ココ・シャネルは「口紅は落ちる過程にこそドラマがある」と言ったそうだが、現代に生きる発達マドモアゼルであるわたしとしては、口紅にはできるだけ落ちないでいてほしい。メイクは武装なのだから、頑丈であればあるほど嬉しい。わたしの口紅を落としていいのは、自分の意志で使うクレンジングミルクだけだ。他人のキスなんかじゃなく。ドラマは、わたし自身がこの唇で作りたい。
ということで、ここ数カ月愛用している落ちないリップの話をします。
公式サイト マシュマロルック リップスティック 商品情報|RIMMEL LONDON
リンメルのマシュマロルックリップスティック 030 メルティブラウン。
リップはブラウン、特に、焦土のようなダークブラウンが大好きなのだが、大抵のブラウンリップは明るすぎたり赤茶だったり紫が強すぎたりする。赤味にも青味にも黄味にも寄らないザ・茶色はプチプラでは見つからないのかと諦めていたところ、リンメルの新色(2018年9月発売)に救われた。やや赤味はあるものの、ほとんどニュートラルな理想のブラウンだ。程よいツヤのあるセミマット。そして塗り心地が素晴らしい。名前の通り、マシュマロのような柔らかな塗り心地でスルスル伸ばすことができる。
買ってから気づいたのだが、この塗り心地良さが大きなメリットだった。
メリット① フチが綺麗に塗れる
こういう濃色のリップは肌色とのコントラストが強いので、丁寧に塗らないとフチがガタガタになって目立つ。しかしこのマシュマロルックリップスティックは塗り心地がとても滑らかなので、少ない力で少しずつ伸ばすことができて失敗しにくい。不器用な方にもいいと思います。
メリット② (濃色にしては)塗り直しやすい≒落ちにくい
リップクリーム感覚で、鏡を見ずに適当に塗って唇を擦り合わせて伸ばしても大丈夫なくらい伸びがいいので、塗り直しが一瞬でできる。マシュマロルックリップスティックの落ちにくさ自体はごくごく平均といった感じで、飲み食いしたら順当に落ちていくのだが、楽に塗り直せるということはある意味落ちないのと同じだ。
リップを持たせたいのなら、がっつりマットかティントに頼るしかないと思っていたが、塗り直しやすさを極めることで色を持たせるという発想もあったのだ。塗り直しにかかる時間的・精神的コストの低減。これは目から鱗でした。
この塗りやすさを生かして、最近は、NARSのパワーマットリップピグメント 2775 チョコレートブラウン Done it again のお直し用として持ち歩いている。
公式サイト パワーマットリップピグメント | NARS Cosmetics
NARS パワーマットリップピグメント 2775 チョコレートブラウン Done it again は、先日お友達にプレゼントしていただいたもので、これぞプチプラでは絶対に出会えない最強にダークなブラウンだ。やや紫寄りで、わたしの唇ではもはや黒に近い色になってサイコーにヴィラン。リキッドタイプなのでお直しにはやや時間がかかっていたのが、マシュマロルックをリップクリーム感覚で用いることで万事解決した。
スウォッチ*1はこちら。左がNARS一度塗り、右がリンメル三度塗り。自然光下、無加工。
オフホワイトの紙に描いてみたのがこちら。上がNARS一度塗り、下がリンメル二度塗り。
NARSの茶色のド茶色加減が伝わるだろうか。最高でしょう。リンメルは写真だとオレンジっぽく見えるが、わたしの唇ではもっとニュートラルな濃ブラウンに発色する。
ちなみに、気になるお味は、リンメルは無味無臭。NARSは匂いはかなり強い。粘土にバニラを混ぜたような、独特の匂いがする。しかし、あまりいい香りではないというだけで、刺激臭ではないので、個人的には全然OKでした。
ということで最近は、NARSとリンメルで充実のブラウンリップライフを楽しんでいる。
そろそろ冬も終わり、春夏コスメが気になってくる頃だ。引き続き、負担にならない範囲で美容を試みていきたい。
パワーマットリップピグメントの色名はすべて70年代のロックミュージックからの引用で、Done it again は、グレイス・ジョーンズの “I’ve Done It Again” に由来するとのこと。グレイス・ジョーンズといえば『007 美しき獲者たち』の女殺し屋ですね。アンディ・ウォーホルのミューズでもあった、伝説のニューウェイヴ・イコン。ジャマイカ系アメリカ人である彼女の肌の色と個性をリスペクトした色ということなんだろうか。
エッジィな経歴や、アンドロジナスでアバンギャルドを極めた容姿の印象とは裏腹に、 “I’ve Done It Again” は湿度を感じさせるバラード。
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*1:swatch、つまり「見本」。コスメの発色を肌などで試した写真のこと。コスメでリストカットする文化のことではない。
▼Instagramの検索結果。手首の内側を使うのがオーソドックスなスタイルで、はっきり言って自傷痕そっくりである。