買うと売り上げの一部または全部が寄付に回る商品がある。寄付や慈善というと身構えてしまいがちだが、実は身近なお店で入手できたり、庶民でも手が届く金額だったりするものもあります。そのような商品のうち、わたしの個人的興味の対象である美容分野の商品を、当ブログで紹介していきます。このようなチャリティ商品は通常、金銭による直接的な支援および困難を社会に認知させることによる間接的な支援を目的として発売されるが、前提として企業による商業的戦略の産物でもある。よって、新自由主義に与することへの懸念や、困難が知名度や人気度によって序列化されることへの批判はあり得る。わたしも、買って使うだけで満足せずに、よりよいあり方を考え続けていきたいと思う。
過去に紹介したコスメはこちら。
今回は、コスメデコルテのリポソームアドバンスト パープルリボンセットを紹介します。
1.ブランドについて
コスメデコルテ(DECORTÉ)は1970年日本発の日本のラグジュアリーコスメブランドである。運営元は株式会社コーセー。メイクアップラインではクリームアイシャドウのアイグロウジェムとピンクラメのフェイスパウダーあたりが安定した人気を誇り、比較的最近だとリキッドファンデーションのゼンウェアフルイドもヒットした。
スキンケアラインでは、独自技術のリポソームを用いた美容液が人気を博している。公式サイトによると、リポソーム(多重層リポソーム)とは、肌と親和性が高いリン脂質でできた0.1ミクロンの超微細なマイクロカプセルで、玉ねぎのように幾重にも重なった層の中に美容成分を抱えている。肌につけると角層深くまで浸透し、外側の膜から少しずつ美容成分を放出するので、持続的な保湿が叶うそうだ。含まれる美容成分はHPA酵母培養液・ビフィズス菌発酵エキス・セラミド・白樺樹液などで、さほど目新しいものではない。高級スキンケアは各ブランドそれぞれ工夫を凝らしているが、コスメデコルテの場合は美容成分そのものというよりは浸透技術で勝負しているようだ。
2.商品について
今回取り上げるリポソームアドバンスト パープルリボンセットは、リポソーム技術を用いた美容液・目元用美容液・クリームのセットである。
価格:16500円 2023年11月1日発売
内容は、リポソームアドバンスト リペアセラム75ミリリットル、リポソームアドバンスト リペアアイセラム8ミリリットル、リポソームアドバンスト リペアクリーム20グラム。女性に対する暴力撲滅運動を象徴するパープルリボンがパッケージについた限定デザインである。リポソームアドバンスト リペアセラム単体の値段(75ミリリットル16500円)でミニサイズの目元用美容液とクリームがついてくるのでとてもお得。リポソームアドバンスト リペアセラムは公式の通称「モイスチュアリポソーム」の名で親しまれており、高級美容液の大定番なので、試してみたい人はこの機会にパープルリボンセットで買うのがおすすめだ。
パッケージはこちら。
スキンケア商品なので継続使用しないと効果を語ることはできないが、一応中身を紹介しておく。
リポソームアドバンスト リペアセラム(モイスチュアリポソーム)は洗顔後直後使用推奨の導入美容液である。香りはリポソームシリーズ共通で、公式によると「肌と心を癒すような、繊細で心地よいティーグリーンフローラルの香り」。もっちりしたジェルで馴染みがよい。高保湿だが被膜感は少なく、オールインワン未満といったところ。ワンタッチで出せるポンプ容器で使いやすい。
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リポソームアドバンスト リペアアイセラムは化粧水後使用推奨の目元用美容液である。保湿成分のセラミドが豊富に配合されている。オイルフリーで、角層が薄い目元にも負担感なく浸透する。こっくりしているがべたつかない。
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リポソームアドバンスト リペアクリームはスキンケアの最後に使用推奨のフェイスクリームである。睡眠不足でも+3時間寝た肌になるというコンセプト(そういうのいいから+3時間眠れる社会になってほしいものだ)。個人的にはジャー容器のクリームは蓋を回し開ける手間が生じるし、中身と指が触れて衛生面に劣るので好みではないのだが、ジャー容器のほうが秘伝の壺っぽくて高級感はある。また、ジャー容器のほうが安定感・存在感があって洗面台の上で見失いにくく続けやすいというフォロワーさんもいた。人それぞれ自分に合う容器を選ぶことが大事だと思う。
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3.支援先
売上の一部がNPO法人全国女性シェルターネットに寄付される。
全国女性シェルターネットは、DVサポートシェルター等を運営する民間支援団体の全国ネットワーク組織である。1998年の設立後2005年に法人化し、政策提言や加盟団体を通じた被害者支援、DV相談事業受託などにより、さまざまな形態の「女性に対する暴力」の根絶を目指す活動を行っている。女性に対する暴力撲滅活動はパープルリボン運動と呼ばれ、毎年11月25日は女性に対する暴力撤廃国際日に制定されている。
日本では11月12日から25日がパープルリボン週間とされ、内閣府の男女共同参画局主導で啓発イベントなどが行われる。
コスメデコルテは毎年パープルリボン限定コスメを出し、関連イベントを行っている。
特設サイトはこちら。
今年は11月12日から12月25日まで、DECORTÉ Purple Lightup 2023と題して渋谷区宮下公園でパープルにライトアップされたツリーが飾られるそうだ。パープルライトアップには、女性に対するあらゆる暴力の根絶を広く呼びかけるとともに、被害者に対して「ひとりで悩まずに、まずは相談してください。」というメッセージが込められているとのこと。
ライトアップはパープルリボン週間である11月25日までかと思いきや、12月25日までということで、事実上クリスマス用のフォトスポットも兼ねているのがすごいですね。合理性を極めている。また、会場となる東京都渋谷区宮下公園は2020年7月にMIYASHITA PARKがオープンした場所である。MIYASHITA PARKは公園・ショッピングモール・ホテル・駐車場を一体化させた複合施設だが、再開発にあたって宮下公園で生活していた野宿者たちが立ち退きを強いられたのは有名な話である。お洒落なカフェや高級ブランドのテナントが華々しく開店する一方で野宿者の住処が奪われるグロテスクな光景が、多様な人々を包摂する公共施設であるはずの「公園」の名の下で繰り広げられたのだ。
公共性を標榜しながらその実「相応しくない」とされた人間を排除する姿勢は、古く女性が受けてきた差別に重なる。ひいてはパープルリボン運動が戦おうとしている女性への暴力と無関係ではないと思うが、商業的戦略によって開催地に選ばれたのであろう。
今回のセットにはパープルリボンセットという名がついているが、パープルリボンの意味などの情報はパッケージには記載されていない。情報を載せることで、金銭寄付による直接的な支援だけではなく、困難を社会に認知させることによる間接的な支援にもなると思うので、記載したほうがいいのではないだろうか。X(Twitter)で調べたところ、パープルリボンセットを単なるホリデーコフレと認識している人も多数見られた。
あるいは、チャリティ文化が根づいていない日本では社会貢献を強調すると「思想が強い」と受け止められて敬遠されると判断して、あえて記載していないのだろうか。とくにパープルリボン運動は近年バックラッシュが高まっているフェミニズムに密接に絡む運動なので、あり得る話ではある。
4.入手方法
各種オンラインショップと店舗で数量限定発売。現在公式オンラインでは完売しているが、楽天などで取り扱いがある。実店舗はデパートのコスメデコルテカウンター以外にもショッピングモールのセレクトショップなどで買える。
11月はルミネ(首都圏のショッピングモール)のルミネカード決済10%オフセールも開催されているので、ルミネカードユーザーはルミネで買うとお得。
\本日よりルミネカード10%オフキャンペーン開催📣✨/
— ルミネ新宿 (@lumine_shinjuku) 2023年11月9日
朝晩の冷え込みも本格化...今年の本命アウターはもうお決まりですか?乾燥シーズンに必須の保湿化粧品もルミネカードのご利用で10%オフになるお得なチャンス🙌
ご来店をお待ちしております!! pic.twitter.com/jGqhcgam0A
5.まとめ
コスメデコルテ リポソームアドバンスト パープルリボンセット
■価格:
16500円
■寄付額:
売上金額の一部
■支援先:
女性に対する暴力根絶を目指すパープルリボン運動
NPO法人全国女性シェルターネット
■入手できる場所:
各種オンラインショップ、店舗
以上、コスメデコルテのリポソームアドバンスト パープルリボンセットについてでした。
【補足】
リポソームアドバンスト リペアセラムは、2023年3月にはプロ野球選手の大谷翔平を広告に起用して大きな話題を呼んだ。
〈DECORTÉ × 大谷翔平〉
— DECORTÉ | コスメデコルテ (@decorteofficial) 2023年3月15日
『コスメデコルテ』の美容液「リポソーム アドバンスト リペアセラム」の広告に、新たにロサンゼルス・エンゼルス所属の大谷翔平選手を起用。https://t.co/bHssTzMz2B#decorte #コスメデコルテ #大谷翔平 #shoheiohtani #リポソーム #liposomeadvancedrepairserum pic.twitter.com/0UVQ1BspFH
コスメ広告は多くの場合女性芸能人が起用される中、男性アスリートの起用は珍しい。もちろん、ただ男性有名人を起用するだけなら、女性向けの販促として先例がある。しかしコスメデコルテの場合、特設サイトに男性向けの口コミを多数掲載したり男性用ギフト包装を用意したりするなど、がっつり男性に向けてプロモーションしていることがわかる。実際、男性の購入者は7.5倍にまで伸びたそうだ。
このようなリポソームアドバンスト リペアセラムの「メンズコスメ性」については次回、メンズコスメレビュー100本ノックシリーズで分析していこうと思う。
メンズコスメレビュー100本ノックについてはこちらからどうぞ。