死にたいと言はれ死にたいねと返す 圧力鍋には初日のカレー
冷蔵庫ヨーグルトの墓鬱蒼と週に二回の宅配は止まらず
窓ぎはに百舌鳥の贄あり神無月 薬の残機は長月に切れ
十一時行けず十五時なほ行けず十九時も逃して病院が閉まる
行きそびれ電話しそびれた仕事場に持参しそびれた菓子折りを食ふ
お電話です産業医からですおまへを壊した仕事場の手先からです
労働をまづ忘れよと主治医が言ひ忘れさせよと産業医に書く
今すぐにシュークリームを食べないとこの空白は埋まらないらしい
医薬品包装用アルミ箔 食前食後の祈りの名残り
社会とか時代いつそドルガバの香水のせいだよ今夜はお寿司
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短歌を詠みたい、という気持ちが急に湧いたので、作った。より正確に言うと、出てきた(わたしにとって短歌は「出てくる」ものである)。実に3、4年ぶりではないか。脳の、錆びついていた部位に新鮮な風を送るような感覚があり、楽しかった。マジで楽しかった。風は通ったものの長年の錆はまだ取れていないし、そもそも今も昔も基礎がなってないので、優れたものができるはずもないが、とりあえずは楽しさの記録として十首放出する。
気が向いたら続きます。気が向かなかったら、これっきりです。
【2020.10.27 追記】続きました。こちら。