最近、ヴィーガンに興味を持っている。ヴィーガン(vegan)とは、動物性成分を摂取しない主義およびそのような主義の人を指す。多くは食生活において適用されるが、皮革製品や動物実験を行った製品を利用しないなど、生活全般にも適用される思想である。
ヴィーガンに悪いイメージを持っている人は少なくないことと思う。わたしも昔はそうだった。わたしの中でヴィーガンのイメージは、動物愛護を振りかざす一方で植物の生き生きとした姿を解する感受性を持たない、押しつけがましく高慢ちきなお金持ちの偽善者だった。小学生のときに読んだ漫画『美味しんぼ』でベジタリアンの女性がそのように描写されていた影響である。その漫画では、主人公が植物の芽生えのライムラプス映像を女性に見せて植物の生命力を説いて「論破」するのだが、今となっては、ベジタリアン/ヴィーガンの誤ったイメージを助長するストーリーであったとわかる。今わたしが理解している限りでは、ヴィーガンの思想は動物愛護に留まらない、脱搾取を最終目標とした包括的なものである。肉食は植物食に比べて環境への負荷が極めて大きいことはデータとして証明されており、動物性成分を避けることは「動物が可哀想」といった感情の問題ではなく、持続可能なよりよい社会を作るための合理的な選択たり得るのである。たとえば、地球温暖化の原因の一つは家畜の放出するメタンガスや食肉処理過程で生じる大気汚染であり、一部地域においては水資源の不足や海水面の上昇による土地の減少という形ですでに問題化している。環境保護は遠い未来の話ではなく、今を生きる人々の生活を左右する緊急の課題なのだ。
もちろん、ヴィーガンであるためには栄養面その他の代替物にアクセスできる必要があり、ある程度の金銭的・精神的余裕は必須である。ヴィーガン製品自体は一般的に高額だし、有名なヴィーガンもハリウッドセレブをはじめとした高所得者が多い。ヴィーガン食材を扱うスーパーやレストランも、多くは都会にしかない。富裕層の偽善であるとする批判・反感はこのようなイメージからくるのだろう。しかし、事実として、われわれが動物食を今のペースで続けていくことは不可能なのだ。であれば、富裕層ではないわたしにしても、ローコストで始められる部分だけでもヴィーガン的ライフスタイルを採り入れることには意義があると思うわけです。
精神障害者には珍しくないことだが、わたしは規則正しい食事が不得手である。ほぼ毎日抑鬱がある中で、限られた精神的コストを使って自炊をしている。食事に今以上のコストをかけることは、現状では難しい。だが、わたしの自発的な興味の対象である──つまり、精神的コストを割くことが可能である──美容の分野でなら、ヴィーガン製品にお金を落として支援し、生活に採り入れていくことは不可能ではない。よって、しばらく前から、ヴィーガンコスメを積極的に買うようにしている。せっかくなので、ブログにまとめていこうと思います。
今回は、マニキュアのまとめです。ヴィーガンネイルは通常のネイルよりも高額なものが多いが、中でも比較的低価格なものを集めました。着画はすべて2度塗りです。
- 1.マヴァラ ネイルカラー
- 2.リンメル カインド&フリー ネイルポリッシュ
- 3.レブロン ウルトラHDスナップ
- 4.OPAQUE.CLIP(オペークドットクリップ) BEAUTE DE OPAQUE(ボーテドオペーク) ヴィーガンネイルポリッシュ
- 5.ZOYA(ゾーヤ) ネイルカラー
- 6.ネイルズインク プラントパワー ネイルポリッシュ
1.マヴァラ ネイルカラー
価格:770円 容量:5ミリリットル
マヴァラはスイスのネイルブランドで、ちょっと大きめのドラッグストアやバラエティッショップにはよくある。ヴィーガンネイルであると知らなかった人も多いのではないでしょうか。日本で簡単に手に入るヴィーガンネイルの中では最も安価であり、カラーバリエーションも豊富だ。画像は218 ミンスク。ミンスクとはベラルーシの首都である。東ヨーロッパの曇天を思わせるパープルがかったグレーがおしゃれです。
デメリットとしては、ハケの持ち手(ネイルボトルのキャップ)が太くて短くて持ちにくいことだろうか。ハケ自体も毛量が少なく、塗りにくい部類である。安価なのだから仕方ないが。
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マヴァラは2023年7月に日本撤退を発表しており、現在セール中である。お買い得なこの機会におすすめだ。
ヴィーガン認証:日本版公式サイトにはヴィーガン認証を取得していると記載があるが、種類は記載なし。
2.リンメル カインド&フリー ネイルポリッシュ
価格:990円 容量:8ミリリットル
カインド&フリーは、イギリスのプチプラコスメブランドであるリンメルから2023年4月に発売されたヴィーガンラインである。現在、フェイスパウダー・BBクリーム・コンシーラーそしてマニキュアが発売されています。店舗では、リンメルの棚ではなく別途棚が設けられていることが多い。リンメルは取り扱いがあってもカインド&フリーは取り扱いがない店もあるので注意です。画像は152 タイダルウェーブブルー。白味の強いライトブルーで、夏にぴったりだ。
ハケは、ミニサイズのプチプラネイルには珍しく、筆先が丸くカットされており、大変塗りやすい。おすすめです。
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ヴィーガン認証:認証マークあり。公式サイトには、英国動物実験廃止連盟(BUAV)が設立した動物実験の廃止を求める国際的な非営利団体クルエルティフリーインターナショナル(Cruelty Free International)のリーピングバニー(Leaping Bunny)マークがあり、動物実験を行っていないことが証明されている。
ネイルボトルにはVEGANと記されたマークがあるが、こちらはどこかの団体のものなのかは不明。
3.レブロン ウルトラHDスナップ
価格:1100円 容量:8ミリリットル
レブロンはアメリカのプチプラコスメブランドで、ヴィーガンネイルであるウルトラHDスナップは2023年に定番化した。ドラッグストアやバラエティッショップで簡単に入手できます。画像は003 ブライトサイド。プチプラネイルではあまり見ない、鮮やかなピスタチオグリーンです。
ハケは持ち手が大きく、筆先は平らな扇形で塗りやすい。おすすめです。
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ヴィーガン認証:日本版公式サイトには情報なし。
4.OPAQUE.CLIP(オペークドットクリップ) BEAUTE DE OPAQUE(ボーテドオペーク) ヴィーガンネイルポリッシュ
価格:1210円 容量:記載なし
BEAUTE DE OPAQUEは、ファッションブランドのOPAQUE.CLIPがオーガニックコスメのセレクトショップであるコスメキッチンと共同開発したコスメライン。ちなみに、「オーガニックコスメ」「ナチュラルコスメ」を名乗るためには「ヴィーガンコスメ」とは違って動物性成分や動物実験に関する規定はないので、単に植物性成分が多く含まれていることのみを示す場合が多い。BEAUTE DE OPAQUEは現在、ネイルだけがヴィーガン仕様で、ほかのアイテムは「ナチュラル」「自然派」といった表現に留まっている。
なお、ヴィーガンコスメをはじめとした植物性成分主体のコスメは、そのクリーンなイメージから「天然由来で肌に優しい」などと表現されることが多いが、植物性成分主体であることと人間の肌に低刺激であることはイコールではないので過信しないようにしてください。食物アレルギーが存在することからもわかる通り、自然のものでもアレルゲンや刺激の元になることはあるし、ワセリンのように化学の産物でも安定的で低刺激な成分は存在する。
画像は007 ゴールドグリッター。黄味が強くない、シャンパンカラーの涼しげなゴールドです。むしろ黄味のシルバーと言ってもいいかもしれない。あまり見ない絶妙おしゃれカラーです。
ハケは毛量少なめの四角い筆先で、塗りやすくはないです。
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ヴィーガン認証マーク:公式サイトには情報なし。
5.ZOYA(ゾーヤ) ネイルカラー
価格:1980円 容量:15ミリリットル
ZOYAはアメリカのネイルブランド。大きめのドラッグストアやバラエティッショップで取り扱いがあり、実はヴィーガンネイルである。画像はZP1007 ETTA。ダークでメタリックな赤紫。ZOYAはヴィーガンコスメのなんとなくナチュラルなイメージを裏切るような派手色をたくさん出しているので、カマしたいときにはおすすめです。
ハケは毛量少なめで細くて不便。
製品説明はこちら。
ヴィーガン認証:日本版公式サイトには情報なし。
6.ネイルズインク プラントパワー ネイルポリッシュ
価格:2750円 容量:14ミリリットル
ネイルズインクはイギリスのネイルブランド。1本2000円オーバーなので安くはないが、14ミリリットルと大容量かつ、二重蓋つきで液の劣化が遅いのでコスパはいいほうであり、また販路も広く入手しやすいので総合的に判断して取り上げた。プラントパワーというシリーズのみがヴィーガンネイルにあたる。画像はフリータイムイズミータイム。公式によると「コットンのように潔く柔らかな色めきで指先から自由に楽しむパウダーホワイト」で、肌馴染みのいいグレーニュアンスのホワイトです。修正液のようにのっぺりしない。
ハケは毛量多め太めのラウンドカットで塗りやすい。高級ネイルだけあります。
製品説明はこちら。
ヴィーガン認証マーク:なし
公式サイトにはヴィーガンネイルであると明記されているが、ボトルや日本版公式サイトには認証マークは見当たらない。
【2023.10.19 追記】
ボトルや日本版公式サイトには記載がないが、PeTA認証(ピータにんしょう)を獲得しているそう(出典:「ネイルズ インク」のヴィーガンネイルカラーが登場 ブランド史上”最も爪に優しい”処方に)。
PeTA認証とはアメリカの動物愛護団体People for the Ethical Treatment of Animals(動物の倫理的扱いを求める人々の会、PeTA)によるもので、ヴィーガン認証と同等の資格と考えてよい。
以上、低価格なヴィーガンネイル6選でした。
生活のすべてをいきなりヴィーガン仕様にするのは難しい。物価高や低賃金に泣いている庶民にとっては不可能に近いかもしれない。それでも、ゼロか100かで考えて諦めるのではなく、自分にできる範囲からよりよい消費を目指すことはできる。最初のとっかかりとして採り入れてみてはいかがでしょうか。
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