敏感肌ADHDが生活を試みる

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アナーカフェミニストと暮らす(8月5日~8月10日)

 

 

 

www.infernalbunny.com

 

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前回の記事「アナーカフェミニストと暮らす(7月31日~8月4日)」から、実に3カ月ぶりの更新である。もちろん高島鈴宅はとっくの昔に辞去し、先生の家に戻っている。楽しみにしてくださっていた100万読者の皆様、大変申し訳ありませんでした。

 

同居日記の序章にあたる記事「アナーカフェミニストと暮らす」で、「高島鈴を相手に、わたしはこの8月、リアルタイムで他者を描く営みを試してみたいと思う」と宣言した。そして以下のように綴った。

 

そもそも、他者を書くことは暴力である。と思う。だからわたしは、せめてもの線引きとして、同居人の「先生」をブログに書くときは、文中の出来事からある程度の時間を置いてから世に出すように心がけていた。嘘は書かないが、まったくのほんとうのことも書かず、個人情報保護目的ではないフェイクを入れていた。それらの配慮が現実的にどこまで良きほうに作用したのかは定かではないが、少なくとも、わたしの罪悪感を和らげる役目は果たしてくれた。

 

先生も物書きだが、商業小説とブログでは土俵が違う。

 

高島鈴はそうではない。高島鈴は、ブログ的な文章(つまりエッセイ)も書く人間である。しかも、エッセイで単著を出すような、わたしよりずっと力のある書き手である。

 


書くことは暴力だが、高島鈴は必要であればわたしよりもっと強く殴打し、わたしよりもっと深く刺すことができるだろう。わたしが筆を誤って高島鈴を傷つけても、高島鈴は鮮やかに反撃をしてみせるだろう。

 


そんな人間を相手になら、ある程度甘えても許されるのではないかと思う。

 

ということで、しばらくの間、高島鈴との暮らしをブログに書いていくことにする。

 

しかし結果はご覧の通りで、リアルタイム更新はまったくできませんでした。更新しなきゃと焦りながら日々を過ごしてみて気づいたのだが、わたしにとって、出来事をリアルタイムで書かないのは、他者を消費することの暴力性を和らげる以外にも意味があったようなのである。

この3カ月間、本当にいろいろなことがあった。人生の転機に近いようなこともあった。書きさえすればたくさんの人に興味を持ってもらえそうな、「伸びそうな」ネタもあった。どれもことごとくスルーしながら、ふと、自分は「速い言葉」にうんざりしてるんだなあとつくづく思ったのである。

インターネットは、わたしには速すぎる。自分の領域──ブログ──くらいは、速の倫理に乗らないでいたい。

 

 

ということで、3カ月遅れですが、記憶を引っ張り出して、やっていきます。今月中には完結させたいですね。

 

 

 

8月5日、金曜日。わたしの仕事は休み。小腹が空いたときに一緒にコンビニに行く習慣が定着する。高島鈴はコンビニに行くにも服を着替えて寝癖を直す。患っているという醜形恐怖のせいなのか、単なる習慣なのかはわからない。対するわたしは部屋着にぼさぼさの頭で平気である。高島鈴はコンビニに行くにも大きなリュックを使う。現金派なので大きな財布も持っている。対するわたしはキャッシュレス派なのでスマホをポケットに入れただけの軽装備で行く。エコバックを習慣づけておらず、ビニール袋をもらうところは二人と共通である。鬱にエコバッグは難しい。

この日は、わたしと大学の友達二人でやっている読書会の日だったので、夜はしばし自室にこもって通話をした。友達の一人は日本のヒップホップが好きで、その流れで高島鈴を知っていた。

 

高島鈴のヒップホップ批評の一つがこちら。

 

読書会の現在の課題図書は唐戸信嘉『ゴシックの解剖: 暗黒の美学』である。

 

 

8月6日、土曜日。アパートの近くで野良猫を見かける。先生の猫と同じキジ白猫である。耳はさくら耳ではないが、勝手知ったる様子で民家の庭に入っていったので、餌でももらっているのかもしれない。この酷暑は野良猫にはつらいだろう。すべての猫が快適であってほしい。

 

 

8月7日、日曜日。わたしは出勤。職場で扶養控除等申告書をもらってくる。「障害者」にチェックを入れるとわたしが精神障害者であると職場にばれてしまう(わたしはクローズ就労である)。職業柄経理関係のことに詳しい先生にアドバイスをもらい、チェックを入れずに提出してあとから確定申告をすることにする。ついに確定申告デビューしてしまうのか……。先生も高島鈴も確定申告経験者なので、たくさん教わることになるだろう。

 

 

 

8月8日、月曜日。1時間ほど残業。仕事柄、月末から月初に大事な作業が集中する。頑張ったので、マカダミアクッキーを買って帰った。ここ数カ月、わたしはセブンイレブンのマカダミアクッキーにドはまりしており、一度に3袋も4袋も食べてしまう。ちなみに1袋320キロカロリーもある。もりもり食べていたら、食べている姿を高島鈴に写真に撮られて先生に送りつけさせられた。高島鈴はしばしばわたしの写真を撮っては、わたしのスマホから先生に送らせる。先生は一言コメントをくれる。たまにスルーされる。

 

 

 

 

 

 

8月9日、火曜日。ベッドに横になってマカダミアクッキーを食べていると、例によって高島鈴に撮影される。先生に送ると、「寝ながらものを食べるんじゃない!」とのこと。それはそう。

2年近くほぼ毎日わたしの手料理を食べていて、急に一人暮らしになった先生はどうしているかというと、家にあるレトルト食品を食べたりコンビニに行ったり、たまに簡単な自炊をしたりして細々と繋いでいるようだ。この日は、わたしが小分けにして冷凍しておいた鶏むね肉をレンチンしていた。

 

 

8月10日、水曜日。高島鈴は渋谷? のクラブ? でイベント? があるらしく、わたしが譲ったダメージデニムとネイルを身に着けて出かけて行った。「呉樹も来ない?」と誘われたが、陰の者としては、渋谷? のクラブ? のイベント? なんか行っても壁際で地蔵になるのが目に見えているので即答で断る。

 

 

というのは半分冗談で、メンツを見る限り、ちゃんとインクルーシブなイベントみたいでしたが。陽キャ陰キャみたいなつまらない分断はよくないですね。

 

そうそう、高島鈴は、このイベントにかこつけて新しい服を買っていた(結局当日は着なかったようだが)。おすすめのブランドを聞かれて、ファッション好きを自認する者として腕の見せどころだと思い、高島鈴に似合いそうでお手頃価格でイベント向けの華やかな服がありそうなブランドを脳内フル回転で検索。最終的にDesigual(デシグアル)を提案した。バルセロナ発のブランドで、スペイン語で「他とは違う」を意味するブランド名の通り、個性的でカラフルな服がたくさんある。あと、フェミニストにも自信持っておすすめできるポイントの一つが、公式オンラインショップの性別欄に男女以外の選択肢があること。

 

 

高島鈴はヒョウ柄(ヒョウの毛皮の柄ではなく、動物のヒョウ本体が描いてある柄)のイカしたワンピースを買っていた。

 

以上、8月10日までの同居日記でした。

 

もう少し続きます。