アクセサリー紹介シリーズ第三弾です。
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わたしは鬱のADHDで、健常者より身体的・精神的な不快感を強く感じやすい。アクセサリーひとつ選ぶにも、それなりに頭を使わなければ快適につけられない。前々回・前回の記事では、わたしの指輪とピアスを紹介した。今回は、わたしがネックレスを買うときに守っている条件を書き起こしてみたい。その結果選ばれたネックレスは、わたしの私的な趣味嗜好の産物であると同時に、鬱病やADHDといった生活弱者がアクセサリーを買うときに参考になるある種の普遍性を宿しているはずだ。わたし個人の持ち物ログであるだけではなく、他者にも参考になる手引きとなることを志向して、書いていきたいと思う。
【前提】発達障害の特性の一つに感覚過敏があり、重度の人はアクセサリーなどつけられないと聞く。わたしも感覚過敏持ちだが、アクセサリーに関してはつけることができている。以下は、感覚過敏とはいえアクセサリーはつけられる程度の人間の話なので、そのつもりで読んでください。
1.わたしのネックレス記録
2023年3月現在、わたしが頻繁につけているネックレスは次の5個だ。まずは一つずつ紹介していく。価格はできるだけ公式サイトのものを記載している。
①NOLLEY’S Sophi ニュアンストップコードネックレス
価格:4950円(ZOZOTOWNで3410円で購入) 長さ:70センチ 素材:合金、合成皮革
2022年12月購入
ウィンドウショッピングをしていて偶然見つけたNOLLEY’S Sophi(ノーリーズソフィ)のネックレス。シンプルな黒い紐にシンプルなペンダントトップだが、しっかり長さと大きさがあってわたし好みです。癖がなく、無地トップスならなんにでも合う。わたしの基本装備である。
開閉する金具はなく、頭からすっぽりかぶってつけるタイプ。紐はスライド式になっており、簡単に長さを調節できる。
②MM6 Maison Margiela ペンダントネックレス
価格:52831円(YOOXで21500円で購入) 長さ:66センチ 素材:金属
2023年1月購入
MM6 Maison Margiela(エムエムシックスメゾンマルジェラ)は、ラグジュアリーブランドのMaison Margielaのカジュアルラインである。わたしはいつかマルジェラのタビレースアップシューズ(15万円前後)を欲しいと思っているので、気分を高めるために購入してみました。喜平チェーン好きとして惹かれるデザイン。YOOXの素材表示はただ一言「金属」というかなりナメた仕様なのだが、MM6のジュエリーは真鍮製が多いのでこれも真鍮製だと思われる。
開閉はカニカン式だが、長さがあるのでカニカンを閉じたまま頭からすっぽりかぶることができる。
③ブランド不明 商品名不明
詳細不明
2023年1月譲渡
Twitterフォロワーの頼さんがお引っ越しのために身辺整理をされているところをお見かけして、格安で譲っていただきました。「数年前にメルカリで買ったもの」だそうで詳細は不明。おそらく留め具は真鍮、本体チェーン部分はアルミで、艶消しの黒色でコーティングしたものだと思われる。ボリューミーなチェーンを何連も重ねた大胆なデザインで最高にかっこいいです。デメリットは、重いので長時間つけていると疲れるところ。
開閉は引き輪式。金具が大きいので着脱しやすいです。
頼さんが主催する「ありえないデモ」の公式アカウントはこちら。トランスジェンダーのジェンダーアイデンティティの在り方に国家が介入している(いわゆる断種要件、子なし要件など)現状に反対するデモです。
④S'FACTORY ステンレス ネックレスチェーン NO.1オーバルチェーン
価格:4400円 長さ:70センチ 素材:ステンレス
2023年1月購入
⑤rufsh シンプルロングネックレス
価格:3630円 長さ:75センチ 素材:ステンレス
2023年2月購入
それぞれ別ブランドのネックレスだが、重ねづけすることが多いのでまとめて紹介する。
S'FACTORY(エスファクトリー)のネックレスは、元はスキンジュエリーにしたくて購入した。スキンジュエリーとは入浴時や就寝時を含めて常時つけっぱなしにするジュエリーのことで、わたしは洋画の登場人物がネックレスをしたままシャワーを浴びたりセックスしたりしているのを見てこの風習を知りました。わたしもネックレスをつけたまま陰鬱な顔でシャワーを浴びたい(そして壁を殴って拳から流血したい)! ということで一か八か購入してみた。なぜ一か八かかというと、わたしは感覚過敏持ちなので、外出時だけではなく24時間ネックレスをつけるのはかなりのチャレンジだったのです。結果は、半日でギブアップ。立っているときは平気だが、寝転んでいるときに喉元に異物が触れるのが耐えがたく、すぐ外してしまいました。
常時つけるつもりだったので、汗や水に強いステンレス製を選んだ。わたしはつけっぱなしのボディピアスもステンレス製を選ぶようにしています(耳たぶ下のほうの穴には外出時に選んでファッションピアスをつけるが、耳たぶ上のほうの穴や軟骨の穴には、ボディピアスをつけっぱなしにしている)。そういえば耳たぶはつけっぱなしでも平気なんですよね。わたしは喉元の皮膚に異物が触れるのに不快感を感じやすいようだ(タートルネックも絶対に着られない)。
開閉はカニカン式だが、長さがあるのでカニカンを閉じたまま頭からすっぽりかぶることができる。
rufsh(ルフシュ)のネックレスは、S'FACTORYと重ねづけするつもりで買い足した。スキンジュエリーチャレンジに失敗して余ってしまったS'FACTORYのネックレスが、外出時に単体でつけるにはわたしの好みからするとシンプルすぎるので、似たデザインのネックレスを重ねることにしたのである。長さも一回り長く、パーツ一つ一つもちょうど一回り大きいのでセットにするとよく馴染みます。
開閉は引き輪式。頭からかぶることができる。
https://zozo.jp/shop/massivestore/goods-sale/69127842/?did=113704086
2つともシンプルなので、まったく別のデザインのネックレスに重ねたりとか、アレンジが利くと思う。最近わたしはバロックパールに興味があるので、バロックパールのネックレスと一緒につけてコンビネックレスっぽく見せるのもよさそうだ。今のところ出番は比較的少ないが、今後が楽しみなネックレスです。
rufshのは、単体で出勤日の朝にトップスの内側に忍ばせて、仕事モードへの切り替えスイッチとしても活用している。
以上、お気に入りのネックレス5個でした。
2.ADHDがネックレスを選ぶときの条件
さて、上記のネックレスはばらばらのデザインのように見えて、共通する条件6個をおおむね満たしている(例外はある)。以下で詳しく解説していく。
①首を締めつけない長さ
わたしは感覚過敏なので、首周りが少しでも締めつけられると強いストレスを感じる。そこで、最低限喉元に触れない長さのネックレスであることは絶対条件だ。鎖骨より下にくる長さだとなおよい。必然的に、手持ちのほとんどが60センチ以上のロングネックレスとなっている。
▼ここ1、2年流行っている「地雷系ファッション」で多用されるチョーカーなんかもってのほかである。
スキンジュエリーチャレンジをしたときも、ロングネックレスを選んだ(結果的にチャレンジは失敗したが)。スキンジュエリーとして選ばれるネックレスは、一般的には鎖骨上に乗るような短いものが多いが、自分の感じ方に合わせて自由に選べばよいのだ。
▼「スキンジュエリー」のGoogle画像検索結果。
上記6個のうち、実は頼さんにいただいたチェーンネックレスだけは、当初は首を絞めつける位置にもチェーンがついていたのだが、自分で取り外しました。
▼before/after。首周りに余裕ができたのがわかると思う。
▼取り外したチェーンがこちら。ブレスレットに改造したりとか、活用できそうなので、捨てずに取ってあります。
ちなみに、首の後ろの皮膚に異物が触れるのは平気なので、喉元だけが特に弱いようだ。もし首の後ろにもストレスがあったなら、わたしはネックレスをつけない選択をするだろうと思う。
なお、ロングネックレスには、頭からすっぽりかぶってつけられるので首の後ろに手を回して金具を閉める手間がないという大きなメリットもある。発達障害者は脳と身体の連携が不得手で不器用な人が多いので、すっぽりかぶってつけるネックレスはおすすめです。わたし個人は手先は器用なほうなので、ことさらに金具の取りつけやすさを考慮してネックレスを選ぶことはしていない。しかしロングネックレスを選ぶことで結果的に手間がはぶけている面はあります。ハンディキャップがある人にとって便利なデザインはハンディキャップがない人にとっても便利である例ですね。
②肩が凝らない重さ
重いネックレスを長時間つけていると疲れてしまうので、なるべく軽いものを選ぶようにしている。上記5個のうち一番重いのは頼さんにいただいた多重チェーンネックレスで、計ってみると206グラムでした。短時間の外出時や、特に気合いを入れておめかししたいときにだけつけるなど、調節して使っています。
▼最近つけたのは、2023年2月に行った東京都現代美術館の「クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ」展でした。ディオール展はせっかくだから自分自身もおめかしして行きたかったので、このネックレス(重い)、上野屋のダブルのロングコート(重い)、aniaryの本革トートバッグ(クッソ重い)という疲労感度外視の盛り盛りコーデで挑みました。楽しかったです。写真は併設のカフェにて。
ディオール展とかいう、素敵な服を見せるだけ見せといて試着も購入もさせない謎の催し。精神障害者手帳提示で無料・予約不要でした。 pic.twitter.com/Yrd4f52Swc
— 呉樹直己🐢 (@GJOshpink) 2023年2月17日
③絡みにくいチェーン
一般的なレディースネックレスに使われがちな細かいチェーンは、非常に絡みやすい。そのようなネックレスは早々に手放してしまったので手元に例がないのだが、例えば以下のようなチェーンである。
絡んだネックレスチェーンは器用な人でもそこそこ苦労するくらいほどきにくいので、最初から買わないのも一つの手です。わたしはそうしている。デザイン的に細かいチェーンが好きなのであれば、アクセサリースタンドなどを導入して吊り収納することをおすすめする。ぐちゃぐちゃに丸めてポイッと置くのはやめたほうがいいです。速攻で絡まるので。
④裏表反対でもおかしくないモチーフ
外出間際は慌ただしいので、ネックレスを引っ掴んだらノールックでつけられるのが理想。モチーフ(ペンダントトップ)が裏表を問わない対称的なデザインだと、頭を使わずに雑にかぶることができて便利です。身体を激しく動かしたときにモチーフが一時的にひっくり返ってしまったときもおかしくなくていい。
上記5個を見ていくと、チェーンネックレス(フォロワーさんにいただいたもの、S'FACTORY、rufsh)はそもそも裏表が存在しない。
モチーフネックレスのうち、NOLLEY’S Sophiのは、表裏はこんな感じ。
裏側も、ほとんど違いがないです。
MM6 Maison Margielaのは、表裏はこんな感じ。
裏側は白い塗装がないが、あからさまにおかしくはないので、裏返しにつけてしまっても変には見られないだろう。
⑤劣化しにくい素材
これは指輪紹介・ピアス紹介の記事でも書いた。安い合金やメッキのアクセサリーは、数年以内に黒ずんだり緑青(りょくしょう。青緑色の錆)が生えたりして見た目が悪くなる。長く使いたいなら、合金やメッキを避けて、劣化しにくいステンレスやシルバー925、ゴールドフィルドなどを選んだほうがいいです。しかし、そう簡単に言っても劣化しにくい素材ほど高価なので、各自の経済状況を鑑みて選ぶことになるだろう。装身具なんかに1万円以上かけられるのは、今のわたしが持つ特権の一つである。安いメッキのアクセサリーを数年以内の命と割り切って買い替えていくのも、一つの考え方です。なんにせよ、自分なりの方針を決めておこう。
とはいえ、ネックレスは指輪と違って素肌に触れる面積が少ないので、わたしも指輪ほどは厳密に考えてはいない。上記の5つも多くは合金製である。お金をかけるなら指輪を優先するのが、現時点のわたしの方針です。
⑥紛失しても惜しくない価格
これも、指輪紹介・ピアス紹介の記事で書いた。⑤の条件と矛盾するようだが、わたしはADHDとして、すべてのアクセサリーは紛失しても惜しくない価格しか出さないと決めている。2019年の過去記事にも書いた。
だが、数年経った今は、出先で着脱しないアクセサリー(ピアスやネックレスや指輪など)にはもう少しお金をかけてもいいと思うようになった。それでも、不慮の金具の破損による紛失は考慮しています。先日ティファニーのボーンカフ(19万円!)を買ったのは、破損による自然落下はあり得ないデザインだからです。
出先で着脱するもの(帽子やスカーフや傘)に関しては相変わらずお金はかけません。
「お金をかける」「お金をかけない」の具体的な額は人それぞれだと思うので明記しない。いずれにせよ、何にお金をかけてどこにかけないのか、自分なりの基準を持っておくことが大事だと思います。
3.まとめ
わたしがネックレスを選ぶときに考慮しているのは、以下の6点。
①首を締めつけない長さ
②肩が凝らない重さ
③絡みにくいチェーン
④表裏反対でもおかしくないモチーフ
⑤劣化しにくい素材
⑥紛失しても惜しくない価格
全部を満たすものに出会えるとは限らないが、できるだけ考慮して、楽しいアクセサリー生活を送っています。鬱のADHDは、必要最低限の生活を営むだけで精一杯なのだから、装身具のようなオプションごとに関しては、なるべくなにも考えないで済ませたい。つける前になにも考えなくていいように表裏を問わないデザインを選び、つけている最中になにも考えなくていいように疲れにくい重さと高すぎない価格を選び、雑に外してもいいように絡みにくいチェーンを選び、手入れなんかしなくていいように素材を選んでいる。全部買う前に考えて、思考コストを先払いしているのである。
以上、わたしのネックレス紹介でした。
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