキャンセリング機能つき完全ワイヤレスイヤホンはAir Pods Proくらいしかなかったのだが、今はもう少し安いものがいくつか出ているので探してみてください。
最後に、今どきはスマホが使えないことのストレスは大きいので、スマホの充電は切らさないようにすること。わたしは枕元に1.8メートルの充電ケーブルを設置している。もちろん1.8メートルもなくてもコンセントには届くが、どんな変な姿勢でいても、腕をちょっと伸ばすことすらできない気分の夜でも、絶対に充電だけはできるように1.8メートルを選択した。長い充電ケーブルが翌朝の自分を救う。
モバイルバッテリーは普段使いの3つのバッグに同じものを常備し、予備も1個用意して繰り回している。外出前に選んだバッグに入っているバッテリーがうっかり空でも、4個あればどれかは満タンな仕組み。モバイルバッテリーはiWALKのスティックタイプがおすすめ。