ネコハナは、2024年2月22日(猫の日)に発表された花の宅配サービスである。近年、花屋の店頭で花を選ぶ時間はないけれど自宅に花を飾りたい人向けの「花のサブスク」系のサービスはたくさんあるが、ネコハナの特色は、猫が誤って食べても安全な品種かつ無農薬栽培の花だけを扱っていることである。多くの猫オーナーがそうであるように、わたしも猫の安全のため家に花を飾る楽しみを諦めていたが、今回ネコハナを利用してみたので、レポしていきます。現在は首都圏の一都三県に限られたサービスだが、順次拡大予定とのこと。
1.ネコハナについて
猫オーナーにはよく知られた話だが、猫にとって多くの花は猛毒である。猫は元来肉食動物であり、肝臓の代謝経路が犬や人とは異なるので、植物の成分を代謝することができない。猫にとって危険とされている植物は700種以上あり、命に関わる中毒症状を引き起こすものも多い。たとえば、切り花としてメジャーなチューリップやアルストロメリアを含むユリ科の植物は、花・葉・茎・球根・花粉すべてが猫にとっては有毒であり、花粉が混ざった花瓶の水を舐めるだけでも急性腎不全を発症し死に至ることがある。
そんな中、ネコハナで取り扱っている花は、アメリカ動物虐待防止協会ASPCAが定めるPlants Non-toxic to Catsリストに則った猫に毒性のない品種かつ、無農薬・有機栽培のものに限られるという。これで家に猫がいる人も家に花を飾ることができるし、家に猫がいる人への贈り物にすることもできるというわけです。これは便利!
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運営元は株式会社ネコハナ。代表取締役の庄野舞氏は東大卒の獣医師かつ起業家という異色の経歴の持ち主である。堀江貴文のオンラインサロンHIUと田端信太郎のオンラインサロン田端大学の出身でもある。堀江貴文も田端信太郎も炎上マーケティングと称して差別的言説を流布するスタイルで知られているが、HIUや田端大学くらい大規模なサロンともなるとサロン主催者の言動に賛同している人ばかりではないだろう。
2.注文してみた
さて、早速注文してみました。
2024年4月現在、配送範囲は一都三県(東京・埼玉・千葉・神奈川)のみ。4月から10月のみのサービスなので注意。11月から3月は休止期間である。
1回限りのギフトコースとサブスク形式の定期便コースがある。花の種類や色などは選べず、サイズのみ選択可能。
ギフトコース
Mサイズ 4800円
Lサイズ 6800円
XLサイズ 8800円
LINE等で贈ることができるデジタルギフトカードもあり
定期便コース
Sサイズ 3300円
Mサイズ 4500円
Lサイズ 6500円
2週間に1回 or 1カ月に1回で選択可
いずれも送料760円がかかる。
今回わたしはギフトコースのMサイズの花束を注文した。送料と合わせて5560円。
佐川急便で到着した。受取日時指定可。
色味などは選ぶことができないが、今回は青紫系の花束でした。綺麗!
A4変型判の雑誌と比較するとこんな感じの大きさ。Mサイズのボリューム感の参考にしてください。
説明書と、花瓶転倒防止の粘着シールがついてくる。
猫は肝臓の代謝経路が他の動物と異なることから、多くの植物が“毒”と言われています。
そのため、一般的に流通している切り花を猫がいる空間で飾ることは、猫の健康被害を引き起こすリスクがあります。
ネコハナでは、そんな猫たち、そして猫オーナーのために、安全性の高い品種だけをみなさまのご自宅にお届けするお花屋さんです。
お花の栽培にあたって、猫がお花をくわえたり、食べたりしても安心なよう、完全無農薬・化学肥料不使用にこだわっています。
早速食卓に飾ってみた。この家に引っ越してから、花を買うのは初めてである。青臭い香りが一人暮らしのころを思い出して懐かしい。これはテンションが上がる!
早速猫が寄ってきました。
匂いを嗅いで葉っぱを食べようとしたので注意しました。わが家の猫は、餌ではないものを食べようとしても、軽く制止すればそれ以上執着することはないので助かっている。ネコハナの花は安全とはいえ、餌ではないのだから食べさせないに越したことはないだろう。
うちの猫はコップを倒して遊ぶことはしないのでおそらく大丈夫だが、不安な人はできるだけ重たい花瓶にしておくのがよいだろう。
3.花の名前を調べてみた
花の名前を示すカードなどはついていない。
非営利団体アメリカ動物虐待防止協会ASPCA(The American Society for the Prevention of Cruelty to Animals)のPlants Non-toxic to Catsリストは、ネットで公開されている。
ざっと見たところ、日本で多く流通している草花ではベゴニア、ツバキ、竹、フェンネル、胡蝶蘭、ヒマワリなどが安全なようだ。
【2024.4.18 追記】誤って危険な花を一つ挙げていたので削除しました。ご指摘ありがとうございます。いずれにせよ植物の猫への毒性は研究途上の分野で、今後新説が出る可能性もあると思われます。
上記リストを参考に、今回の花束をできるだけ同定してみた。
メインの青紫系の花々はヤグルマギクだ。英語名Cornflowerとしてリストに載っている。
青、薄い青、薄紫、薄ピンク、ピンク、紫など、同系色のグラデーションが美しい。
つぼみが垂れ下がっている白い花はキンギョソウだろう。英語名はAntirrhinum MultiflorumかWithered Snapdragon。
葉っぱが細くてスモーキーな香りがするのはローズマリー。肉料理に合うハーブである。せっかくなので料理に使おうかな。
独特の刺激的な芳香があるハーブ系の植物が猫に安全なのは意外だが、ローズマリーやバジルなど一部のハーブは安全で、猫草として利用されるものまであるそうだ。
細くてギザギザの葉っぱはキャロットフラワーではないかと思うが、わたしの知識では確信が持てなかったのでご存じの方は教えてください。セリ科のなにかだとは思う。
4.まとめ
痒いところに手が届く素敵なサービスだと思います。今までは、猫がいる家に花を飾りたかったら安全な花を自分で調べるか、リスクを承知で猫の手の届かない場所に置くしかなかった。ネコハナを利用すれば、届いた花をそのまま自由に飾ることができるのである。特別な来客がある日に合わせて注文するのも便利そうだ。
とはいえ、一般的な花のサブスクサービスの相場は500円~2000円程度だと思うので、わたしの経済力からすると残念ながら継続利用は難しく感じた。もちろん、ほかのサービスにはない花の選定作業などがあるので高価になるのは仕方ない。経済的余裕のある人向けのサービスなのだろう。個人的には、1輪から3輪程度の一輪挿しコースもあれば利用しやすい。今後は一都三県から対応地域を拡大していくとのことだが、コースも増えたら嬉しい。
また、11月から3月が丸ごと休止期間なのも注意が必要である。この時期はクリスマスや年末年始、歓送迎会など花束が必要な場面が多いし、街に緑が少なくなる冬こそ家に花があってほしいと思うが、寒い時期に猫に安全かつ無農薬栽培の花を確保するのは難しいのだろう。
以上、ネコハナのレポでした。
精神疾患やADHDなどで、日常生活に割けるエネルギーが少ない人間でも切り花を楽しむコツは過去記事をご覧ください。
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