サンクチュアリへと旅立った人へⅡ

 

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前回の記事に引き続き、友人が20代で逝去した話をしています。読みたくない人は読まないでください。

 

***

 

最後に二人で遊んだのは、彼の死の16日前である。まだ記憶に新しい。信じられない。本当は生きてるんじゃないかと思ってしまう。

だけど同時に、心は寂しがっている。心のほうが正しい。

彼はまだ20代だった。心が優しく、頭が切れ、多才だった。容姿も―― 他人の外見のことなんかあんまり言及したくないが、彼はステージに立つ仕事をしていたことだしあえて言ってしまおう―― 非常に美しかった。

そのような要素をあげつらって彼という人間を惜しむことが、彼の選択を毀損することになってしまわないかが心配だ。

わたしは、友人の端くれとして、彼の意思を尊重したいし、悲願を成就したというのなら真っ先に祝福したい。

(彼の診断名は承知しているし、病態として衝動的に行動してしまうケースがあるのも知っているが、わたしが関知できるのは彼の行動の結果だけである。内面ではない。内面は彼だけのものだ。)

 

結局。わたしが口に出せるのは、寂しい、というわたしの個人的感情だけだ。それに尽きる。

寂しい。

寂しい。

好きな人にもう二度と会えないのは。

夢枕とか、どんな手段でもいいから、どうか姿を見せてほしい。

訃報を聞いてからずっと、寂しさに囚われている。

 

後悔であれば、いつか落としどころが見つかるかもしれない。悲しみであれば、時間とともに癒えていくのかもしれない。

でも、寂しさはどうやって消せばいいんだろうか。時間が経っても、彼の不在は変わらない。

 

 

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昔好きだった児童書『ダレン・シャン』に、バンパニーズという架空の生き物が登場する。

ダレン・シャンの世界観によると、バンパイアは人間を殺さず、気絶させるなどして少しだけ血をもらうだけだが、バンパニーズは人間の喉を切り裂いて血をすべて飲み干す。結果的に人間を殺すことになるが、その代わり、その人の魂を、おのれの中に取り込むことができるのだという。

魂を取り込む、魂と一緒に生きていく、というのが具体的にどういうことなのか、わたしにはわからなかった。作中でもはっきりとは描かれていない。

屍の血を啜るくらいのことは試してみてもいいのだが、彼の肉体は条例に則って火葬されたと思われる。美しい顔は、さぞ美しい骨になったことだろう。

 

美しい骨は語らない。

まだ骨になっていないわたしだけが、こうして益体もない言葉を重ねている。容赦なく続いていく「生活」をこなしながら、一日一日を逃げ延びている。光明は見えない。

 

 

ファンタジー文庫 ダレン・シャン全12巻セット (小学館ファンタジー文庫)

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