ハンドクリーム兼用ヘアワックスという選択肢の落とし穴 ~敏感肌ADHDが美容を試みる vol.9~

 

季節の変わり目は人が沈む。

 

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精神疾患を持つ人間にとって、季節の変わり目、特に冬から春へと移り変わるこの時期は、特に体調を崩しやすい危険ゾーンだ。わたしの友人たちも見渡す限り壊滅状態、わたし自身も少なからずダメージを受けている。久々に、臨床心理士の前で号泣するところまで落ちていた。

しかし、今までだって苦しい中をなんとか立ち上がってきたからこうして生きているのだ。繰り返し襲ってくる抑鬱の波に揉まれる中で、昨日よりは今日、今日よりは明日をより楽に生き延びるために、歯を食いしばって積み上げてきたわたしなりの試行錯誤がある。その過程で生まれたエモーションや方法論を、せっかくだからインターネットの海に放流するために、このブログを作った。

 

わたしにとって、このブログは役に立つ。わけもわからず鬱にもがいていた昔のわたしが読みたかった文章を、今おのれの手で書いている感覚でいる。

インターネットの向こう側にいる誰かにとっても、少しでも参考になれば幸いです。

 

美容に対するわたしのスタンスを書いた記事。美容は最強の自己肯定ツールだ。

www.infernalbunny.com

 

さて、今日はゆるっとヘアスタイリングの話をします。主にADHD的ヘアワックスの選び方についてつらつらと書いていく。長いです。

 

 

 

ADHDのわたしでも維持できる髪型

ここ1年ほど髪型は固定である。前髪なしのワンレンロングのポニーテール。前はいわゆるかきあげ前髪っぽく立ち上げるか、ゆるく真ん中で分けるか、オールバック。後ろのポニーテールの高さによって全体のシルエットがかなり変わるので、印象を変えられる。現時点では、これが一番わたしの顔や服装に似合う。そして何より、維持が楽だ。前髪ありの髪型だとどうしても美容院に行く頻度が上がるが、前髪なしワンレンは基本伸ばしっぱなしでいい。美容院では、毛先の傷んだ部分を軽く整えてもらう程度。気が向いたときに行けばいい。

 

美容院の精神安定効果

美容院、苦手ですよね? わたしもです。まず予約の電話をできる精神状態にもっていくのがハードル高いし、予約時間に間に合うように外出できる状態を作るのも難しい。お気に入りの美容院ができても、一度予約キャンセルをしてしまうと申し訳なくて二度と行けない。それどころか、美容師さんにばったり会うのを恐れて美容院の周辺を歩けなくなる。美容師さんにとっては1回目のキャンセルで、1回ですら大迷惑なのにこちらとしては何百回目かの悪行なわけで、実感としてはそろそろ逮捕令状が届いてもおかしくない。この悪行が原因で人間関係を自ら手放してきた経験が蘇る。今まで重ねてきた罪の多さに戦慄し、いつか全世界から信用を失うのではないかと恐れおののく。それでも、外に出られないときはどうしたって出られないのだし、根本的な解決策はない。死んで詫びになるのならとっくに死んでいる。指の1本や2本詰めてもいい。もういっそ人間を辞めたい。孤独でもいいから、世界に一匹だけの生き物として、誰とも関わらずひっそりと自己完結して生きていきたい。

でもそれは不可能だから、仕方なく人間のふりをして生きている。いつか逮捕令状が届くかもしれない。時限爆弾を抱えている気持ちで、「社会」に怯えながら、今日もなんとか一日一日を逃げ延びている。

 

……みんなそんなところだと思う。

 

それでも、美容院という場所には一抹の精神安定効果がある。他者に身体のケアをさせるという状況を合法的に作り出せるんですよ。お金を払っているとはいえ、冷静に考えると凄いことだ。

他者に身体を尊ばれるという体験は、傷だらけの自己肯定感に対して劇薬級の効果がある。美容院の椅子の上では、人は平等に扱われる。ただの「あたま」として、プロの技術で髪を洗って、切って、整えてもらうことができる。容姿も、社会的地位も、精神障害も、なにも関係なく、一人の客の権利として、払ったお金のぶんだけ一律のサービスを受けられる。来たときよりもすっきりした姿になって、笑顔とともに送り出してもらえる。

こんな素敵な場所は、日常生活においてそうそうないんじゃないでしょうか。エステやマッサージや鍼灸は、セルフケアできるだけの自己肯定感がないと行けないが、美容院なら誰でも行けちゃう(髪は容赦なく伸びるから行かざるを得ない)のもポイント。

美容院、おすすめです。行きましょう。漫然と行くのではなく、セルフケアするぞ!という意図を心の隅に留めて、行きましょう。美容院はハードルが高いという話を長々としたのに、解決方法を一切提示しないままに言ってみる。

 

美容院ハードル高い問題に関しては、わたしは予約不要の理容院に行くという超解決策で克服しました。

もちろん、理容院だと凝ったパーマなどはしてもらえないし、トリートメントメニューもない。おしゃれ度は下がるかもしれない。混んでいて長時間待つこともある。

それでも、飛び入り可なだけでなんぼか楽なので、わたしは理容院に行っています。他者が身体をケアしてくれるという本質は、美容院でも理容院でも変わらないので。あと、単純に金がないので。

 

ヘアワックス、どうする?

さて、かきあげ前髪をするようになってから、ヘアワックスの必要性に気づいた。望みの髪型を朝から晩まで維持したければ絶対に必要だ。ただ、このヘアワックスというやつは中々に曲者だった。まず、つけたあとの手がベタベタする。髪もベタつくから念入りにシャンプーしなければならない。日々のルーティンに労力が増えてしまう。

そこで、極限までローコストな化粧として洗顔不要のベースメイクを開拓したのと同じ発想で、ハンドクリーム兼用ヘアワックスというプロダクトに行きつきました。

普通のヘアワックスは、手に付着したら洗い流しを必要とする。しかしハンドクリーム兼用ヘアワックスは、保湿クリームと兼用できる作りになっているので、洗い流さずにそのまま手や首筋に馴染ませてしまえるのである。最高か。

もちろんデメリットはあり、オーガニック成分が主体だからか、どの商品もスタイリング力は弱めな気がする。わたしは立ち上げた前髪を軽くキープする程度のスタイリング力があれば十分なので使えているが、ガッチガチに固めたい人や剛毛の人には向かないだろう。

また、ハンドクリーム兼用(さらにリップクリーム兼用を謳うものもあり)とはいえ、ハンドクリームとしての効果を求めてわざわざつけるのはおすすめしない触ってみたら一目瞭然ですが、やはりハンドクリームとしてはベタつくので……。あくまで、洗い流しが雑で多少手に残っていても大丈夫!というお守りとして使うのがいいと思います。ここらへんの匙加減は「スキンケアも肌色補正もできるクリーム」の活用法と近いものがある。

 

ハンドクリーム兼用ヘアワックスの落とし穴

ハンドクリーム兼用ヘアワックスを使うと楽だみたいな話は以前の記事にもちらっと書いていた。オルビスの「手と髪」、買う前に廃盤になってしまって悲しい。いつまでもあると思うなコスメと金。

 

さて、ハンドクリーム兼用ヘアワックスという製品には、実はADHD的に要注意な落とし穴がある。

「ハンドクリーム兼用ヘアワックス」をざっとググってみると、十中八九、以下の2つの製品が選択肢に浮上してくることと思う。

 

ザ・プロダクト ヘアワックス 42g

公式サイト product - Hair Wax

プロダクトのヘアワックス

ナプラ N. ナチュラルバーム 45g

公式サイト STYLING – LINE UP – N. (エヌドット)

N.(エヌドット)のナチュラルバーム

 

超有名な王道商品だ。口コミもいい感じで、値段も手頃だし、うっかり買ってしまいそうになるが、ADHDならこの2つは要警戒だ。

そう、2つとも、スクリューキャップの瓶容器なのである。

スクリューキャップ(回して開けるタイプの蓋)はその構造上、片手ワンタッチでは開かないし、蓋と本体が分離してしまう。

つまり、

①片手で瓶を持ち上げる

②もう片方の手で蓋を回して開く

③蓋をどこかに置く

④中身のワックスを手に取る

⑤瓶をどこかに置く

⑤ワックスを髪につける

⑥蓋を閉めて瓶をしまう

という膨大な労力(ワンステップ以上の労力であればすべて「膨大な労力」とカウントしましょう)を要するわけで、忙しい朝にスタイリングするのにこの構造は最悪といっていい。その一手間が命取り。

また、どうにか使いきったとしても、瓶容器は資源ゴミに出さねばならないので処分に労力がかかる(わたしが住んでいる地域の場合)。日用品はできるだけ、毎週回収してくれる可燃ゴミか不燃ゴミの範疇で収めたほうがいい。使っている最中には問題にならなくても、廃棄する段になって労力が発生するのであれば、それはコストの後払いだ。

 

つまり、うっかりスクリューキャップの瓶容器という商品を選んでしまえば、

◆使いにくさという、使っている最中にずっと継続するコスト(=コストの分割払い

◆捨てにくさという、使い終わったあとに発生するコスト(=コストの後払い

という二重のコストを背負わされるのだ。

わたしはこれが嫌なので、最初からスクリューキャップの瓶容器を避けて商品を選ぶという労力のほうを選ぶ(=コストの先払い)。

 

以前に書いた記事。容器を吟味してコストを最小限に抑えることの大切さについて。

www.infernalbunny.com

 

以上の理由によって、プロダクトのヘアワックスもN.のナチュラルバームも、選択肢から外れるのである。

 

※ただし、“瓶の廃棄にコストがかかる” に関しては、

◆資源ゴミを常時一括で回収してくれるタイプの住居に住んでいる

◆行動圏内に瓶ゴミを回収してくれるスーパーがある

等の場合は問題にならないだろう。ゴミの分別方法は各自治体によっても違うし、各自の生活スタイルとご相談ください。わたしの住居は格安ワンルームで、24時間ゴミ出しOKサービスなどは当然ついていないため、瓶と缶は避けるようにしている。近所のスーパーが回収してくれるのはペットボトルのみだし。

 

ヘアワックスの容器、どうする?

さて、スクリューキャップの瓶容器というものがADHDに不向きなことはわかった。では、ADHDが選ぶべき容器はなにかというと、個人的にはチューブ容器一択だと思う。取り出しやすく、密閉性が高く、持ち運びもしやすい。

チューブ容器で、さらにヒンジキャップ*1であれば、

①片手で容器を持ち上げながらキャップを押し開ける

②そのままもう片方の手に中身を絞り出す

③キャップを閉めながら容器を置く

④髪につける

という、圧倒的時短を実現できる。スクリューキャップであっても、瓶のスクリューキャップよりは扱いやすい。

 

※ヘアワックスは、化粧水や乳液とは違って流石にポンプヘッド容器では展開がない(液状に近いスタイリング剤であるヘアジャムやヘアミルクなら、ポンプヘッド容器のものが存在するが、ワックスに比べてスタイリング力が弱い)。

 

ハンドクリーム×ヘアワックス×チューブ容器のコンボ

これにて、ADHDのわたしがヘアワックスを選ぶときの条件が出揃った。 ①ハンドクリーム兼用 ②チューブ容器 の2つだ。

これらを満たすものを近所のバラエティショップで探したところ、以下の3つが見つかりました。ヘアワックスの多くは広口スクリューキャップのジャー容器で展開されているので、たったの3つである。

 

1.MBスタイル エアデザインワックス

Amazon取り扱いなし

公式サイトが見つからなかったので、PLAZAのオンラインショップ

www.plazastyle.com

 

60グラム1000円。ヒンジキャップ。同じシリーズにソフトアレンジワックスという製品もあるが、エアデザインワックスのほうがスタイリング力が高い。

3つの中では一番安価。取り扱い店舗が多い(PLAZA・ロフト・東急ハンズで見かけた)。

個人的には、パッケージデザインが好みでないのと、香りがキツいのとで保留になった。ユリの香りを目指して失敗したかのような、独特の刺激臭がする。

ちなみに、MBスタイルというメーカー名だが某メンズファッションアドバイザーとは無関係っぽいです。

 

2.Lowsee's KEKARA

Amazon取り扱いなし

公式サイト

lowsees.com

 

40グラム1600円。スクリューキャップ。

3つの中では一番小ぶりのパッケージ。同じシリーズにTEKARAという製品もあるが、KEKARAのほうがスタイリング力が高い。

デザインがいい。パッケージのイラストは画家の林青那氏によるものだそう。KEKARAとは聞き慣れない名前だが、要は「毛から」ですね。

生命の輝きと美しさを象徴する肌と髪。

Lowsee’sは、どちらもからだの表面を包む一体のものとして捉えています。

ハンドケアから毛先へ。ヘアスタイリングから指先へ。

オーガニックだからこその2in1発想と、心地よい使用感。

香りを纏うように使いたい携帯するデイリーケアアイテムです。

(公式サイトより)

とのことで、期待していたのだが、またしても香りが強すぎて断念しました。”甘すぎないハニーの香り” とあり、たしかに甘ったるくはないものの、疑似ハチミツにありがちな刺激臭のように感じた。ヘアワックスというものは要は脂の塊なので、油脂臭を誤魔化すためか総じて香料がキツい印象がある。

 

3.COCUU(コキュウ) メロウセラム

セフテイ コキュウ COCUU メロウセラム 70g

セフテイ コキュウ COCUU メロウセラム 70g

公式サイト FORPRIS Base Make|SAFETY セフテイ DAIKANYAMA

より詳しい成分などが載っている東急ハンズオンラインショップ COCUU(コキュウ) メロウセラム 70g|【東急ハンズネットストア】

 

70グラム2000円。ヒンジキャップ。

現時点でのイチ押しです。

ブランド名が百点満点。COCUU、コキュウ、呼吸。漢字で表記すると静謐な意志を感じさせ、カタカナで表記すると哀愁の中に微かな可笑しみを漂わせてくる、この二面性が素晴らしくないですか? バイブス爆上がり。気になるのは香りだが、アロマなんかでよくあるハーブ系の青臭い香りで、特に好みというわけではないが強すぎないので大丈夫でした。”ゼラニウム&パチョリの香り”だそう。

 

というわけで

現時点での最適解はコキュウのメロウセラムです。「洗面台に”呼吸”を忍ばせる」、ちょっとエモいと自画自賛しながら使っている。それもこれも日常にバイブスを取り入れるため、生きる苦しさを少しでも誤魔化すためだ。容器とバイブスの話ばかりして肝心のヘアワックスとしての効果に全然触れていないが、そんなもん個人差があるから誰も興味ないでしょう。とりあえず「わたしには合っている」。これでファイナルアンサー。

 

スタイリングに関してはまだまだ初心者なので、これからも試行錯誤していきたい。

*1:容器口に接続しているキャップの上部をパカッと開閉する、蝶つがい方式の蓋。要は、キャップがボトルから分離しないやつ。

醤油など調味料に用いられているのもヒンジキャップの一種である。