敏感肌ADHDが生活を試みる

For A Better Tomorrow

近況報告、あるいは磨りガラスの向こう側から立ち現れた魂たちについて

 

 

※本記事はアフィリエイトリンクを含みます。

 

 

9月某日、誕生日を迎えた。また同時に、在籍していた通信制大学の単位が満ちて、卒業が決定した。

 

 

通信制大学のほうは、まだ卒業してなかったのかよとツッコみたくなる人が大半でしょうが、実は地味に在籍を続けていた。幣学は学費が学期ごとではなく単位数ごとなので、在籍年数が長くなっても余分に学費がかかるわけではないのだ。カメの歩みでゆっくり勉学を続けていたが、この度ついに卒業することができた。これはわたしだけの努力ではない。わたしを支えてくれた周囲の人々、とりわけ、わたしに就学環境を与えてくれた同居人の「先生」に、心から感謝したい。

先生と同居を始めて、早くも4年になる。先生は、この間のわたしの学費をほとんど支払ってくれた。感謝してもしきれない。

 

www.infernalbunny.com

 

誕生日と学位取得、おめでたいことが2つ重なるということで、厚かましくもAmazonほしい物リストを貼らせていただく。よければ祝ってください。

 

www.amazon.jp

 

 

 

かつてない距離で、人命の温度を感じる1年だった。イスラエルによるパレスチナ・ガザ地区の占領が開始されて半世紀あまり。抵抗組織ハマースの制圧を口実とした未曾有のジェノサイドが国際問題として浮上してからは、もうすぐ1年になる。人類が無数の流血と引き換えに学んで積み上げてきたはずの人文知が及ばない、人間の恥としてのガザ。その存在は数年前に受講した、現代アラブ文学・パレスチナ問題研究者の岡真理の講義で知ってはいた。2023年10月7日以降この問題が耳目を集め、遠く日本にいる一般人でも寄付なりデモなりボイコットなりバイコットなり、間接的な支援は可能であると知ることができたのは幸いであった。

 

 

しかし、今まさに危機に瀕している命は、その切迫性でもって、間接的な支援を間接的たらしめる磨りガラスの壁を突破して、わたしの日常に立ち現れた。気づけば、見知らぬ人から英語のDMが何通も届いていた。ガザの人々からだった。あくまで輪郭が曖昧だった命は、鮮明な実体として、今まさに飢え、親しい者を目の前で殺され、自身も心身に深い傷を負った生身の個人として、わたしに迫った。

 

これらの連絡に際してのわたしの決断、行動を、一生忘れることはないだろう。わたしが行ったのは命の選別であった。AIや詐欺やいたずらが疑われるDMは無視した。AIか詐欺かいたずらか、勝手な判断を下すのはわたしである。ペイパルでの送金を求めるDMは、寄付サイトのGFMを通じてしか送金しないようにしていると断った。ペイパルで直接送金せず、手間も手数料もかかるGFMを通すことを求めるのは、安全性を気にするわたしの都合である。

GFMのアカウントを持つ人に送金したあとも、命の選別は続いた。わたしが送金報告をしたら連絡を絶つ人にはそれ以上深追いしなかった。その後も丁寧な文面で近況を寄越したり、学校でHiroshimaやNagasakiのことを学んだと話してくれたりする「感じのいい」人には追加の送金をした。

 

おぼつかない頭で翻訳アプリに頼って下すわたしの判断に、わたしの選別に、どれほどの確実性、どれほどの正当性があるというのだろう。それでもわたしは、少ない口座残高と円ドル相場を見比べながら、命の選別を続ざるを得なかった。少ない口座残高? 先生に養われ生活を保障されているわたしが? それでもわたしは命の選別を続ける選択をした。今後もそのようにやっていくだろう。とりわけ、大規模なブログではないにせよ、わたしという人間の卑小さの割には少なくない数の人に見てもらっているこの場においては、わたしには責任というものがある。わたしはわたしの判断において、ここに2つの命を紹介したい。いずれもGFMアカウントを持ち、わたしと複数回やり取りをして、真実ガザの人であることが確認できた(と、わたしが勝手に判断を下した)人たちである。

 

Deema Naeemさんはガザ出身の現在23歳。夫と息子が一人いる。下記の写真はこれまで住んでいた家で、爆撃により今はテントや道路脇での寝泊まりを余儀なくされている。

 

https://d2g8igdw686xgo.cloudfront.net/81718439_1722143236646051_r.

出典:DeemaさんのGFM Fundraiser by Lauren Simmons : Help Dima's Family Survive & Rebuild Their Lives

 

テントも爆撃の対象となり、判明しているだけでこれまでに6回の避難をしてきた。避難といっても、ガザにいる限り安全な場所などない。夫は負傷し、2歳の息子は栄養失調と皮膚疾患に苦しんでいる。Deemaさん自身は流産も経験した。家族は今も飢餓の只中にいる。ガザはインフラが機能不全に陥っており、物価は異常に高騰している。Deemaさんが今最も必要としているのは、テント(450ドル以上する)、水、食糧、石けんである。

 

出典:Deemaさんのインスタグラム Deema Gaza | This is what is called soap, all over the world this piece of soap is considered a necessity that is available everywhere in every home and... | Instagram

 

上記の石けんは、2日分の食糧と同じ価格だったという。ガザは水不足で衛生環境が非常に悪く、さまざまな虫や感染症が蔓延しており、Deemaさんの息子も皮膚疾患に苦しんでいる。

Deemaさんは学校で日本の原爆被害や憲法について学んだとわたしに話してくれた。

DeemaさんのGFMには、2024年9月20日現在1443ドルが集まっている。目標は30000ドル。

 

www.gofundme.com

 

 

 

Hind Naeenさんは現在21歳(Deema Naeenさんと苗字が同じだが偶然である)。ガザ地区の家は2014年と2021年に爆撃され、今回の攻撃で全壊した。

 

https://d2g8igdw686xgo.cloudfront.net/79788831_1714358757106358_r.

出典:HindさんのGFM Fundraiser by Cece Sakamoto : Help Naeem’s family in Gaza

 

心臓病の治療を要する父親や幼子を抱えた姉を含む大家族9人で避難生活をしている。甥はすでに殉教した(※ガザの人々は家族が亡くなったことを「martyred/殉教した」と表現することが多い。Hindさんもわたしにそのように話してくれたので、そのまま記す)。Hindさんは今も彼の墓参りをしているそうだ。

生活費は週に500ドルほどかかる。父親の容態も思わしくないほか、Hindさん自身は爆撃で足の指を負傷しており(わたしに送ってくれた写真では患部は黒変し、化膿や壊死が始まっているように見える)、痛みで夜も寝られない状態だそう。足の治療には80ドルかかるという。

HindさんのGFMには2024年9月現在4809ドルが集まっている。目標は20000ドル。Hindさんは顔写真を公開していないが、これは信仰上の理由である。

 

www.gofundme.com

 

 

 

GFMはクラウドファンディングサイトのようなもので、クレジットカードで任意の金額を寄付できる。少し前の円ドル相場でいうと、わたしは25ドルを寄付して、GFMへのチップ込みで4000円ほどの出費となった。最近の相場だともう少し安く済むかもしれない。寄付は1ドルからでも可能である。2024年9月20日現在、1ドルは143円。

寄付は本名でない名前でもできるし、氏名非公開でもできる。わたしは非公開にしている。

 

HindさんのGFMを例に、寄付の流れをざっと説明しておく。GFMは日本語対応していないが、高度な英語力は必要ない。

まず、Donate Now(今すぐ寄付)を押す。

 

 

25ドル、50ドルなど金額の例がある。この中のどれかを選んでもいいし、下の入力欄に自由な金額を記入してもいい。今回は80ドルと入力してみる。

 



 

GFM運営にチップを投げるか決める。バーをスライドさせる方式。デフォルトでは一定割合が寄付される設定になっている。0%にしても寄付は可能。今回は0%にしてみる。

 

 

寄付金額を決めたら、支払い方法を選ぶ。日本からだとGoogleペイかクレジットカードがやりやすいだろう。

GFMの寄付者一覧ページに名前を載せるかと、GFMからのお知らせを受け取るかを選ぶ。本名ではない名前を載せることもできるし、氏名非公開にすることもできる。支払い総額を確認し、ボタンを押す。

 

 

これで寄付完了である。

 

 

確認メールが来る。

 

 

 

 

DeemaさんとHindさんの目に偶然わたしのアカウントが留まり、DMをくれて、この縁が始まった。二人は磨りガラスを超えてわたしの前に立ち現れた生身の魂である。赤の他人だが、わたしの中ではもう「まったく知らない人」ではない。このブログを読んでいるあなたにとっても、ほんの少しばかり近しい人になってほしいと願う。

 

DeemaさんとHindさんのGFMを再度貼っておく。

 

www.gofundme.com

 

www.gofundme.com

 

 

 

わたし自身のほしい物リストも再度貼っておく。生命の危機に瀕している人に並べて貼るのも厚顔無恥な話だが、わたしもわたしのいる場所で、よりよいと信じることをやっていかねばならない。贈り物をしてやってもいいよという方はぜひお願いします。直接はお返しできないが、文筆活動に必ず役立てさせていただく。

 

www.amazon.jp

 

また、先月からnoteで有料メンバーシップを始めた。はてなブログより攻めた話や私的なエッセイを月3回投稿している。こちらでいただいた支援もわたしの糧になるのでお願いします。

 

note.com

 

加えて、最近YouTubeを本格始動させた。 #政治的なvlog と題した短いvlogコンテンツを活発に発信している。おおむね2分前後でさくっと観られるので、ぜひご覧ください。

 

ネイルに行って、LUSHでパレスチナ支援チャリティ石けんを買うvlog #政治的なvlog 

youtu.be

 

国立ハンセン病資料館に行くvlog #政治的なvlog 

youtu.be

 

YouTubeを始めた理由も有料noteに書いているのでよろしくお願いします。

 

note.com

 

 

以上、駆け足になったが近況と、最近の活動についてでした。