敏感肌ADHDが生活を試みる

For A Better Tomorrow

アナーカフェミニストと暮らす(7月31日~8月4日)

 

 

 

www.infernalbunny.com

 

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7月31日、高島鈴宅に到着。こじんまりとした木造の2DK。先生の家(わたしと高島鈴は豪邸と呼んでいる)に比べると古びている。ここ2年で先生の豪邸に慣れてしまったから、地方で一人暮らしのころのハングリー精神を思い出そう、と誓う。早速、旧式給湯器の風呂に戸惑う。

風呂場とダイニングを区切るカーテンが虹色の縦縞をしていて、サーカスかと思ったが、クィアフラッグのイメージだったとのこと。クィアフラッグは横縞のイメージだったので思いつかなかった。フライングタイガーで買ったそう。この家の、カワイイけど役に立たないものはほとんどフライングタイガー製らしい。

 

虹色のカーテン。

 

テレビ台と電灯のスイッチがキラキラのシールでデコられている。高島鈴も元ルームメイトも、心に女児を宿しているタイプの人間だったようだ。

ダイニングテーブルの上には必要なものとそうでないものが散乱している。後者の代表は、手作りの「エッチ」「エッチでない」フラッグ。なんのことかわからないと思うが本当に「エッチ」「エッチでない」フラッグとしか言いようがないもの。元ルームメイトと二人でオタクコンテンツを観ながら振って遊んでいたそうだ。

 

エッチ、エッチではないと書かれた紙の旗。

 

 

 

8月1日、月曜日。高島鈴宅での一夜が明け、わたしは出勤。高島鈴も夜に用事があるので夕食は別々。帰宅したらダイニングテーブルにメモを残してくれていたのだが、指摘されるまで気づかず。

 

高島鈴からのメモ。

 

夜、ミロパーティーをする。マグカップにミロを好きなだけ作って飲む会である。わたしはカフェインが効くタイプなので夜に紅茶やコーヒーは飲めないが、ミロなら美味しくいただける。高島鈴のマグカップは漫画『進撃の巨人』の登場人物、ハンジ・ゾエ。ハンジさんのように生きたいらしい。わたしもハンジさんは大好きなのでわかる。

 

 

 

 

 

8月2日、火曜日。1カ月限定の仮住まいゆえに、部屋を大々的にわたし好みに整えるわけにはいかないことによる不便さが早くも身に染みてくる。トイレにゴミ箱がなく、リビングまで出てゴミを捨てなければならないのが苦痛だ。ゴミ箱が家に一つしかないのが苦痛だ。ゴミ箱が小さくて、ゴミをある程度小さくまとめて捨てなければならないのが苦痛だ。風呂上がりにすぐ手に届く位置に保湿用品がないのが苦痛だ。高島鈴の部屋にドライヤーを借りにいかねばならないのが苦痛だ。ハンガーの首が回らないのが苦痛だ。冷蔵庫が小さくて、ものを丁寧に詰めなければならないのが苦痛だ。全部べつに高島鈴のせいではない。ただ、仕方がないのだ。ひとつひとつは些細なことでも、発達障害者はいつも些細なことの積み重ねに殺されかけている。大好きな友人の家でもその本質は変わらないのだと実感する。かつて、散らかしやの恋人の家に長期滞在したときに、このままでは発狂すると本気で思ったのを思い出す。

同時に、同居人としての先生との奇跡的な相性のよさを再確認する。これだけはいくら感謝しても足りない。

 

 

 

8月3日、水曜日。朝、わたしの出勤前におしゃべりする習慣が定着する。わたしにとっては朝、昼夜逆転生活を送っている高島鈴にとっては寝る前である。朝食(前夜にコンビニで買っておいたおにぎりなど)を食べ、わたしは仕事用のメイクをする。メイク中も隣で応援してもらう。高島鈴は自称PCオータム(イエベ秋)で、わたしは診断済PCウィンター(ブルベ冬)。手持ちのコスメの色味が全然違って面白い。

わたしは7時半ごろに出勤する。今の職場はこの家からもアクセスのよいところで助かっている。高島鈴は、わたしを送り出してから眠りにつくらしい。

 

 

 

8月4日、木曜日。ものを取りに、一時的に先生の家に帰る。猫が好きな高島鈴もついてきて、先生の猫と初対面を果たす。ちゅーるをあげるなどして徐々に距離を縮め、ついには膝に乗せることに成功する。高島鈴の喜びはいうまでもない。

以降高島鈴は、猫をもふった記憶を大切に温めていて、時折虚ろな目で猫の名前を呼びながら虚空を揉んでいる。怖い。

 

撫でられるキジ白猫。

 

わたしの家に来てくれたついでに、わたしの古着と靴と使わなくなったネイルを見せて、気に入ったものを譲る。わざわざフリマアプリを始めたり、古着屋で二束三文で売り飛ばすよりは、友達に着てもらったほうがずっと嬉しい。

 

ネイル。

ブーツ。

デニム。

デニム接写。

 

お返しに、高島鈴の知人のアーティストが作ったというシールをもらう。墓石に、“System of Patriarchy” の文字。「家父長制のお墓」。高島鈴が文字で闘っている人なら、この人は絵やデザインで闘っているのだろう。埋葬せよ。破壊せよ。天皇制を。資本主義を。家父長制を。その人が、ただその人として生きているというだけで迫害してくるあらゆる制度を構造を埋葬せよ。高島鈴は新進気鋭のライターとして多数の仕事を残しているが、根幹にあるメッセージは常に一貫している。わたしは高島鈴の意見にすべて賛同するわけではないけれど、高島鈴が大統領になった世界は見てみたいと思う。高島鈴は権力者の座につこうとはしないだろうけれど。

 

スマホケース。

 

 

 

今日の先生

所用で一時帰宅したら、台所がこれになっていました(中身を洗うところまではできてて偉い!)

 

ペットボトルゴミが散乱している。

 

全部片付けて辞去しました。あと半月一人暮らし頑張ってください。