店頭にカランコエ咲くおまへはただ社会がわれを許さぬと泣く
「皆さんが当然のやうにやつてゐることくらいしかできない 息とか」
見えるものすべてに責められる昼のヒルナンデスは銃口に似て
痛嘆の相づちに困り手を握る体温ばかりがあかあか燃える
目の下に凝り固まつた影色がおまへを侵し支配するやう
リビングに死体のやうに伏す夜は冷蔵庫もまたおかずのモルグ
泣き声が聞こえるならよし最低限生きてはゐると知らせるサイン
どうしても首を吊ると言ひ張るのならば今夜は一人で寝ちや駄目
明日わたしにおはようを言つてくれないかできる範囲でかまわないから
気絶するやうに眠つた横顔の白さがわたしを祈りに駆り立て