最終更新:2023.5.17
2022年夏の約1カ月間、友人の高島鈴の家に滞在していた。
他者をリアルタイムで書く試みの一環として日記も書いている。
しかしその後、忙しさに取り紛れて日記は中断していました。もう皆さんとっくに忘れていると思いますが、続きをやっていきます。8月25日から最終日までです。
もうリアルタイムでもなんでもないので、なんのために書いているのかは不明。
8月25日、木曜日。数日前からズキズキしていた左手の人差し指の付け根が、いよいよ痛んでスマホが持てなくなる。腱鞘炎だろうか。仕事でパソコンを使っているせいならカッコいいと思うが、おそらくは単なるスマホの使い過ぎである。高島鈴に呆れられつつ、塗り薬を貸してもらう。エストロゲン(いわゆる女性ホルモン)が低下すると腱鞘炎になりやすいらしいので、テストステロン注射の影響もあるのかもしれない。
この前後でわたしはGID科に通院した。現在、2週間に1回の頻度でテストステロン注射を受けている。7月から8月にかけては、高島鈴宅に行く準備をしたりでばたばたしていたことで周期が乱れてしまい、8月2日には月経が来ていた。わたしは月経停止目的でテストステロン投与を選んだわけではないのだが、月経がない状態に慣れてしまうともう戻れないですね。正直。と同時に、そんな自分のエイブリズムも実感するわけだが。
高島鈴は注射が嫌いとのこと。「病院という権力による身体への侵襲だから?」と訊いたが、べつにそういうわけではないらしいです。シンプルに痛いかららしい。
8月26日、金曜日。お互いのテンションや体調がなかなか合致せず、今までお出かけらしいお出かけをしていなかったのだが、この日ついに「街」に繰り出すことになった。やってきたのは新宿。まず、新宿髙島屋でデパコスを探した(新宿には百貨店がいくつかあるが、わたしがdポイントを集めているので高島屋にしてもらった)。わたしは前から目をつけていたエレガンスのラプードル オートニュアンスを購入。顔の赤味を消したいので、グリーンが入っているⅠ番か、イエローとブルーが入っているⅢ番で迷うが、BAさんいわく「正直どれもそんなに変わらないです」とのことです。正直かよ。色白の友人がⅠ番は白くなりすぎたと言っていたのを思い出して、Ⅲ番を選んだ。
ラ プードル オートニュアンスwww.elegance-cosmetics.com
高島鈴はオレンジのラメアイシャドウを探しているということで、エレガンス ラズルのシングルアイシャドウを見せてもらっていた。
シングルアイシャドウのおすすめブランドを訊かれたので意気揚々とアディクションに案内しようとしたが、なんと新宿髙島屋にはアディクションがないのであった。そこでシュウウエムラを勧める。シュウウエムラもシングルアイシャドウの色数が多いし、一重のモデルや男性モデルを積極的に起用していて、多様な美を提示する姿勢が高島鈴の好みに合いそうだ。
奥二重・一重の人におすすめなのがshu uemuraのインスタ。幅広二重ではないモデルさんのルックが豊富で参考になる。アーティスティックなメイク多めですが、日常に取り入れられそうなものもあります。https://t.co/ckqMhHMbZe pic.twitter.com/VvH13TlwdF
— 呉樹直己🐢🦪 (@GJOshpink) 2022年6月21日
高島鈴は赤味の強い紅葉のような鮮やかなメタリックオレンジのアイシャドウを購入していた。とてもよく似合っている。BAさんが「お客様はお肌の黄色味が少ないのでこちらの赤味のオレンジのほうがお似合いになると思います~」的なことを言ったのはパーソナルカラーのおたくとしては解釈違いでしたが……(スキンカラーに黄味が少ないからといって黄味が少ない色が似合うとは限りません!!!!! 肌の色と似合う色は別!!!!!)。
また、購入の際にタブレットで会員登録をする必要があったのだが、性別選択欄が「男・女」の二択しかなく、高島鈴はBAさんに修正を提案していた(「男女以外の選択肢も作ったほうがいいですよ」だったか「性別欄をなくしたほうがいいですよ」だったか、提案の内容は失念)。BAさんは一瞬虚を突かれたようだったが、「上に申し伝えておきます」とおっしゃっていました。
その後はゲランに移動し、発売されたばかりのアイシャドウパレットを見た。わたしが購入したのはオンブル ジェ N゜360 ミスティックピーコック。孔雀の羽根をモチーフにした鮮やかなブルーが眩しい、魅惑的なパレットです。わたしは使いにくそうな色のコスメに燃える性質があるので、前から狙っていたのです。奇抜な配色だが限定ではなく定番品なのが嬉しい。
〈オンブル ジェ〉夏の目元を彩る新アイコレクションが、公式オンラインにて先行発売
— GuerlainJP (@Guerlainjp) 2022年7月12日
壮大な自然のモチーフに表現された6色展開のアイシャドウ。〈360 - ミスティック ピーコック〉は、神秘的な孔雀の羽にインスパイアされた、ブルーとコッパーの魅惑的なハーモニー。https://t.co/eOfOhRwrsX pic.twitter.com/oOWouvuSY5
ラプードルはパッケージが鏡面仕上げで部屋がメチャクチャ反射するので写真省略
髙島屋を出たあとは、高島鈴の馴染みのアートギャラリーのIRREGULAR RHYTHM ASYLUM(イレギュラーリズムアサイラム)と喫茶店の新宿ラバンデリアに顔を出した。IRREGULAR RHYTHM ASYLUMは、アナキズムとDIYをメインテーマに社会運動や対抗文化に関する本やグッズを販売するスペースとのことで、裏路地のわかりにくい場所にあるのがいかにもそれっぽい。興味深い本がたくさんあったのでまた行こうと思います。
新宿ラバンデリアは猫が店内を悠々と歩き回っているカフェだが、高島鈴の行きつけだけあってもちろんただの猫カフェではなく、左翼が集うイカしたカフェである。トイレにはピーポくんが絶対言わない台詞が掲げてあって笑った。
新宿ラバンデリア、ピーポくんの絶対言わない台詞で一生笑ってる pic.twitter.com/LbYQ3Qdkfj
— 呉樹直己🐢🦪 (@GJOshpink) 2022年8月26日
こちらもまた行きたいと思います、と思っていたら2023年3月で閉店してしまっていた。またどこかで復活してほしいものだ。
夜は高島鈴にダル絡みされてスマホを奪われ、わたしのアカウントから高島鈴がツイートしていたが、フォロワーの反応はびっくりするくらい薄かったです。
呉樹㊙情報:炭治郎のものまねして!とせがむと「コオオ」と言いながら息を吸ってくれる。どちらかというとロングブレスダイエットの人に似ている。(このツイートは高島がツイートしています)
— 呉樹直己🐢🦪 (@GJOshpink) 2022年8月26日
呉樹㊙情報:最近初めてタピオカ屋でタピオカを飲んだが、ペース配分をしくじり、後半では液体のないカップから懸命にタピオカ粒を吸い出していた。
— 呉樹直己🐢🦪 (@GJOshpink) 2022年8月26日
呉樹はわたしのだるい絡みに応えてくれるのでとてもいい人だと思います。(高島)
— 呉樹直己🐢🦪 (@GJOshpink) 2022年8月26日
8月27日、土曜日。昨日たくさんお出かけした反動でごろごろしていた。高島鈴は相変わらずダル絡みしてくる。
28日目にしてついに不仲説が https://t.co/8CJY8PWRxF
— 呉樹直己🐢🦪 (@GJOshpink) 2022年8月27日
この日ではなかったかもしれないが、どこかでマスターベーションの話をした。おすすめのセックストイ(オナニーグッズ)情報の交換から始まり、お互いの性生活のこと、性愛に対する考え方など、真面目に話せて面白かった。わたしは高島鈴から「自己開示のしやすい人」という評価をされている(過去記事参照)。嬉しい。
8月28日、日曜日。
26日に買ったエレガンスのフェイスパウダーを早速使って出勤した。
リアルタイムで更新すると豪語していた同居日記を全然書かないことを高島鈴にツッコまれる。今書いてるから許してください(今=9カ月後の翌年5月)。
呉樹直己 @GJOshpink が同居ブログをリアルタイムで書くと言っていたのに全然書かずにアメをなめる美味しんぼ山岡さんのファンアート動画を見せてきます。皆さんなんとか言ってやってください
— 高島鈴🏴単行本発売中! (@mjqag) 2022年8月28日
8月29日、月曜日。
畳の端っこから前の住人のヘアピンを見つける。わたしが滞在している部屋は、高島鈴の前同居人(映画監督の金子由里奈さん)の部屋なのであるが、入居して1カ月経ってもまだぽろぽろと痕跡が見つかるのが面白い。ヘアゴムとか、クリップとか。
金子由里奈さんの新作映画は2023年5月現在、絶賛公開中です。
夜は一つのベッドでゴロゴロしていた。特記していなくても、夜はだいたい二人で一つのベッドでゴロゴロしている。
わたしが帰るまでは自分のベッドで寝てたのに、わたしが帰ってきたらわたしのベッドに移動して寝始める高島鈴 いろいろな高島鈴
— 呉樹直己🐢🦪 (@GJOshpink) 2022年8月29日
8月30日、火曜日。
同居ブログを書こうとするも、眠くなって中断。わたしの部屋には机がないので、書き物はベッドに座って膝に机つきのヨギボーを載せて行う。机つきのヨギボーは初めて知ったがなかなか便利である。机に向かう気力がないときに少しでも作業するのに使えそうだ。
会社勤めしながらリアルタイム更新チャレンジ、失敗! https://t.co/Lj1KePFPIB
— 呉樹直己🐢🦪 (@GJOshpink) 2022年8月30日
8月31日、水曜日。
わたしの仕事がいよいよ大変になる。詳しくは書けないが、早急に弁護士電話相談を利用する決意を固めた。
同期は6人辞め、最初に優しくしてくれた先輩は通勤電車で吐くようになって辞め、入社面接をしてくれた先輩はパニック障害になって辞め、ただ一さいは過ぎて行きます。
— 呉樹直己🐢🦪 (@GJOshpink) 2022年8月28日
無資格未経験のクローズ就労精神障害者が、健常者エミュレーション能力ひとつでどこまでのし上がれるのか、自分で自分の果てを楽しみにしているので、まだ辞めません。俺がピカレスクロマンだ。
— 呉樹直己🐢🦪 (@GJOshpink) 2022年8月29日
追加で、過去の日記に書きそびれた大事な出来事を書いておきます。
8月8日、ブリちゃんが闘病の末逝去する。フレンチブルドッグのブリちゃんことブリギッテちゃんは、高島鈴ともわたしとも相互フォローのKerberosさんの愛犬である。要は会ったこともない人の会ったこともない犬なのですが、ツイートされる写真を通じて、エア近所の人みたいな気分でブリちゃんを可愛がっていた人は多く、わたしもその一人としてそっと拝見していた。ブリちゃんが息を引き取ったことがけるさんによってツイートされたのが22時過ぎ。Twitterを見ていた高島鈴が「ブリちゃん亡くなったって……!」と叫んだのが23時前ごろであった。ブリちゃんとけるさんは、犬と人間のあるべき関係性の一つの理想形を体現していらっしゃったように思う。ご冥福をお祈りいたします。
8/8 17時20分頃、ブリちゃんが息を引き取りました。午後から眠ってるのに呼吸が荒くなりその後落ち着いたけど体が冷えてきて、心配なので体を撫でながら先生に電話してる最中に心臓が止まり、穏やかな最期でした。脳腫瘍を発症し半年近く、度重なる発作に耐え本当によく頑張ってくれたね。大好きだよ。 pic.twitter.com/JC4eb1cP6g
— Kerberos🏳️🌈🏳️⚧️ (@Kechiburi0307) 2022年8月8日
ブリちゃんは虹の橋を渡りません。わたしがこの話が好きじゃないからです。でもその代わり、わたしとブリちゃんだけが分かる大好きな場所でいつかまた再会して、一緒に走る約束をしました。もう痛みから解放されて楽になれたね。離れてもずっと一緒だよ!最高の12年間をありがとう! pic.twitter.com/U1rFRzPRqc
— Kerberos🏳️🌈🏳️⚧️ (@Kechiburi0307) 2022年8月8日
けるさんちには、もう一匹の愛犬おかかちゃんがいる。これからはおかかちゃんのエア近所の人として愛でさせてもらおうと思います。
今後は動物を迎えるなら保護犬だけにしようと決めてから家族になれるまで3年以上かかってしまったけど、選んでもらえて本当によかったです。わたしが毎秒感じてる幸せをかっかちゃんに少しでも味わってもらえたらいいな、これからも精進せねば。写真は今日も人様にたくさん触ってもらったおかかです。 pic.twitter.com/BNoqYSZLiT
— Kerberos🏳️🌈🏳️⚧️ (@Kechiburi0307) 2023年4月9日
携帯の待受はシャッフルにしてるんだけど、その中のひとつであるこの写真は本当にいい写真だなとしみじみ思う。 pic.twitter.com/HWZxQnbgCr
— Kerberos🏳️🌈🏳️⚧️ (@Kechiburi0307) 2023年5月14日
9月1日、木曜日。
高島鈴の友達である青本きょうだいが遊びに来る。高島鈴が8月17日に古着屋でお買い物対決をしていた(過去記事参照)おしゃれなお二人である。呉樹とは初対面だが、お互いに高島鈴から話を聞いていたのもあり、しょっぱなからお洋服の話でメチャクチャ盛り上がる。夜までぶっとおしでファッションやメイク、文学、短歌、俳句、フェミニズム、インターネットの話題でおしゃべりを楽しみました。
晩ごはんはピザ。ピザは最高。
9月初旬に、青本きょうだい&高島鈴&呉樹でピザパーティーをしました。なぜ今頃ツイートしているかというと、メンバーの中に締切を抱えている人がおり、「すぐにツイートすると編集さんに遊んでるのがばれる💦」と言っていたからです。 pic.twitter.com/QGxpNREV8v
— 呉樹直己🐢🦪 (@GJOshpink) 2022年9月16日
9月2日、金曜日。
高島鈴に、四季と家父長制がある美しい国・日本が誇る貴重な文化遺産である『美味しんぼ』を布教する。熱心な布教の末に、とくにジェンダー観が激ヤバな「女の華」の凄さを伝えることができて感無量です。
漫画版第4巻第2話、アニメ版第34話「女の華」。女性寿司職人・夏子は、男社会で肩肘張るあまり乱暴な男言葉を使い、客の前でスタッフを怒鳴るなど粗暴な言動が目立つ。寿司の味も刺々しい(?)と女形(!)の客に批判される。そんな夏子に山岡はフランス料理の女性シェフを紹介する。女性シェフは
— 呉樹直己🐢🦪 (@GJOshpink) 2022年9月2日
「どうしてそんなに男に負けるとか勝つとかってことにこだわるんですか?」などとのたまう。女性シェフの姿は「チャーミング」「自然体」と絶賛され、夏子は「男にはない女の特質を最大限に発揮して男と同等な地位を獲得するのが本当」などとポストフェミニズムっぽいことを言われ懊悩。
— 呉樹直己🐢🦪 (@GJOshpink) 2022年9月2日
後日一同が夏子の店を再訪すると、そこにはおしとやかな女言葉を使い、店に花を飾る夏子の姿が。「優しさが寿司にあふれていますな」「心をくつろがせてくれる味」「女の人ならではの優雅さの勝利」などと一同絶賛。ついでに、かねてより夏子を想っていた男と婚約してENDです。
— 呉樹直己🐢🦪 (@GJOshpink) 2022年9月2日
美味しんぼトークは盛り上がり、しまいには「フェミニストによるアニメ美味しんぼ実況Twitterスペース」にまで発展した。その節は皆さん見守りありがとうございました。
9月3日、土曜日。
午後に高島家を辞去。1カ月以上に渡る同居が終了しました。
ただいまーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!! pic.twitter.com/nPOgej3Sws
— 呉樹直己🐢🦪 (@GJOshpink) 2022年9月3日
大人の夏休み、とても楽しかったです。
以上、アナーカフェミニストとの同居日記でした。やっと完結できた……。
高島鈴の著書と、高島鈴と呉樹が両方関わっているZINEもよろしくお願いいたします(宣伝)。