敏感肌ADHDが生活を試みる

For A Better Tomorrow

ADHDでもチョウ・ユンファ(男たちの挽歌)になれるカーディガンの話

 

 

 

チョウ・ユンファになりたい。

 

ユンファ出演作のDVDたち。

 

そう思いませんか? 思いますよね?

 

チョウ・ユンファとは香港の大スターである。1980年代に、香港ノワールと呼ばれるギャングもの映画に多数出演して名を上げた。中でも有名なのが、ジョン・ウー監督による『男たちの挽歌』シリーズだ。わたしにとってチョウ・ユンファとはこのシリーズの俳優であり、中でも一作目にあたる『男たちの挽歌』(英題:A Better Tomorrow)は、わたしのバイブルとして胸の中に燦然と輝いている。

 

そのチョウ・ユンファになりたい!

 

『男たちの挽歌』でチョウ・ユンファが演じるのはマークという二丁拳銃使いだ。これになりたいのである。『男たちの挽歌』を観て感動した人は誰もが思うはずだ。某画秘宝のようなクセ強めの雑誌なら、「男なら一度は憧れる漢」みたいなキャッチコピーをつけるかもしれませんが、男じゃなくても憧れると思う。老若男女問わず、みんなマークになりたいのだ。

 

この記事では、ユンファに憧れるADHDが、その夢を叶えてくれるカーディガンを見つけた話をします。

 

 

 

 

1.チョウ・ユンファになるためのファッションアイテム2つ

さて、いくらチョウ・ユンファが好きだからといって、日常生活で二丁拳銃をぶら下げたり白い鳩を連れ回したりするわけにはいかない。日常にユンファテイストを採り入れるとしたら、大事なのは、ロングコートとストールだとわたしは思う。香港映画のギャングたちはみんな、ロングコートとストールを身に着けているのだから。少なくともわたしのイメージでは。ちなみに、この記事を書くために『男たちの挽歌』をざっと見返したら、ストールを着けているのはティ・ロン演じるホー兄貴のほうで、マークではなかった。マークは、洗車係に落ちぶれたときに泥だらけのタオルをひっかけているだけでした。おたくは自分の勝手なイメージを本物だと思い込みがち。でも別のジョン・ウー作品ではチョウ・ユンファもストールを着けていたから、これでいいのです。香港映画のギャングといえば、ロングコートとストールなのだ。

 

ロングコートはもう持っている。過去記事でも紹介した、COMME CA ISMのトレンチコートだ。

 

黒のトレンチコート。

 

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しかし、ストールは持っていない。なぜかというと、ストールは、抑鬱ADHDであるわたしにとっては管理が難しいアイテムだからです。

 

2.ADHDにストールは難しい

なぜ難しいのか。理由は3つある。

 

理由① 外出先で失くしてしまうから

外出先で着脱するファッションアイテムは、ほかのことに気を取られている隙に失くしてしまいがちなのだ。だからわたしは、ストールを着けることはしない。加えて、帽子や手袋や傘など身体から離す可能性があるアイテムは安物を買うと決めている。指輪やピアスは、着脱はしないが気づかないうちに落下する可能性があるので、同じく安物を選ぶ。どうせ失くしてしまうと考えて、紛失を前提に管理したほうが気が楽なのである。精神的コストを低くできる。

同じファッションアイテムでも、たとえば腕時計は外出先で外すことは少ないので、とりたてて安物を選ぶことはしない。このような、ADHD流の服の選び方については、過去記事でも詳しく書いたので参考にしてください。

 

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昔はわたしも、大事にしていた帽子を外出先で失くしてしまって落ち込んだりしていた。しかし不思議なことに、上記のように紛失を前提に割り切って着けるようにしたら、逆にめったに落とし物をしなくなりました。自分なりの対処法を見つけたことで自信がついて自己肯定感が上がって、精神的な余裕が生まれたからかもしれません。このように、思わぬプラスの作用も得られるかもしれないので、落とし物が多い人は、いっそ落とすことを前提に身辺を固めるのも一手だと思います。

もちろん、ものは大事にするに越したことはないし、サスティナビリティの観点からも安物を使い捨てるのは好ましくないかもしれません。それでも、鬱やADHDなどの「一般的でない」「健常でない」性質を持っているのならば、自分なりに工夫して生活をよりよくしていくほうが優先だと思います。少しでも楽に生きるために。『男たちの挽歌』のユンファは、植木鉢の中に銃を隠しておいて瞬時に引き抜いて撃つという離れ業を見せているが、あれはプロの殺し屋だからできるのである。一般人のADHDなら、持ち物をあっちこっちにばらけさせて置いてはいけません。絶対失くすから。

 

 

 

理由② 首に布が触れると感覚過敏を刺激されて疲れるから

これはロングコートの選び方の記事でも書きました。わたしは感覚過敏の傾向を持っており、とくに首に布が触れるのが大の苦手で、タートルネックやハイネックの類いは一切着られない。ストールも然りで、首周りに布があると掻きむしりたくなるので、冬どんなに寒くても着けません。

 

とはいえ、香港映画のギャングは、ストールを首にぐるぐる巻くのではなくて、一本の布として両側に垂らしていることが多い(首にかける式のワイヤレスイヤホンのように)。この着方なら首に触れる面積が狭いので、わたしでもなんとか耐えられます。しかし、次項で述べるように、この着方にもADHD的なデメリットがあるのである。

 

理由③ 巻かない着方をすると、着崩れを直すのに気を取られて疲れるから

首の両側から垂らす着方をすると、ストールが固定されないので、身動きをしているうちに片側が長くなったりずり落ちたりする。わたしは、これをいちいち直すのに気を取られて疲れてしまうのである。ADHDはただでさえ脳内の注意力のリソースが少ないので、一度着用したらあとは服のことを考えなくていいようにしておきたいのだ。同じ理由で、シフォンなどの引っかけて破れやすい生地も選ばないようにしている。

 

以上3つの理由で、わたしはストールを着けられないのである。

 

 

 

3.ストールっぽく見えるカーディガンという選択肢

しかしある日、とあるカーディガンを見つけて天啓を得た。

 

カワイイのカーディガンの商品画像。

カワイイのカーディガンの商品画像。

 

onepeace-online.jp

 

cawaiiというブランドの、フリンジミディアムカーディガンなる商品である。11808円。

これはカーディガンだが、襟の下にフリンジがついているので、ロングコートの下に羽織るとストールを垂らしているように見える

不意にそう気づいたのだ。

 

 

 

4.買いました

ということで、購入しました。

 

カーディガンをハンガーにかけたところ。

 

前側に布の余裕とフリンジがあり、ストールっぽく見える。黒色の生地は汚れが目立たないのでADHD向けです(ただしホコリや猫の毛は目立つ)。ホー兄貴やシンは、お洗濯をしてくれる部下がいるから白のロングコートなんか着ていられるのである。一般人のADHDが真似してはいけない。

 

裾フリンジ接写。

 

ポケットがついているのもADHDに向いています。ニット生地なので重いものを入れると伸びてしまうが、煙草やライターや偽札など、ちょっとしたものを一時的に収納するのには十分だろう。

 

ポケット接写。

 

洗濯表示によると手洗い推奨とのことで、つまりは水洗いが可能ということ。水に耐えられるのなら、わたしは洗濯機のソフトモードにかけてしまいます。自己責任だが、今のところそれで支障ありません。

 

タグ接写。

 

一枚で着てみたのがこちら。

 

着画。
着画。

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写真だとわかりにくいが、しっとりした肉厚のハイゲージ生地です。一枚で羽織ってもシルエットが綺麗。春や秋のライトアウターとしても使えそうだ。

そして、ロングコートの下に着てみたのがこちら。

 

着画。

 

……これを見て、まさか誰もチョウ・ユンファリスペクトだとは思うまい。

しかしこういうのは自分にだけわかればいいのです。

前ボタンを開けて闊歩すると、フリンジがヒラヒラして超テンション上がりました。

 

 

 

5.よりよい明日を試みること

以上、ADHDがストールのデメリットを克服してチョウ・ユンファになれた話でした。

 

表面上わたしの行動は、なんてことのないカーディガンを一着買っただけだが、その裏ではこのような思考が働いていたのである。以前のライダースジャケットの記事・ロングコートの記事に引き続き、私的なチョイスの背後にある試行錯誤を言語化してみました。

わたしは日々このように考えながらものを選ぶことで、身辺を少しでも快適にしようとしている。失ったものを取り戻したい、と、ユンファだって言っていたじゃないか。鬱でもADHDでもなんでも、不便感に押し潰されて萎縮して生きる必要はない。わたしたちには、よりよい暮らしを試みる権利がある。型にはまった「普通の暮らし」に挫折して傷ついた誇りを取り戻すために。よりよい生活、よりよい未来 ―― A Better Tomorrow ―― を実現するために。

 

 

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