敏感肌ADHDが生活を試みる

For A Better Tomorrow

トランス男性・ノンバイナリー向けファッションブランドOPTの服を買ったよレポ

最終更新:2023.8.28

 

 

 

この記事は、2023年8月28日にファッションブランドOPT(オプト)のポップアップストアに行ってきた日記と、購入した服の記録です。ポップアップストアは、2023年8月28日(月)と29日(火)の2日間、新宿マルイメンズ館で開催されます。

 

 

わたしがこのポップアップに行くことになったのは、用事で新宿に来て伊勢丹のソファでX(旧Twitter)を見ていたところをフォロワーさんの再投稿(旧RT)でブランドの存在を知り、伊勢丹から徒歩5分のところにある新宿マルイメンズ館をふらっと覗いたからであり、この時点でいくつかの特権がないと成立しない行動であることがおわかりいただけると思います。それは例えば気軽に都心にアクセスできる特権や、平日のみ開催のポップアップに出向くことができる特権です。OPTがトランス男性・ノンバイナリー向けと明言しているブランドであり、再投稿してくださったフォロワーさんがノンバイナリーであることを考えれば、そのような「ニッチ」な情報を得やすいインターネット上の当事者コミュニティに居場所を得ていることも特権に数えられます。昨今インターネットはトランスジェンダー、とりわけ男性の境遇で生まれたAMAB*1のクィアにとって快適ではない、それどころか危険ですらある場所となっていますが、AFABのクィアであるわたしにはある程度の快適さが担保されているわけです*2。買い物をしたあとに案内していただいた任意のアンケートには代名詞を問う設問があり、she/her、they/them、代名詞を必要としない、無回答などの選択肢が用意されていましたが、they/themの意味を即座に理解できる人間は多様なクィアの中でも本来は一部だけのはずです。しかし、新しくまだ知名度の高くはないブランドの東京のポップアップにアクセスできて1万円を超える服を購入できる客なら知っているとの判断で、ブランドとしてはそのような書き方になったのでしょう。今のわたしはまさに、ブランドが想定する属性に当てはまる人間です。だからこそ今日は、「そうではない」人たちのことも考えずにはいられませんでした。それは例えば、地方在住で、新宿など行ったこともなく行ける目処もない、経済力もないティーンエイジャーであったかつてのわたしです。この格差社会の、東京とは限らないあらゆる場所にたしかに生存している無数のクィアに、OPTのようなブランドが気軽に手を伸ばせる選択肢となる未来を願って、長い前置きとします。

 

以下、ブランドについてと服の感想です。

 

 

 

 

OPT(オプト)とは

 

optunited.com

 

OPTは、公式サイトによると「日本初となるトランス男性・ノンバイナリー・マスキュリンな服が自分に合うと感じる人たちのためのアパレルブランド」。既製服が身体的・精神的な理由で合わないと感じる多様な男性やノンバイナリーのために、安心して着られるアパレルを提供するブランドだそうです。個人的には、公式の説明で「ジェンダーレス」という言葉が意図的に避けられているのに好感を持ちました。こういう文章、なんも考えずに書くと絶対ジェンダーレスって出てくるんですよ。今どきはLGBTだよね✨🌈ってフワフワやってる凡百のブランドよ、聞いとるか?

 

代表はノンバイナリーで現役サッカー選手の下山田志帆さんと、トランス男性で元サッカー選手の内山穂南さんです。

 

js.jumonji-u.ac.jp

 

2023年8月現在、ベーシックなTシャツとセットアップスーツが販売されています。

 

 

また、アンダーウェアラインのOPT underwearではニュートラルなデザインのボクサーパンツやボクサーパンツ型の吸水ショーツも展開。

 

opt-onlinestore.com

 

公式X(旧Twitter)があんま動いてないので、下山田選手の個人アカウントで動向を追うのがいいのかな?

 

 

 

商品ラインナップ

今回の東京のポップアップは、2023年8月28日(月)・29日(火)に新宿マルイメンズ館(最寄り駅:各線新宿三丁目駅 JR新宿駅からも徒歩圏内)で開催されています。メンズ館なのがいいですね。

わたしが行ったときは、下山田志帆さんと内山穂南さんのお二人が店頭に立たれていました。

 

各商品については公式ホームページで詳しく解説されています。

 

optunited.com

 

白Tシャツ『UCHI』は、ややオーバーサイズなコットンTシャツ。ブラジャーやチェストバインダーが透けないような裏地つきでした。

 

一番オーソドックスなアイテムだからこそ、シルエットや生地感で印象が変わる白Tシャツ。ブラやナベシャツが首回りから見えないよう首元を適度に詰めたり、腰回りにゆとりを出しながら直線的なシルエットになるスリットを取り入れるなど、コミュニティの声を参考に、全てのこだわりを詰め込みました。シルエットや細部へのこだわりはもちろん、長く着ていただけるような生地選びにもこだわっています。

・Color:ホワイト  ・価格:¥10,000(税込)

 

セットアップのパンツ『RUCA』は、テーパードシルエットのスラックス。ヒップにゆとりがあり丈はやや短めで、AFABの身体に合うとのこと。

 

「ヒップ周りに合わせると丈が長くなり、丈に合わせると全体的にタイトすぎる。」そんな声から生まれたRUCAは、OPT独自のフィット感を実現しました。一度、脚を通せば、そのフィット感とシルエットに感動するはず。 ※RUCAは同素材のRUCA-jacketと合わせてセットアップスーツとして着用可能です。

・Color:ブラック / カーキ  ・価格:¥16,500(税込)

 

セットアップのジャケット『RUCA jacket』は、コンパクトなジャケット。ウエスト絞りのない直線的なシルエットと短めの丈感という、従来の既製服ではあまり併用されない要素を兼ね備えています。

 

ブカブカのジャケットではなく、自分にフィットしたジャケットを。メンズのジャケットはブカブカすぎて、レディースのジャケットは曲線的。RUCA-jacketは、丈感や腕の長さを全体的に短く、さらにはボックス型の直線的なシルエットを実現したことで、心にも身体にフィットする居心地の良さを味わえます。 ※RUCA-jacketは同素材のRUCAと合わせてセットアップスーツとして着用可能です。

・Color:ブラック / カーキ  ・価格:¥21,120(税込)

 

ほか、アンダーウェアラインのボクサーパンツ型吸水ショーツやオリジナルステッカーも店頭に並んでいました。

オンラインストアでは上記価格ですが、今回のポップアップでは各10%オフ、ジャケットとパンツはセットで買うと20%オフで購入できます。

 

接客について

わたしは喋りたかったので下山田さん・内山さんと長くおしゃべりしましたが、話したくない人は放っといてくれるんじゃないかな。ただしユニクロやしまむらじゃないんで、スタッフさんとの距離はかなり近いです。OPTに限らず、この手の小規模アパレルのポップアップでまったく会話せずに試着したりするのは不可能と覚悟しておいてください。

もちろんお二人とも親切にお話してくださるので、普段は店員さんとコミュニケーションしない・したくない派の人もせっかくの機会なので勇気を出すのはアリです。元々お二人のファンの方はここぞとばかりに話しかけるといいんじゃないかな。混んでいるときは譲り合って、お風呂に入っていて、洗濯した服を着てさえいれば喜んで対応してくださるのではないだろうか。

下山田さんのツイートにもある通り、店員さんからのミスジェンダリングなどを恐れて、実店舗で服を買うこと自体に精神的ハードルを感じているクィアは多いそうだ(わたし自身は心臓に毛が生えているのでレディースの店にもメンズの店にも平気で行くが、想像には難くありません)。今回のポップアップでは、そのような悩みとはもちろん無縁でいられると思います。

 

 

 

購入品について

わたしはカーキのジャケットに惹かれて試着し、購入しました。サイズは2展開で、わたしはタイトに着たいので小さいほうを選択。

 

購入前の撮影は基本しない主義なんですけど、今日は勧めていただいたのでね。

 

上記の試着写真はわたしのスマホがカスなせいで全然違う色味に写っているので無視してください。

そこで、家で改めて撮ってみました。本当は日中に自然光下で撮るのが一番綺麗に見えるのですが、ポップアップから帰宅後の夜に取り急ぎ撮っているのでこちらも普段のブログの写真よりはクオリティが低いのはご了承ください。ポップアップが明日までなので、今夜中にアップしたほうがいいから急ぎました。

 

正面。デザインはオーソドックスな2ボタンでノッチドラペルのシングルジャケットです。

 

 

裏。背面スリットはありませんが動きにくさはまったくないです。

 

 

深いポケットが裾に2つ、胸に1つ、裏に1つあります。ポケットがたくさんあるのはなにより嬉しい。

 

 

襟のフラワーホールは飾りで、実際には穴が開いていないので注意してください。

予備のボタンが正面用・袖用の2種類ついてきます。

 

 

うなじ部分には引っかけるホックみたいなやつ(名前わからん)もあります。

 

 

洗濯タグが見当たらないのですが、触った感じポリエステル主体の生地っぽい。ナイロンっぽい硬さも感じます。春秋用カジュアルジャケットにはよくあるシャカシャカ系の生地です。お話によると洗濯機で洗えるそう。最高。

 

なお、工夫されているというシルエットについてだが、わたしは小柄なシス男性程度の身長があり、既製服に取り立てて悩みもなく馴染むことができている身なので、詳しいコメントをすることはできない。悩みを持つ人のレビューを拝読したいと思う。

わたしが既製服に悩みがほとんどなく過ごせているのは、身長が高いのもあるが、そもそもわたしが着道楽であり、毎週のようにルミネと伊勢丹と髙島屋を回遊しつつ1日25時間ファッションアプリを周回するおたくなせいもあるだろう。ZOZOTOWNやロコンドやランウェイチャンネルといったオーソドックスなアプリから、10万円・100万円レベルの服を扱うファーフェッチやユークスといったハイブランド通販アプリまでなんでも見ています。今年は10万円オーバーのアクセサリーを2つも買ってしまいました。そこまで時間とお金をつぎ込めば、身体にも精神にもアイデンティティにもフィットするスペシャルな一着を見つけることは不可能ではありません。しかし、服にそこまでのリソースを注ぎ込める人ばかりでは当然ない。わたしは服を無類の趣味としているが、多くの人にとってはそこまでではないでしょう。OPTのベーシックなラインナップは、日常着としての服のハードルを限りなく下げることを意図したものだと感じました。クィアが、ただ服を買うにしても精神的なハードルを感じやすいことは下山さんの投稿にもあった通りだ。OPTの服には、クィアでない人が当たり前としている営みを、当たり前として叶えるテクノロジーが詰まっているのでしょう。

 

 

 

コーディネートしてみた

このジャケットのカーキ、微かなグレーとブルーが混じっていてかっこいいですよね。この色味を活かしたいので、ほかの色は主張控えめにコーディネートしてみたいと思います。

 

白黒のボタンシャツにダークグレーのスキニーデニムを合わせたのがこちら。シャツは過去記事で紹介したankoROCKのメンズ、デニムはブランドを忘れました。

 

 

シャツの裾アウトして、ワイドストレートのスラックスでずるっと着るのもカワイイと思う。いわゆるパス度も上がりそうです(わたし個人はホルモン治療をしているが男性ではないので、男性としての「パス」を望むことはありません)。スラックスは過去記事で紹介したユニクロのレディース。

 

 

裾半分イン・半分アウトでダメージウォッシュのワイドデニムと合わせてみたり。デニムは韓国のストリートブランドNASTYKICKのユニセックス。

 

 

あえてレディース分類アイテムで固めたのがこちら。長袖Tシャツは過去記事で紹介したユニクロ、ベルトスカートはMURUA、ネックレスは過去記事で紹介したNOLLEY’S Sophi。

 

 

以上、OPTの服を買った記録でした。

 

3枚300円のステッカーも買ったよ。企業理念である「わがままであれ」と書いてある。

 

新宿マルイメンズ館でのポップアップは明日29日までなので、都合がつく方はぜひ。

 

 

 

おまけ フォロワーさんの着画

会場ではXのフォロワーの史さんとばったりお会いしました。初対面ですが、お互いにXに投稿していた服飾品で瞬時にお互いを特定するというね。

史さんの着画を許可を得て貼りつけさせていただきます。参考着画なんてなんぼあってもいいですからね~。史さんが公表されているジェンダーアイデンティティはノンバイナリーで、またわたしとは違った服への思い・悩みがおありなのではないかと思います。

 

 

あと、もう一人いらっしゃったお客様も、Xでお顔の写真が流れてきたのでアカウントに飛んだら「フォローされています」と表示されてひっくり返ったよね。世間、狭すぎる。まあ広義のトランスジェンダーは全人口の数%もいない少数派だから、来客が内輪を形成しやすいのもうなずけます。東京モンばっかでつるみやがって、許せねえよなあ!!(急にどうした??)

 

 

関連記事

www.infernalbunny.com

 

www.infernalbunny.com

 

 

 

 

*1:assigned male at birth の略。出生時に男性を割り当てられること。出生時女性。AFAB=assigned female at birth は出生時に女性を割り当てられること。

*2:あくまでわたし個人の場合です。感じ方や状況は人それぞれなので、わたし以外のAFABのクィアの苦痛を軽く考えるのは控えてください。