敏感肌ADHDが生活を試みる

For A Better Tomorrow

お花のある生活を維持するために。ADHD流、花瓶の選び方

 

 

 

クリーム色の花。

 

 

部屋に生花を飾る習慣を持つようになって、そろそろ2年になる。ADHDとして、この習慣を維持するポイントは花瓶選びにあると感じたので、文章にまとめておきます。花がある生活はよいものだ。興味がある人は参考にしてください。

 

 

 

 

バイブスには従おう

まず大前提として、使いたい花瓶が決まっているのならそれを使えばいいです。花を飾る目的は人それぞれ違うと思うが、おおむね、目で見て楽しんで気分をリフレッシュさせるとか、そんなところだろう。つまり、見た目の綺麗さが非常に重要。見目麗しい花瓶を見つけてときめいたなら、それはなによりも強力な動機になります。ADHDは脳の報酬回路に不全があるので、モチベーションの安定出力が苦手なことが多いが、すでに動機があるのならそれに従えばいい。

ちなみに、花瓶に限らず、整理整頓も外見の美しさが動機づけになります。片付けが苦手でも、部屋にある収納用具がおしゃれなデザインであれば、その美しさを損なわないようにしようという意識が働くので、やる気に繋がりやすい。百均の適当なプラスチック棚なんかをゴチャゴチャ買わないほうがいいのはこれが理由です。デザインが優れていない収納用具は、綺麗な状態を維持しようというモチベーションを助けてくれないので、片付ける気力を削ぎます。お金がなくても、収納用具はせめてニトリか無印良品かスリーコインズで、最低限の規格を揃えて購入したほうがいいと思います。百均は、デザインがチープなばかりか、商品の入れ替わりが激しくて一度品切れすると二度と入荷しないことも多いので、必然的に規格がバラバラになってしまい、部屋が整いません。

 

店頭やオンラインショップを探して、これだ!この花瓶を自分の部屋に置きたい!というバイブスを感じたなら、遠慮なくそれを選びましょう。

 

 

 

今から花瓶を探すときの2つの条件

わたしの場合は、特に使いたい花瓶があるわけではなかったので、花を買いはじめてからしばらくは、飲料用のガラスコップや空き瓶を流用していた。そのときの経験も踏まえて、花瓶を買うときは、以下の2つの条件を重視して選びました。

 

条件① 重い、倒れにくい

ADHDはマルチタスクが不得手なので、なるべく頭を使わずに過ごせるように日常生活を組み立てておくべきだ。たとえば、座卓の上に花瓶を置くなら、ちょっと卓を揺らしたり手が当たったりしたら倒れるような軽い花瓶ではいけない。部屋に水の入った開口容器を置いておくのって、普通にリスキーですからね。「乱暴に扱ったら倒してしまうかも」と頭の片隅で意識しながら生活するのは、精神的なマルチタスクに等しく、脳のパフォーマンスをじわじわと下げてきます。花を目で見て楽しみつつ、しかし日常生活では花瓶の存在を意識せずに思いっきり動き回れるようにしておくべきだ。

本当は、手や足が触れることがなくて絶対に倒れない位置に花瓶を置くのが一番いいです。閉めっぱなしにしている窓の近くとか、部屋の四隅にはめてある板の上(コーナーラック)とか。しかし、わたしの住んでいるワンルームアパートにはそんな余剰スペースはないので、すべての場所にわたしの手や足がぶつかって揺れる可能性があります。であれば、花瓶のほうを大きく重くしてしまえばいい。ちょっとやそっとのことでは倒れないものを選んで、遠慮なく部屋の中で動き回ろう。

 

▼昔、飲料用のガラスコップを花瓶にしていたときの写真。軽いので、しょっちゅう倒れそうになって危なっかしかった。

クリーム色のガーベラ2輪。

 

条件② 口が大きく開いている

口が大きく広がっている花瓶を選べば、花の量が多かったり茎が太かったりしても、なにも考えずに遠慮なくどかんと投げ入れることができます。また、口が広いと、スポンジを持った手を突っ込んでゴシゴシ洗うことができるのが便利です。細長いブラシなどの専用の掃除道具を使う必要がなく、普段の食器洗いの延長線上で洗うことができる。さらには、口が広い花瓶は通気がいいので花が長持ちするという大きなメリットもあります。花の健康のためにも、開口部が大きい花瓶が好ましい。

 

▼昔、空の酒瓶を花瓶にしていたときの写真。口がすぼまっているので、茎が細い花しか入らないし、内部の掃除もできなくて不便でした。

ウイスキーの瓶にピンクのカーネーションが活けてある。

 

以上2つの条件を踏まえて、わたしが購入したのは、ニトリのフラワーベースタンクSです。

 

www.nitori-net.jp

 

 ガラスの花瓶を手に持っている。

 

味も素っ気もない、ただの四角いガラス容器ですが、シンプルなのでどんな花にもマッチする。そしてなにより、重くて安定感があります。幅7.5×奥行7.5×高さ20センチのガラス製で、ガラスの厚みは4ミリくらい。重さは680グラムもあります。ピンとこないかもしれないが、680グラムってけっこう重たいです。上の写真のように片手で持つのも苦しいくらいの重量感がある。ちょっとしたダンベルかと思うくらい。

 

▼ほぼ500ミリリットルのペットボトルと比べるとこんな感じ。実質、鈍器。

花瓶とキレートレモンのペットボトル。

 

しかしこの重さと安定感のおかげで、花瓶を倒す心配はほぼなくなった。今は、なんの気兼ねもなく好きなときに好きな量の花を買って、豪快にぶち込んで、好きな場所に飾ることができます。

 

紅白のアルストロメリアを生けたところ。

 

これが、現時点での、わたしにとって最善の花瓶です。

 

世の中には、華奢で繊細なつくりの美しい花瓶もあります。しかし今のわたしには、壊れ物を日常的に扱う精神的余裕がありません。それを嘆くのではなくて、今の自分にできる限りの最善を試みていけばいいと思っています。華奢な花瓶が無理なら、鈍器のような花瓶を使えばいいんです。ちなみにわたしは、今よりもっと鬱がひどかったときは、花瓶を用意したり洗ったりすることすら困難だったので、ペットボトルを使い捨ての花瓶として使っていました。

 

赤いガーベラがキレートレモンのペットボトルに活けてある。

 

おしゃれな人が営んでいる「ていねいな暮らし」ができなくても落ち込む必要はない。これからも、鬱やADHDの人間なりの整った暮らしを模索していこうと思います。

 

【補足】

この記事の公開日は2020年5月11日月曜日、つまり母の日の翌日だ。母の日に限らず、イベント明け・祝日明けの数日間は、花屋さんでお花が割引価格になっていたり、いつものスーパーの生花コーナーが充実していたりします。こういう機会に、お花のある生活を始めてみるのもいいんじゃないでしょうか。

 

 

 

わたしが花を買う目的の話。花のサブスクを利用しない理由

以下、余談です。個人的な、生花を買う目的の話。

わたしは、花が欲しくて花を買うのではなくて、花を買えるような生活をしている証として花を買っている節があります。だって、花にお金を使うなんて、いつでもできるわけではないので。腹が膨れるわけでもなく、実生活に具体的に役立つわけでもない嗜好品にお金を払うのは、勇気が要るじゃないですか。現実問題としてお金は必要だし、仮に花を買えるくらいの小銭は財布の中にあったとしても、精神的に逼迫してたら絶対に出せない。

だから、お店で花を選んで(感性の維持が必要)、買って(経済力と精神の余裕が必要)、持ち帰る(自転車移動だとかさばるから、計画的に買う思考力が必要)ことができる日は、一カ月のうちほんの数日しかないんですよね。そういう精神的に安定している日をもっと増やしていくのが、人生の目標といっても過言ではありません。わたしにとって、花屋で花を買える日は特別な日なのです。花は、ただのインテリアではなく、わたしの精神のバロメーターなのだ。

なので、個人的には、お花の定期宅配サービスには惹かれない。花が部屋にあること自体が目的なのではなく、花を選んで買ってお世話できるような精神状態を維持するのが目標なので、自分で選んだわけでもない花が自動的に配達されてきても意味がないのです。

 

とはいえ、常に花を飾っておけるのは、単純なインテリアとして魅力的だと思う。生活の潤いにはなりそうなので、いずれ試してみるかもしれません。花を買う習慣がない人が、まず「家に花がある状態」を体験してみるために利用するのもいいんじゃないでしょうか。

 

 

【2020.9.15 追記】

2020年夏、一人暮らしをやめて共同生活を始めたのをきっかけに、花を飾る習慣をストップしました。詳しくは以下の記事にて。

 

www.infernalbunny.com