秋に入る蟋蟀が鳴く障害に甘えるなかれと捨て垢が言ふ
一度二度食事を抜くごと一つ二つ鳩目の跡は横へ閉じゆく
にんげんは飯さえ食つてりや上等つて言うは易しと社会を横目に
簡単に老後の話などしてくれる歯科医の勧めでインプラントす
故郷から届いたスイカあをあをとこの家でいちばん生き生きしてるね
昔から生きにくい子でしたと言ふご母堂の手の深爪思ふ
完熟と腐敗の境は曖昧でメロンよタイトロープに生きろ
カップ麵は3分先の生存を疑ふことなくくつくつ煮える
今日生きた結果としての空腹を癒すため食らふ(生きたいかは別)
どうしたつて明日は来る死にたいと生きたくないの狭間で生きる