最終更新:2020.6.6
■ 認めよう。化粧は楽しいが面倒くさい。
わたしは肌の治安がいいタイプではなく、ニキビもニキビ跡もシミも毛穴もある。ベースメイクでカバーしたいが、化粧品は基本肌に悪いものなので、メイクをしたならクレンジングをせねば肌荒れしてしまう。肌に悪いものをわざわざ塗っているという徒労感・クレンジングをせねばならないという義務感は、メイクを楽しむモチベーションを著しく下げる。
よってわたしは、クレンジング不要どころか洗顔すら不要なコスメでベースメイクをすることにしている。宣伝ではよく
・つけたまま寝られる
・24時間OK
・お泊りでのすっぴん隠しに
・薄化粧にもナイトクリームにも
などと謳われている、スキンケア効果に申し訳程度の肌色補正効果がついたクリーム類である。
この手のクリームはスキンケア機能がメインであるから、ファンデーションとしてはごく薄づきで、カバー力は微々たるものであることが多い。ほんの少し肌色を補正してくれる程度である。それでも、最低限のアラはぼかしてくれるのでとても便利だ。
この記事では、わたしが今までに試してきた、つけたまま寝られる肌色補正クリームをまとめてみました。購入して使ったものと店頭のみで試したものが混在しているのでご了承ください。レビュー集というよりは、お買い物リストとして活用してください。
ちなみに、世の中にはクレンジング不要で洗顔だけすればいいコスメというものも存在する。しかし、クレンジングだろうが洗顔だろうがとにかく落とす必要があるもの=肌に悪いものを塗る徒労感は結局普通のコスメと同じなので、個人的にはあまり惹かれない。どっちみち洗面所行かなきゃだし。
なお、洗顔不要のコスメとはいえ、使ったあとは普通に洗顔するようにしています。やはり純粋なスキンケア用品よりは肌によくないし、クリームの下に塗っている日焼け止めは洗顔で落とす必要があるからだ。それでも、つけたほうが肌にいい・最悪そのまま寝ても大丈夫という安心感があるだけで精神的な負担はかなり減る。
ADHDは日常生活を営むだけでいっぱいいっぱいなのだから、その上美容を試みたいなら、精神的コストは極限まで削ってナンボだ。
レビューするクリームは下記の11個。ドラッグストアやバラエティショップで買えるもの中心。
【2020.1.17】記事タイトルを変更しました。
- 1.キャンメイク シークレットビューティーベース 01 クリアナチュラル
- 2.ズボラボ 休日用乳液UV
- 3.クラブ すっぴんクリーム
- 4.素肌記念日 フェイクヌードクリーム 夜用CC クリアヌードピンク
- 5.エテュセ スキンミルク
- 6.インテグレート オールインワンエッセンス
- 7.インテグレート フラットスキンメーカーN
- 8.3CE(スリーシーイー) ホワイトミルククリーム
- 9.TV&MOVIE ブライトエッセンスUV
- 10.プレディア モーニングフィニッシュ
- 11.KANEBO フレッシュデイクリーム ライト
1.キャンメイク シークレットビューティーベース 01 クリアナチュラル
公式サイト シークレットビューティーベース | CANMAKE(キャンメイク)
現時点でのわたしのスタメンはこれ。
15グラム650円。チューブ容器。半透明の白っぽいベージュ色の乳液。無香。
極小パールで毛穴を自然にぼかしてくれる。白浮きしない。
衛生面も安心なチューブ容器。縦の長さはポケットティッシュ以下なので、ミニポーチで持ち歩くのに最適だ。同じ “シークレットビューティーシリーズ” には、洗顔不要の肌色補正パウダーもある。
▼パッケージ裏
2.ズボラボ 休日用乳液UV
公式サイト ズボラボ|休日用乳液 UV|SANA
30グラム1200円。チューブ容器。パステルイエローの乳液。
24時間OK系のクリームには珍しく、日焼け止め効果(SPF28・PA++)があるのが嬉しい。
しかし、乾燥するとポロポロとカスのように浮くのが気になった。また、ツヤがあるというよりはギラギラしたオイリーな質感で「塗っている感」が強く、肌馴染みが悪い。
この商品はわたしには合わなかったが、ズボラボというブランドのコンセプトはまさにADHD向けなので注目している。ラインナップ拡大に期待したい。
ズボラボ|“ずぼら”な女性に贈る、超楽ちんなスキンケアブランド-SANA
3.クラブ すっぴんクリーム

クラブ すっぴんクリーム マシュマロマット パステルローズの香り 30g
- 出版社/メーカー: クラブコスメチックス
- 発売日: 2015/09/14
- メディア: ヘルスケア&ケア用品
- この商品を含むブログを見る

クラブ すっぴんクリーム ホワイトフローラルブーケの香り 30g
- 出版社/メーカー: クラブコスメチックス
- 発売日: 2018/09/12
- メディア: ヘルスケア&ケア用品
- この商品を含むブログを見る
公式サイト すっぴん美人の必需品!人気のフェイスクリーム【公式通販】
30グラム1200円。チューブ容器。カラーバリエーションが2種類。「パステルローズの香り」はピンク色のクリームで血色を与える。「ホワイトフローラルブーケの香り」はグリーンのクリームで透明感を与える。
1のキャンメイクや2のズボラボよりも固めのテクスチャで、マットに仕上がる。わたしの肌色には合わず、どちらも白浮きしてしまった。香りもあまり好みではない。個人的にはコスメは無香料が理想だ。
24時間使用OK系コスメの中では知名度が高く、比較的どこの薬局でも買えるのがメリット。同じ “すっぴんシリーズ” に、洗顔不要の肌色補正パウダーがある。
4.素肌記念日 フェイクヌードクリーム 夜用CC クリアヌードピンク

素肌記念日 フェイクヌードクリーム 夜用ジェルCCクリーム クリアヌードピンク 30g
- 出版社/メーカー: 常盤薬品工業
- 発売日: 2017/08/16
- メディア: ヘルスケア&ケア用品
- この商品を含むブログを見る
公式サイト 素肌記念日 フェイクヌードクリーム
30グラム1200円。チューブ容器。ベージュピンクのジェル。
偏光パールでトーンアップしてくれる。3のすっぴんクリームよりは若干ツヤ肌寄りのセミマット仕上げ。
パールの粒が大きめで、やや白浮きしてしまった。
2のズボラボと同じ化粧品ブランド・SANAが展開している。同じ “素肌記念日” シリーズに、洗顔不要の肌色補正パウダーがある。
★シークレットビューティーベース・ズボラボ休日用乳液・すっぴんクリーム・素肌記念日夜用CCの比較★
「つけたまま寝られる肌色補正クリーム」の有名どころといえばこの4種類だと思うので、軽く比較しておきます。
①シークレットビューティーベース……1グラム43円。色暗め、カバー力中、ツヤ仕上げ。無香。
②ズボラボ休日用乳液……1グラム40円。色やや暗め、カバー力中、超ツヤ仕上げ。無香。唯一UV防止機能つき。
③すっぴんクリーム……1グラム40円。色白め、カバー力高、マット仕上げ。香り強。
④素肌記念日夜用CC:1グラム40円。色やや白め、カバー力低、セミマット仕上げ。微香。
5.エテュセ スキンミルク
公式サイト スキンミルク | エテュセ公式サイト -ettusais-
48グラム1500円。ジャー容器。玉子色っぽいくすみイエローのジェル。
伸ばすとほぼ透明の瑞々しいジェルで、肌色補正効果はほとんど感じられなかった。また、エタノール配合量が多く(成分表では2番目に記載*1)、つけた瞬間にピリピリとした刺激があった。敏感肌のわたしには向かない。
ジャー容器なのも不便だ。持ち運ぶことを考えると、やはりチューブ容器が理想である。
6.インテグレート オールインワンエッセンス
7.5ミリリットル500円。プッシュ式のスポイト容器。白色の液体。
ローソン限定発売のミニコスメ。“洗顔後これ1本” “さらさらなすっぴん美肌に” を謳うオールインワン。さらっとしたテクスチャで、浸透はいいが保湿力は感じられなかった。ミネラルパールが毛穴をカバーするとのことだが、それも感じられず。表面がさらっとマットに仕上がるので、スキンケア直後のテカりを防ぐのにはいいかもしれない。ミニサイズでしか展開していないので、日常使いにするにはコスパが悪い。
▼こういう容器ね。
7.インテグレート フラットスキンメーカーN
公式サイト フラットスキンメーカー N|商品情報|INTEGRATE|資生堂
1200円。スクリューキャップのスポイト容器。白色の液体。
マツモトキヨシ限定販売。“うるおい補給しながら、毛穴の見えない明るいたまご肌になれちゃう保湿液ベースのノーカラーファンデーション” とのことで、上記のオールインワンエッセンスと同じく洗顔後これ1本を謳う “透明ファンデ”。使用感もオールインワンエッセンスと酷似しており、肌表面をさらっと覆うが保湿はできていないように感じた。秋冬は乾燥しそうだ。カバー力にはやや勝る。
8.3CE(スリーシーイー) ホワイトミルククリーム
韓国コスメは偽物が出回っていると聞くので、Amazonリンクは載せずに公式サイトだけ貼っておく。
50ミリリットル3860円。ジャー容器。白色のクリーム。
大人気の韓国コスメ、いわゆるウユクリーム(ウユ=牛乳)。牛乳タンパクエキスなどの美肌成分による長期的なスキンケア効果と、酸化チタンなどの白色顔料による短期的なトーンアップ効果の両方が見込める多機能クリームだ。
塗った瞬間に即効でトーンアップする系のコスメはここ2、3年でよく見かけるようになったが、どれも長期的な美肌作用と短期的・瞬間的なメイクアップによる白肌効果を意図的に混同して宣伝されているのは問題だと思う。塗った瞬間に白くしてくれているのは決して牛乳成分ではなく、こってり配合されている酸化チタンだ。一番有名なこの3CEのウユクリームも、公式サイトを見る限り24時間OKのスキンケアクリームとして売り出されているが、実際に触ってみた感じでは完全に白色顔料の塊だった。やはり、「普通のファンデよりは多少肌負担の少ないクリーム」程度のライトな認識で使ったほうがよさそうだ。スキンケアとしてわざわざ毎晩塗るには向かないと思う。
真っ白のクリームで、牛乳の甘い香りが心地よい。塗るとたしかに白くはなるけれど舞妓さんの白塗りのようで、わたしの肌の色には合わなかった。
何より問題なのが、白色顔料の粒子が細かいからか少しでも服につくと白く汚れること。わたしは濃色の服が好きなので、白く汚れやすいクリームは完全にNGだ(以前日焼け止めの選び方の記事にも書いた)。また、手もめちゃくちゃ汚れる。指の指紋に顔料が入り込んで、洗っても洗っても落ちない。
レビューはネガティブになってしまったが、3CEのホワイトミルクシリーズは牛乳パックを模したパッケージデザインがとても可愛いし、韓国からの伝来品というだけでバイブスが上がる*2ので、見ていてとても楽しい。同シリーズのスリーピングマスクは使っている。美容はバイブスがすべてだ。
わたしは新大久保の韓国コスメショップで見つけた。ウユクリームは、レッツスキン・ベリサム・G9など韓国の他のブランドからも沢山出ており、一部はロフトなどバラエティショップでも取り扱いがある。最近はドメブラからも類似品が出ています。
9.TV&MOVIE ブライトエッセンスUV
公式サイト ブライトエッセンスUV | TV&MOVIE公式オンラインショップ
30ミリリットル4500円。スポイト容器。ピンク色の乳液。
美容液として夜にも使える日焼け止めという位置づけ。SPF15・PA++。
ピンクパールが白浮きせずすっと馴染むが、肌色補正効果はかなり弱かった。スキンケア効果のある日焼け止めとして使うにはよさそうだが、値段が高い。
10.プレディア モーニングフィニッシュ
公式サイト モーニングフィニッシュ 01/02|PETITE MER プティメール|Predia
23グラム2400円。ガラス製のジャー容器。固形のジェルクリーム。カラーバリエーションが2種類。01番ブルーミングピンクは血色感を与える。02番クリアブルーは透明感を与える。
クリーム・日焼け止め・化粧下地・肌色補正・毛穴ぼかしの5役を兼ねるデイクリームという位置づけ。SPF25・PA++。
軟膏のように固いバーム状のクリームで、体温で温まると溶けて馴染む。シアバター配合で、この記事で取り上げた10個の中では一番保湿力を感じる。
溶かして馴染ませるのに時間がかかるのが難点。忙しい朝には向かない。ねっとりした被膜感が強いのもわたしは苦手だった。肌色補正効果も弱め。単品使いではなく保湿下地としてならよさそうだ。デザインに高級感があるし、「朝美活」というキャッチコピーには惹かれるものがある。バイブスは大事。
取り扱い店舗がやや少ない。わたしはアットコスメストアで見つけた。
11.KANEBO フレッシュデイクリーム ライト
公式サイト カネボウ フレッシュ デイ クリーム ライト | カネボウ化粧品
40ミリリットル6000円。チューブ容器。ピンクベージュがかった白色のジェルクリーム。
SPF30・PA+++。
プチプラではないが、ドラッグストアで買えるので試してみた。
ほぼ透明のクリームで、肌色補正効果はほとんどなかった。日焼け止め効果のついたスキンケアクリームといったところ。ちょっと高級なクリームと日焼け止めの兼用だと思えばコスパは悪くないかもしれない。
以上11個。わたしが今までに試してきた、つけたまま寝られる肌色補正クリームのレビューである。
■ 進化した人類、あるいは洗顔しないで寝る奴ら
わたしの基本のベースメイクは、まず日焼け止めを全顔に広げ、次に肌色補正クリームを頬とTゾーンに塗り込んで毛穴をぼかし、最後につけたまま寝られる肌色補正パウダーを全顔に(特にTゾーンは念入りに)はたいて完成である*3。気分によっては普通のファンデーションやBBクリームを使うこともある。気分と体力と相談。
繰り返すが、洗顔不要コスメとはいえやはり洗顔はしたほうがいい。スキンケア効果のみを目的としてわざわざ塗るのもおすすめしない。わたしが肌色補正クリームでメイクをするのは、スキンケア効果自体が欲しいからではない。あくまで、
◆肌にいいものを塗っているという高揚感・満足感を発生させて、メイクするモチベーションを上げるため
◆最悪洗わずに寝ても大丈夫という安心感を発生させて、メイクの精神的負担を和らげるため
である。正直、メイクしながらスキンケアもできるなんて眉唾ものだと思ってる。期待はしていない。
自分を納得させる論理を自分で作り上げることができれば、日常生活はぐっと快適になる。「ファンデは肌に悪いのにわざわざ塗るなんて虚しい」「必ずクレンジングしなきゃいけないという義務感が重苦しい」などといった不条理感(納得できない感)を抱えたまま無理やりメイクを続けるのは、精神的なマルチタスクに等しく、ADHDにとっては命取りだ。自分の感情は大事にしたほうがいい。それが一見単なるワガママ(我慢すべきもの)に見えたとしても、生じてしまった感情は消えないのだから、頭を使って解決する方法を考えたほうが快適に生きられる。
頭を使えば、たいていの感情には折り合いを付けられるものだ。感情をただ我慢して押し殺すのは、最終手段でいい。
文明は、我慢をしない「ワガママ」な奴らのおかげで進歩してきた。人類は、川に水をくみに行くのがしんどいから井戸を生み、水道を生んだ。歩くのが手間だから自転車を生み、自動車を生み、エスカレーターやエレベーターを生んだ。そして今、洗顔が面倒だからつけたまま寝られるコスメを生んだのだ。
心身が健常な人間は、既存のシステムに順応できてしまう。人類を進化させるのはいつだって、既存のシステムに順応できないマイノリティたちだ。それはたとえば子どもであり、高齢者であり、女性であり、LGBTQであり、身体障害者であり、そして精神障害者だ。「健常でない」人間は、健常な人間を想定して作られた社会に順応できない。それは、マイノリティが劣っているからではない。社会がマイノリティに追いついていないからだ。現状に満足できない者たちが声を上げることで社会は進歩してきた。マイノリティ側の人間が「(マジョリティからすれば)ワガママ」をほざくことは、正当な権利だ。それどころか、マイノリティだけがなしえる社会貢献であるとすら思う。
忍耐は美徳ではなく、思考の放棄であり、知性の退化だ。我慢できない自分を恥じて自己肯定感を削る必要はこれっぽっちもない。
セットで使える、つけたまま寝られる肌色補正パウダーについての記事はこちら。
障害者をベドラムみたいな場所に閉じ込めてはいけないのは、予算がないからや可哀想だからではないよ。社会の損失だからです。「標準的でない」とされる人間がいたとして、当人や周囲が感じる不自由感は問題意識を生じさせ、問題意識こそが技術や倫理のアップデートに繋がる。人類が進歩できる。
— 呉樹直己 (@GJOshpink) 2018年12月7日
*1:コスメの成分は、配合量の多い成分から順に記載される。
*2:バイブスが上がるとはなんぞや? 実はわたしもはっきりとは知らん。「テンションがアガる」「元気をくれる」「キラキラしてる」みたいな意味で使っています。
*3:午後~夕方に外出することが多いので、これが定番。雨天や夜でない限り、冬でも日焼け止めは欠かさない。
春~秋の日中に外出するときは、日焼け止めを一度塗っただけでは不安なので、肌色補正クリームとパウダーも日焼け止め効果の高いものに変える。
UV防御力の高いコスメは、どうしても洗顔不要とはいかなくなるが、せめてクレンジング不要のものを選ぶようにしている。クレンジング不要で洗顔料で落とせる肌色補正UVクリームについても、いずれ記事に書きたい。
【2019.11.11 追記】書きました。