敏感肌ADHDが生活を試みる

For A Better Tomorrow

アナーカフェミニストと暮らす(8月15日~8月24日)

 

 

 

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前回の続きです。高島鈴との同居日記、やっていきます。

 

8月15日、月曜日。わたしは本来は出勤日だが、お盆のため休み。精神科に行ったついでに先生の家に寄った。相変わらずペットボトルゴミなどが溜まっていたので、片付けて帰宅。高島鈴はまだPMS期間中で、眠気の症状が強いらしく、精神科の予約をブッチしていた。相変わらずわたしに頻繁にかまわれたがる。

 

 

なお、渋谷のクラブイベントの物販の一部を購入させてもらった。ノンバイナリーの漫画家・山内尚さんの同人誌『月経記』。バイナリーではない身体からニュートラルな語り口で発信される月経の話が大好きなのでありがたく拝読する。

 

同人誌。

 

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わたし個人は、タンポンに救われたと言えるほどタンポンが適合した人間なので、タンポンについて書いてみたいと思った。タンポンはいいぞ。もうずっと、ハイジニーナ+タンポン+グンゼのレースなしリボンなし黒色無地コットン100%ショーツで快適に過ごしている(ハイジニーナとは、VIOを無毛にすること)。

 

 

 

 

8月16日、火曜日。お盆休みが明けてわたしは出勤。朝にインスタントスープを作って飲む。この手の粉末スープを作るときに、わたしはお湯の量を測ることはせず適当に入れてしまうが、高島鈴はちゃんと計量カップで測る。ちょっとした部分に個性が表れて面白い。

高島鈴は昼間に精神科通院に成功。不眠症が治らないのでついにラボナを処方されていた。ラボナは古いタイプのかなり強力な睡眠薬で、より安全な睡眠薬が増えた近年は取り扱いが減っている薬である(呉樹は医者ではないが、仕事で薬を扱うのでちょっとだけ詳しい)。正直、希死念慮のある人間にバルビツール酸系の薬を処方するのはどうかと思うが、高島鈴の主治医は高島鈴を信頼しているのであろう。わたしと主治医は金と薬を交換するだけのドライな関係なので、ちょっと羨ましい。

 

 

夜はひょんなことから手話の話題になり、検索して遊んだ。「猫は虫です」という手話を習得した。なんだこれ。

小学生のころに読んで強い印象を受けた漫画に、山本おさむの『どんぐりの家』がある。ろう学校を舞台にろう重複障害の児童を描いた物語で、わたしにとって初めての、手話が登場する漫画だった。懐かしくなり、電子書籍で買い直す。特に3巻の、聴覚障害と自閉症を併せ持つ男児にトイレトレーニングを行う話が一番好きだ。寄宿舎の女性教員が障害児にとってトイレがいかに難しい行為かを説明するくだりは、折に触れて思い出している。程度は違えど、わたしのような精神障害者も、一見簡単そうなことの積み重ねに日々殺されかけているのだから。

 

なんでこんな事ができないのかって思うわよね。イライラして怒りたくなるよね……
でも本当はトイレって難しい事なのよ……

何気なくあたり前にやっているトイレでの動作だけど、意外と多くの手順や動きがある。

男女別々のトイレに入ることから始まって…履き物を履きかえる。便器の前に立つ…
男子だったら前を開けて正確に便器のなかにオシッコをする。

大の時はもっと大変。衣服の上げ下げ、力む事、紙を使う事…終わって手を洗う事まで…私達にとってはあたり前のことだけど、障害の重い子にとっては一大事業だわ。

 

──山本おさむ『どんぐりの家 3』小学館 P.28~P.30より

 

 

 

 

8月17日、水曜日。わたしは出勤。高島鈴は、友達二人と #青本高島お買い物バトル なる遊びに出かけていた。楽しそう。

 

 

夜は高島鈴がお買い物バトルで買ったものを身に着けてファッションショーを開催したので、観客になって拍手をした。ショーの目玉は中古のポンプフューリー。これはナイス買い物。ポンプフューリーの、ヤドクガエルのような毒々しくもキュートな色彩が、高島鈴が持つ毒っ気によく合っている。やっぱ高島鈴はイメコン用語でいうところのPDキュートアバンギャルドだと思うなー。

 

 

 

8月18日、木曜日。外食する予定だったが、高島鈴は月経期間中でへばっており取り止めになった。元気がないようなので、台所にあるもので即興の野菜粥を作る。とても喜んでくれて嬉しい気持ち。何気に初めての手料理振る舞いであり、予定では同居期間中にもっと料理をするつもりだったのだが、結局これが最初で最後になった。夜はおしゃべりに忙しくて料理をしている暇がないがち。

 

 

 

8月19日、金曜日。先生の誕生日が近いので、お祝いのために一時帰宅をした。久しぶりのわたしの自室は、すっかり猫の部屋と化していて、布団の上の抜け毛がすごかった。

 

 

 

久しぶりに自転車に乗って、顔に当たる夕方の風がすっかり涼しくなっていることに気づく。もう真夏のピークは去ったようだ。

 

 

8月20日、土曜日。先生宅の家事を行う日。洗濯、洗濯物の片付け、風呂掃除、ハンドタオル交換、皿洗い、ペットボトルゴミの始末、段ボールゴミの始末、傷んだ食材の処分、家中のゴミ箱からゴミを回収する、ボックスティッシュやトイレットペーパーの補充などを猛然と行う。夜に高島鈴宅に帰還。

高島鈴はマッチングアプリで会った人とデートするなどしていた。高島鈴のマッチングアプリやってみたエッセイはこちら。

 

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8月21日、日曜日。ここ数日で顔にニキビが増えたので、先生宅から持ってきたビタミン剤を朝晩飲むようにする。普段飲んでいるときは効いているのかいないのかわからなかったビタミン剤だが、しばらく飲まないでいると肌荒れするということは、一応効いていたのかもしれない。ついでに口内炎もできた。口内炎ができたのは先生の家に引っ越してから初めてかもしれない。先生のためにやっている野菜多めの自炊が、自分自身の健康にも寄与していたということだ。

高島鈴宅での食事は、基本コンビニ飯である。

 

 

 

8月22日、月曜日。高島鈴は相変わらず不調で、洗い物や洗濯はわたしが請け負っている。それは全然かまわないが、わたしがいなくなったあとが少し心配になる。

 

 

8月23日、火曜日。

高島鈴、崩落。

なにがあったかは高島鈴自身の文章で読んだほうがいいと思うので、ここには書かない。「去年の夏に死んでおけばよかった」との言葉を聞く。返す言葉なし。無力。わたしの出勤時間までひたすら話を聞く。帰ってからも、一つのベッドに二人でごろごろしながら、わたしが眠くなるまでしゃべる。

 

 

 

8月24日、水曜日。高島鈴は相変わらずどん底。二人でやけくそになり、ペニシリンの「ロマンス」を熱唱する。このアパートは壁が薄く、階下の子どもの叫び声など丸聞こえなので、逆になんでもありらしい。

 

ロマンス

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  • PENICILLIN
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

そんな中、高島鈴の初の単著の情報が解禁になる。タイトルは『布団の中から蜂起せよ』。高島鈴らしいタイトルと思う。オアシスのDon't look back in angerの "so I start a revolution from my bed" を連想したのだが、無関係らしい。

 

www.jimbunshoin.co.jp

 

 

 

8月24日までの同居日記は以上です。

まだ続きます。