敏感肌ADHDが生活を試みる

For A Better Tomorrow

ADHD、ライダースジャケットを着る。趣味嗜好と障害特性の兼ね合いの話

 

 

 

秋ですね。冬並みに寒い日もちょくちょくあるけれど、まだ一応秋といっても差し支えない気候なんじゃないでしょうか。

 

紅葉と青空。

 

前置きもそこそこにして、今日は、わたしが愛用しているライダースジャケットの話をしようと思う。めちゃくちゃ急いでます。なぜ急いでいるかというと、一年のうちライダースを気持ちよく着られる期間は非常に短いからだ。春と秋のほんの短い時期にしか適した季節がない*1。しかも、年々短くなってる気がする。もう日本には「夏」と「冬」と「季節の変わり目」しかないんじゃないですかね。うかうかしていたらライダースではしのげないほどの寒波がやってくるので、今のうちに思いの丈を書いておこうと思います。わたしはファッションに凝るのが好きなほうだが、残念ながらいくつかの障害特性を持っているので、「好き」だけで服を選ぶことはできない。必ず、ADHDでも負担なく着用できるか・ADHDでもうまく維持管理できるかを検討してから買ったり着たりしている。わたしの個人的な趣味語りとともに、そこらへんの思考回路も共有していきたいと思います。

 

 

 

 

ライダースはハイコストな服である

いらすとやのライダースジャケットのフリー素材。

photo by いらすとや

 

そもそもめんどくさいんですよ、ライダースジャケットって。不便感を抱えながら辛うじて日常生活を送っている人間にとってはなおさらです。どこが面倒なのか、言語化してみる。

 

①重い、動きにくい

革の服はとにかく重い。わたしは感覚過敏の傾向を持っており、外出時はただでさえ騒音などで疲弊しやすいので、丸一日ライダースを着た日には疲労困憊してしまう。また、革の服は(どんなに着込んで馴らしたとしても)普通の布よりは多少硬いので、腕や肩を動かすたびに微妙な負担感があり、これも体力の消耗に拍車をかけます。

 

そこまでして着たいかというと個人差があるだろう。わたしは着たいので着ている。また、ここ数年はビッグシルエットが流行しているので、オーバーサイズで動きやすそうなライダースも見かけるが、好みじゃないので着ません。いつだってオーソドックスなタイトシルエットが好き(だから余計動きにくくて疲れる)。

 

②手入れが必要

本革製品はたまにクリームを塗ったりしてメンテしなきゃいけない。また、水に弱いので雨に降られないように気をつける必要があります。雨が降りそうなときは着ないとか、傘を持ち歩くとか、予防策を講じるコストがかかる。簡単なことのように思えるかもしれないけれど、鬱のADHDにとっては案外難しいんだな。

ちなみに、革製品に「萌え」がある方々は、メンテの手間すら愛おしんで、むしろ積極的に楽しんでいたりする。その文化はとても素敵だと思うけれど、個人的には趣味でないので、必要最小限のメンテしかしていません。

 

【補足】近年は、サスティナビリティの観点から、本革ではなく合成皮革(エコレザー、ヴィーガンレザーとも)を使用した商品が増えている。しかしわたしは、わたしなりの考えに基づいて、本革の商品も選択肢に入れています(その理由は本筋ではないのでここでは割愛する)。もちろんこれはわたしの個人的な選択であって、エコレザーに切り替えていこうとする企業および消費者の理念・努力を批判するものではありません。

 

③ポケットが小さい

過去記事にも書いたが、ADHDなら、アウターはポケットがついているものを選びたいところだ。

 

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しかしライダースのポケットは、ものによりますがお飾り程度の容量であることが多く、鍵くらいしか入りません。微妙に不便。

 

④季節を選ぶ

冒頭に書いた通り。通気性がよくないのでちょっと暑いと汗ばんでしまうし、本格的な冬には寒い。

 

こんな感じでしょうか。

よって、わたしがライダースジャケットを気分よく着られるのは、

 

・体調がよくて

・晴れていて

・暑すぎず寒すぎず

・咄嗟にポケットがなくてもパニクらない程度には精神的余裕がある

 

日に限られるのだ。そもそもコーディネートとして気分ではない日もあるので、諸々考えると、ライダースを着られる日は一年のうち10日あるかないかくらいなのです。大げさではなく。

 

 

 

『この服がいいね』とは誰も言わないけれど11月17日はライダース記念日

今日は、そんな貴重なライダース可能日だったので、クローゼットから引っ張り出してきましたよ。

 

ハンガーにかけたライダースジャケット。

 

2年くらい前にHAREで買ったやつです。羊革で、2万円くらいでした。

着てみるとこんな感じ。

 

着画。

 

なお、これはまったくの個人的趣味の話なのですが、アウターがライダースのときはスキニーデニムをはくことが多いです。この組み合わせが一番わたしの雰囲気や体型にマッチしているので。だから、上下ともに身体を締めつけられるし、上下ともにまともなポケットがない状態になるんですね。ますます、精神的余裕があるときにしか着られないのです。それに、このデニムはライトブルーなので、月経期間に万一経血が染みたら目立ってしまう。そういう意味でも時期を選ぶコーディネートなのだ。

ちなみに、普段のボトムはおおむねワイドパンツ(黒色)です。締めつけられず、ポケットにものを入れやすく、万一の経血漏れも目立たないのでADHD向け。

 

今日はこのコーデで外出していたのでした。ちょっと暑かったかな。

ちなみに出先はただの近所のスーパーである。先生のリクエストで夕食はおでんにするので、大根やら牛すじやら買い込んできた。

服は趣味なので、気が向けばおめかしててスーパーに行くし、気分じゃなければスウェットでデパートに行く。誰も見ていなくても、着るときは着る。

 

 

以上、ADHDとライダースの面倒なカンケイの話でした。

服などの趣味にせよ、勉強や家事にせよ、日常生活のすべてにおいて、こんな風にごちゃごちゃ思考しながら過ごしています。面倒といえば面倒だが、少しでも快適に生きるためにはそうする必要があるから。

毎日こうして、よりよい生活を試みている。

 

 

青空と雲。

 

 

 

余談

外出中の経血漏れは、月経当事者にとってはとてもリアルで身近な懸念だと思うのですが、フィクションの中で描写されることは少ない。しかし最近では、漫画『アスペル・カノジョ』でさらっと描写されていてちょっと感動した。

描写があるのは2020年11月11日発売の第9巻。

 

アスペル・カノジョ(9) (ヤンマガKCスペシャル)

アスペル・カノジョ(9) (ヤンマガKCスペシャル)

  • 作者:森田 蓮次
  • 発売日: 2020/11/11
  • メディア: コミック
 

 

第5巻にも、まるまる一章を割いて月経痛の描写があります。

 

 

『アスペル・カノジョ』は、ASDという、フィクションの中では「いないこと」にされがちなマイノリティ属性を持ったキャラクターを真正面から扱っている。同じく、女性身体の描写においても、当たり前にあるものを当たり前に描くスタンスが徹底されているところに感動しました。

 

過去に書いた『アスペル・カノジョ』の感想記事もどうぞ。
www.infernalbunny.com

 

第1話の無料試し読みはこちらから。

comic-days.com

 

 

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ADHDと着道楽を両立させるための試行錯誤の話。

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*1:あくまで、本州に住んでいるわたしの体感です。沖縄地方などの南方だと違ってくるのかもしれません。