鬱病をはじめとする精神疾患の恐ろしいところは、人をただ悲観的な気分にさせるだけではなく、日常生活にかかるあらゆる意欲を失わせることだ。平たく言うと、何もやる気がしなくなる。身体を起こすことすら億劫に感じて、横たわってばかりいることになる。これも精神疾患の一部なのだが、他人からは自己責任の怠惰や甘えと見なされやすく、当事者は内外から責められて苦しむことになる。
中でも難しいのが入浴である。2024年には「風呂キャンセル界隈」というネットミームが流行ったが、精神状態が悪いときの入浴を苦痛に感じる人はそれだけ多いのだ。
そこで過去記事では、風呂入れない問題を一時的に解決する方法として、予約不要の美容室「チョキペタ」で550円のオートシャンプーを受けることを提案した。
今回は、チョキペタと似たサービスとして、予約不要の美容室「イマトリ」のオートシャンプー・トリートメント・電気鍼ヘッドスパを紹介する。1回1650円とチョキペタよりも高額なので、風呂キャンセル勢が日常利用するのは難しいだろうが、チョキペタと同じく予約不要なので、体調が不安定な人でもハードルが低いちょっとしたエステとして利用することはできるのではないだろうか。以下で詳しくレポしていくので、参考にしてください。
1.イマトリとは
イマトリとは、トリートメントに特化した予約不要の美容室チェーンである。2024年に開店したばかりのサービスで、2024年10月現在、店舗は東京に2軒(春日店・大森店)、神奈川に1軒(伊勢佐木モール店)。今後の拡充に期待したい。
店名は「今すぐトリートメントさせてください」に由来しており、サロンクオリティのトリートメントまたは電気針ヘッドスパを気軽に受けられることが売りである。チョキペタと違って、散髪やカラーリングは行っていない。
機械によるオートシャンプーと、トリートメントまたは電気針ヘッドスパがついて、価格は1回1650円。回数券を使えば1回1320円~に抑えることができるほか、今ならLINEの友達登録で無料クーポンが1枚もらえるので、実質初回無料である。会員登録制ではないので、勧誘の電話などがかかってくる心配もない。
特筆すべきはやはり、予約不要なことだ。本格的なエステは大抵予約必須だが、これなら仕事帰りや思い立ったときに行ける。時間に合わせて外出する気力がないときも利用できる、ちょっとしたご褒美として利用してみてはいかがでしょうか。
2.オートシャンプーと電気針ヘッドスパコースを利用してみた
では、実際の流れをレポしていく。わたしは東京都文京区のイマトリ春日店を利用した。
①来店受付、前会計
来店すると、玄関に発券機がある。タッチパネル式でコースを選んで受付し、前払いをする(現金不可、完全キャッシュレス)。ただしLINEの初回無料クーポン or 回数券を使う場合はタッチパネルを使わず、スタッフさんに声をかける方式。
②荷物をロッカーに預けて待つ
受付したら荷物をロッカーに預ける。待っている間スマホを見るならスマホはポケットに入れておこう。
わたしが来店したのは平日の17時過ぎで、1人待ちだった。店内の椅子に座って待つ。
③呼び出し、シャンプー台に横たわる
(出典:サービス | イマトリ(今すぐトリートメントさせて下さい))
5分ほどで呼ばれる。LINEの無料クーポンを店員さんに見せる。
シャンプー台に座る。眼鏡を外すように指示される。わたしは大きめのピアスと小さい軟骨ピアスをつけていたが、大きいピアスだけ外すように指示される。眼鏡とピアスはサイドテーブルに置く。
この間、指示以外の会話は「どうやってイマトリをお知りになりましたか」のみ。わたしは友達に教えてもらったのでその旨答える。
④オートシャンプー
首元にタオルを巻かれる。台が倒れて、目隠しの紙を載せられる。でっかいヘッドホンみたいな器具で耳周りを固定され、隙間にさらにタオルを詰められる。「かゆいところないですか」みたいな茶番のやり取りはなく、終始システマティックにさくさく進みます。
水濡れガードが完了したら、いよいよオートシャンプーに入る。ドーム型の機械がかぶせられ、フルフェイスのヘルメットみたいに蓋を閉められて、機械の中へ。
強いシャワーみたいな水流の束が頭にかかる。マッサージみたいで気持ちい。角度を変えて何度も水流の束が当たる。水圧で毛穴まで洗われる感覚。
個人的には、チョキペタよりも水流が強く、チョキペタよりも気持ちいいように感じた。
⑤marbb
次はmarbbというサービスに移る。公式サイトによると、marbbとは水に空気をナノレベルで混合させるナノバブル発生システムらしい。最小径0.5㎛(マイクロメートル)の超微細な気泡が髪と頭皮を徹底洗浄する。気持ちいい。
これはチョキペタにはないサービス。イマトリのほうが高価格なぶん、よりエステっぽさを志向しているようだ。
⑥はちみつパック
わたしは電気針ヘッドスパコースを選んだので、ここで頭皮にはちみつパックを塗られる。これは手動。
トリートメントコースを選んだ人ははちみつパックはなしで、ここでトリートメントに入る。手動。美容室クオリティのトリートメント剤を使っているとのこと。
⑦電気針ヘッドスパ
はちみつパックが終わったらいよいよ電気針ヘッドスパ。突起がぐりぐり回る機械を、頭皮に強く押しつけられる。電気の出力は最初は弱めで、「ぴりぴりしないですか~」と声かけがあり、だんだん強くしてもらう。よくわからないので二段階目でストップしたが、もっと攻めてもよかったかもしれない。
電気針ヘッドスパを受けるのは初めてでよくわからないが、頭皮の筋肉層が電気刺激されて頭皮のコリやフェイスラインのもたつきが改善されるらしいです。とりあえず気持ちはいい。
⑧簡易的なトリートメント
電気針ヘッドスパコースにも軽いトリートメントはついてくる。ささっともみ込んですすぎ。
⑨トリートメントミスト
トリートメントミストを吹きかけられて終了。
わたしはLINEの無料クーポンを使用したが、勧誘などは一切なかった。最後に「回数券もあるのでよかったら試してみてくださいね」と言われるだけ。
⑩自分でドライヤーする
ドライヤースペースに案内されて、自分でドライヤーする。ドライヤースペースにはドライヤー、ヘアオイル、ヘアアイロンが揃っている。メーカーはすべて高級ブランドのリファ(!)。最近流行りのリファのロックオイルも試すことができる。
また、イマトリはリファの正規取扱店でもあり、ドライヤーやヘアアイロン、美顔器などのリファ製品の割引販売の案内があった。リファビューテックドライヤースマート定価38000円のところを29900円、リファカールアイロンプロが定価25000円のところを19500円など、そこそこお得なようだ。リファ製品の購入を検討している人には耳寄り情報だろう。公式LINEから注文できる。
⑪退店
リファのドライヤーで乾かしたら退店。タオルは背後の使用済タオル入れにin。
退店のときに店員さんに断る必要はない。会釈しながらぬるっと出ましょう。
以上、サービスの流れでした。
わたしの場合、入店から退店まで30分ほどだった。待ち時間は込み具合によっても違ってくるだろう。
3.まとめ、チョキペタと比較、デメリット
総じて、個人的には満足度の高いサービスでした。チョキペタと違って店舗が少なく、価格もワンコインとはいかないので日常使用には向かないだろうが、ちょっとリフレッシュしたいときにはいいんじゃないでしょうか。施術や店の雰囲気も、チョキペタよりは高級志向で、それなりにリラックスできると思う。予約不要、タッチパネル受付で人と会話しなくていいなど、抑鬱プレイヤーに嬉しいシステムはチョキペタと同じである。
なお、チョキペタには550円追加でドライヤーまで店員さんにやってもらえるシステムがあるが、イマトリにはないようなので、ドライヤーを持つ気力もないガチの抑鬱プレイヤーはやめておこう。
デメリットはチョキペタ同様、オートシャンプー中は閉鎖感と騒音があることだ。わたしは平気だったが、人によってはパニック発作を誘発するかもしれない。MRIが苦手な人は注意したほうがいいかもしれません(もちろん閉鎖感も騒音もMRIほどではないが)。
チョキペタと同じく、オートシャンプー中も店員さんは近くに待機しているので、無理だなと思ったら声を出して中断してもらうことは可能。オートシャンプーの機械の蓋は閉めても完全に密閉されるわけではないので、周囲の声も聞こえるし、自分の声も届く。
以上、イマトリのレポでした。店舗数がもっと増えたら仕事帰りなどに気軽に利用しやすくなると思うので期待したい。これはチョキペタにも期待している。便利なサービスが都市部にしかないのはもったいないことである。
イマトリとチョキペタの方式サイトを再度貼って終わりにします。イマトリの公式インスタグラムによると、LINE追加で初回無料サービスは2024年10月末までなので、無料で試したい人はお早めに。
抑鬱を生き延びるための、部屋の中でできる工夫についてはこちらから。