手の甲の血管が目立つようになったな、と思った。
まずこれが、去年までの写真。
2020年夏 撮影日失念
2021年2月
2023年5月
そしてこれが、ここ半年の写真である。
2023年12月
2024年3月
2024年4月
2024年6月
2024年7月
2024年7月
どうですかね。
撮り方や手の角度にもよるだろうが、目立ってきた気がする。
心当たりはある。2年4カ月継続しているテストステロン投与(男性ホルモン治療)には、血管が隆起する作用があるのだ。
ただ、血管隆起は加齢によっても起こる。
わたしがテストステロン投与を開始した26歳という年齢は、一般的には若さと呼ばれるものが失われていく年頃である。
思えば当たり前のことだが、トランスの医療的経験は、病院の外における人生そのものの変化と並行して体験される。「純粋」な変化をモニタリングするのは簡単ではない。
わたしの血管にしても、どこまでテストステロンの影響でどこまで加齢の影響かは定かではない。
わたしは男性に同化することを目指していない。
手の甲の血管が多少浮き出ているくらいなら、女性の分類で生きるのに大きな支障はない。
でも、今以上に声が低くなったら?
濃いひげが生えてきたら?
注射をやめるタイミングはどこだ?
もちろん、どんな姿であろうと、努力すればそれなりにやっていけはするだろう。それこそ、男性として生まれて女性に移行する人々がそれなりにやっていっているのだから。しかし、日常生活にかかるコストは少なければ少ないほどいい。
男性に移行しないホルモン治療のゴールは誰にもわからない。医師も頼りにはならない。わたしが自分で見定めるしかない。
女性として生まれた健康な身体に男性ホルモンをぶち込むなんて、せずに済むならしないに越したことはないのだ。このマラソンを走ることは誰にも望まれていない。医療的リソースを削り、自らの健康を削りながら、それでも走ると決めたのはわたしである。メリットもデメリットもわたしが一人で引き受けるしかない。
今週もまた、ネオリベ病院に通う。