天使の眼をした大型犬に会ったときの話をする

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Lに会った。
以前にもブログに書いた彼である。

www.infernalbunny.com



Bも来てくれて、LとBとわたしの3人で会った。

晩夏の東京。21時。渋谷で用事を済ませたわたしが、東京での常宿であるカラNET渋谷道玄坂店を目指して歩き始めたのが90分前。

モスバーガー渋谷道玄坂店に寄ってチーズバーガー250円を買っている間に、Lがツイキャス配信を始めたのが70分前。

病のせいでしばしば曖昧な状態に陥るLだが、今夜は珍しく、明瞭な口調でツイキャスできるくらいには覚醒していることを知ったのが60分前。

わたしが東京に来ていることを知ったL「ぼくには、自分から友だちに会いに行ける自己肯定感がない」。50分前。

一方的にアポを取りつけ、ハンバーガーを丸飲みして店を飛び出したのが40分前。

合流することになったBと連絡を取り合いながらJRに揺られたのが30分前。

Lの家の最寄り駅に到着したのが20分前。
Bが来たのが10分前。
久しぶりに会うBと近況報告をしあっているうちに5分前。

2分前。Lから電話。応答したが、電波が悪いのか向こうの声が聞き取れない。

道路の向かい側に、スマホを耳に当ててこちらに近づいてくる人影を認める。1分前。
電話を切った。

晩夏の東京。日没をとうに過ぎた時間。陽だまりに温められた清潔な藁布団のような香りをまとって、Lが現れた。背が高い。黒々とした大きな眼がわたしとBを捉えた。

いぬの眼だ、と思った。人間のおろかな所業をなにもかも見透かして、そのすべてを哀しみすべてに怒ることができる賢いいぬの眼だった。


強靭な四肢は、見事な毛並みは、綺麗な犬歯は、しかし世界そのものと比べてどれほどの力があるというのだろう。世界のすべてを哀しみすべてに怒り、すべてを喜び祝い涙を流すことをやめられない、おろかで、賢く、けなげで、高潔ないぬの眼だった。


いぬは後ろ足で立って尾を振って突然の訪問者2人に歓迎の意を示してくれて、こうしてわたしは天使の眼をした大型犬に会ったのだ。