以前に、“12時間2000円で買える南の島” と題して、もうだめだの気持ちになったときにネットカフェに亡命する話を書いた。
今回は、同じような話で、精神的に追い詰められたときのスーパー銭湯・温泉のすすめについてゆるっと書いていこうと思います。
※ただし公衆浴場はネットカフェとは違って、心理的抵抗や、疾病・身体機能の問題あるいはジェンダーの問題で、独自のハードルが存在するのは周知の通りだ。万人に可能な選択肢ではないので、各自、自分の状態と相談ということになる。以下、選択肢がある人向けの文章になります。
1.「休息」をしよう
「休息」、してますか?こころのエネルギーが足りていない人は心身を休めなきゃいけないわけだが、ちゃんと休むのにも実はリテラシーというか準備というか、それ相応の労力が要る。だから、鬱のドツボにはまっている人の「休息」って、全然休息じゃないことが多いんですよね。夜とか休日に布団に横たわっていたとしても、ちゃんと休める環境が整っていないことが多い。
×
休息している
◎
机の上には提出期限を過ぎた重要書類、
税金や公共料金関係の振込用紙、
レンタルCDやDVDは延滞中、
クレカを使いすぎて口座残高が足りない気がするけど確認する勇気はなく、
電話アプリには諸々を催促する鬼電、
その他本当は今すぐにでも折り返すべき大事な着信履歴がいっぱい、
メールもLINEも未読の山、
仮に遊びに誘われても日程調整を自分のとこでストップさせて友達を困らせ、
(家族と同居している場合は)家族が喧嘩していないか、家族が自分を攻撃してこないかビクビクし、
それらすべてを気にして注意力のリソースと自尊心を削られながら、目は血走り呼吸は早く身体は強張り、じりじりと焦燥感に焼かれつつ、スマホにかじりついてSNSとかYouTubeとか受動的な趣味に時間を空費している。そうこうしているうちに午前2時。お腹は空いてるけどお金もなければ自炊する体力もない。ちなみに今日も朝から仕事。
……みたいな。
これでは、身体は安静にしていたとしても、心はちっとも休まらないわけです。
2.ちょっとした転地療法としての公衆浴場
そういうときは、自室そのものがストレス源と化している場合が多い。部屋が散らかっていて、デフォルトで脳内に入ってくる情報量が多いなら尚更。焦燥が極まって首とか吊る前に、早急に転地療法を行いましょう。周囲をまったく気にしなくていい、周囲に注意力のリソースを割かなくていい場所に移動しましょう。精神的に「ひとり」になれる場所に避難しましょう。
たとえ一人暮らしの静かな部屋にいたとしても、注意力のリソースを割かれるもの(書かなきゃいけない書類とか)に囲まれている状態では、くつろぐのは難しいです。休息する時はね、誰にも邪魔されず 自由で なんというか救われてなきゃあダメなんだ。独りで静かで豊かで……。
ネカフェに逃げても公衆浴場に逃げても、もちろん根本的な課題は解決しない。具体的な懸念に対処するには、別途の工夫が必要です。しかし、水面に上がって息継ぎをするような感じで、いまこのとき人心地つくことはできるんじゃないでしょうか。心をガリガリ削ってくる雑念から、一時でも逃れなきゃいけないときもある。自分を明日も生かしておくために。ネガティブ思考でいっぱいの脳を落ち着かせて、少しでもリフレッシュして、よりよい明日を試みるために。
3.そうだ、銭湯行こう
そんな転地療法の行き先として、スーパー銭湯や温泉施設は、なかなかいい線いってると思う。もちろん、観光地にあるような高価な温泉の話ではない。一回数百円で入れるような街中の銭湯や、1500円あれば満喫できるようなスパや健康ランドの話である。どこでもいいが、予約とかなしでふらっと行ける場所であるべき。鬱で頭が弱っていても、思考力不要でアクセスできることが大事なので。
入浴中は、強制的に身ひとつになる。あらゆるストレス源から強制的に離れることができる。ついつい触ってしまうスマホを見ないで済むのも、現代人的にはいいことですね。
自分の脳からは離れられませんが、それも、湯船につかっているうちに少しはほぐれて、とろけていく。いい意味で思考が散漫になる。一極集中しなくなって、精神状態が「整う」。
死にたくなったら、公衆浴場に駆け込みましょう。
サウナにこもって “うおォン 俺はまるで人間火力発電所だ” となるまで粘るもよし。“腹もペコちゃんだし夜食でも食ってひと息つくか” と思ったらなにかつまんでもよし。束の間の自由を満喫しましょう。
普段から、最寄りの公衆浴場へ行くために必要な最低限の金額(交通費や入湯料、タオル代など)を概算しておいて、これさえ残っていれば道はある、と精神的なお守りにしましょう。
いつか首を吊るにしても、もうちょっと先にしよう、と思えるようになります。
4.銭湯に持っていく化粧品の話
最後は、美容ブログ(?)の端くれとして、公衆浴場でのスキンケアについて書いておきたい。
ありがたいことに老若男女問わず読んでいただいてますし、美容ネタに特化するつもりはないんですが、わたし自身、美容関係でADHDや精神的弱者向けを標榜した情報源が少ないと感じているので、優先的にアウトプットするようにしています。美容ネタもそれ以外のお役立ちネタもどんどん書いていくつもりなので、覗いて行ってね。
女湯は、脱衣所に最低限のスキンケア用品が置いてあることも多いが、肌に合わなかったときのために、一応自分でも持っていくことにしている。
最近の個人的なお気に入りは、50の恵のオールインワンジェルのトラベルサイズである。過去の記事でも紹介した。ハーブっぽい素朴な香りで、温泉気分を壊さないのが気に入っている。
コンビニで使い捨てパウチのトラベルセット(極潤、FANCL、ビオレ、ちふれ、雪肌粋あたりがよくあるよね)を買うのでもいいんですが、銭湯に定期的に通うならコスパが悪い。それに、「銭湯に逃げるとき用」のスキンケア用品を普段から見えるところに置いておくと、これまた精神的なお守りになります。持ち運びしやすい容器のオールインワンジェルを常備しておくの、おすすめです。
持ち運びのしやすさなら、チューブ容器が一番。プチプラでチューブ容器でノンアルコールのオールインワンジェルなら、セザンヌと無印良品のものが有名です。
・セザンヌ うるおいオールインワンジェル
公式サイト うるおいオールインワンジェル : 商品ラインナップ : CEZANNE/セザンヌ化粧品
100グラム880円。
・無印良品 敏感肌用オールインワン美容液ジェル
※最近、無印良品のリンク表示が文字化けしていることがありますが、リンク先は正常です。
30グラム350円から複数のサイズあり。無印良品のオールインワンは、敏感肌シリーズ以外のものもすべてアルコールフリーである。
どちらも、片手ワンタッチで開けられるヒンジキャップなのがいいですね。旅行用や、あるいは寝込んでいるときに枕元に置いておく用に、ひとつ持っておいたら便利だと思います。ちなみに、鬱のADHDであるわたしには、トラベル容器に化粧水を詰め替えるなんて作業は不可能です。必ず、持ち運び用スキンケアを別途常備するようにしています。いいじゃないか、いいじゃないか。そういうのでいいんだよ。
プチプラ&チューブ容器&アルコールフリーのオールインワンジェルは、こちらの記事にまとめてあるので参考にしてください。
ボディクリームとアウトバストリートメントは、1日くらいつけなくても問題ない派なので、持って行かないこともあります。各自の肌状態とご相談ください。
持って行く場合、最近の個人的なお気に入りはこんな感じ。
Glossy Body Milkは、美的2019年7月号の付録です。付録とかサンプルは、こういう機会に活用してしまおう。
肌ラボのスキンコンディショニングオイルは、顔にも身体にも髪にも全身に使えるのが便利。杉やヒノキっぽいひなびた香りがするので、ちょっと遠くの、薬湯を扱っている健康ランドに足を伸ばすときに持っていくことが多い。薬湯気分を壊さない。バイブスがアガる。
以前に紹介した記事
www.infernalbunny.com
薬師堂のソンバーユ(液状)も全身に使えます。馬油は美容効果が高いらしく、美容系インフルエンサーさんもおすすめしていたりする。
ジャー容器の軟膏状のものが有名だが、液状タイプのほうが断然おすすめです。角質層への浸透に優れているし、酸素を遮断する注入容器に入っているので酸化しにくく長持ちする(添付のカタログより)。なお、薬局ではスキンケアコーナーではなく医薬品コーナーにあることもあるので注意。
公式サイト 商品カタログ|ソンバーユ(馬油)と梅雲丹の薬師堂
▼パッケージ裏と説明書。
ちなみに、行き帰りの道中は、個人的にはメイクはしません。せっかくさっぱりホカホカした肌に余計なものをつけたくない。それでも、日中であれば日焼け対策はしておきたいので、キャンメイクのマーメイドスキンジェルUVだけ塗ります。SPF50+・PA++++で、“洗顔後すぐに使える” “美容液成分85%配合”という触れ込み。スキンケア効果とかはよくわかりませんが、小ぶりのチューブ容器で持ち運びに便利だし、乾燥しない(むしろちょっとベタつく)ので使っています。もちろんアルコールフリーで、洗顔料で落とせる。
公式サイト マーメイドスキンジェル UV | CANMAKE(キャンメイク)
▼パッケージ裏。
以上、公衆浴場のすすめでした。
本格的な冬を迎えて、精神まで凍えがちな季節になりました。精神は目に見えないので、直接お世話することはできませんが、身体は外から温めることが可能です。そして、身体が温まれば、心も一緒にほぐれてきます。
人は誰しも、大事なものには手間暇をかけ、コストを投入し、お世話をします。大事でないものは顧みません。であれば、逆説的に、自分の身体を労わりコストをかけることで、自分は大切な存在なのだと言い聞かせることができます。皮膚を通じて、魂そのものを慰撫することができます。
あったかいお湯につかりましょう。今日を生き延びるために。よりよい明日を試みるために。
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