人の鞄の中身を覗かせてもらうのが好きだ。ブログやTwitterやInstagramを通じて発信されるそれはどれも持ち主の個性や考え方を表していて、見ていて飽きない。鞄という限られたスペースになにを詰め込むかの取捨選択には、その人が生活の中でなにを重視しているかが表れると思っている。鞄には人生が表れると言ってもいい。わたしも、わたしの人生を支えてきた鞄の中身を記録してみようと思う。
なお、わたしは大学生なので、ビジネス用ではなくて私用のバッグということになる。そのつもりで読んでください。では、やっていきます。
1.ADHDが鞄に求める条件
ADHDを抱える人間として、不便感なく使える鞄の条件は以下の4つだと思っている。
①容量が多い。すべての持ち物を一カ所で管理できる。
前提として、わたしは行き先ごとに鞄を変えることはしません。どこに行くにも同じ鞄を使い、中身を入れ替えることもしない。入れ替えていると高確率で移し忘れが発生してしまい、出先で必要なものが手元になくて泣くことになるからである。だから、あらゆる行き先・シチュエーションに対応できる物品を持ち歩く必要があるので、荷物は多めです。しかし、鞄が重いことによる負担よりも、わたしにとっては鞄の中身を入れ替える精神的コストのほうが苦痛なのである。
よって鞄は、大量の荷物が入る大容量のものを志向することになります。メインバッグとサブバッグの使い分けなどもできない人間なので、大容量のものを1個。
②開口部が大きい。内部の一覧性が高い
①で書いたように荷物が多い人間なので、鞄の中はどうしてもごちゃつく。よって、少しでもパッとものを取り出せるように、鞄の開口部は大きければ大きいほどいいと思っています。具体的には、縦型の鞄よりも横型の鞄のほうがいい。
例えばトートバッグなら、こういう形のではなくて、
こういう形のがいい。
縦型の鞄は上下にものが積み重なるため、下のほうのものが見えにくいのもあって、なるべく避けています。
③ポケットが複数ある
個人的に、内部が仕切られている鞄が苦手である。ものは雑にぶち込んで終わりにしたいので。よって、仕切りがない代わりに、細かいものを入れるポケットが複数あってほしいと思っています。内側はもちろん、外側にも複数あってほしい。スマホや鍵や駐輪券など、鞄に入れっぱなしにするわけではないものを一時的に収納するには外ポケットが便利です。
④頑丈である。汚れが目立たない色である
マルチタスクが苦手なので、鞄を一度手に取ったらもう鞄に注意を払わなくていいようにしたい。つまり、気を遣って慎重に扱わなくてもいい、頑丈で汚れが目立たないものがいい。色は黒などの濃色で、素材は丈夫なナイロンやレザーがいいだろう。
以上4つが、わたしが鞄に求める条件である。
2.実際に使っている鞄
上記の条件を念頭に買った、実際に愛用している鞄がこちら。
モンテロッソという、あまりピンとこない(失礼)ブランドのものです(ちなみに検索しても情報が少なく、ピンとこない)。ショッピングモールの一角の閉店セールで投げ売りされていたので3000円でした。元値もたしか2万円くらいで、さほど高級なものではありません。しかし、上記4つの条件をクリアしている上に、紐を調節すればリュックにも肩掛けにもなるという柔軟さが大変便利だ。普段はリュックとして使って、レジ前で財布を出し入れするときなどは肩掛けとして使っています。リュックは、持っているときに両腕を完全に弛緩していいのがメリットだと思っています。ハンドバッグやショルダーバッグは態勢維持が必要なので地味に脳内リソースを食う。
紐を絞るとリュック型になります
素材は本革だが、非常に軽い。鞄だけの重さは450グラムでした。革製品としての特別なお手入れはしていませんが、問題なく使えている。
デメリットとしては、柔らかい素材なので自立はしないことだろうか。自立する鞄のほうが中身は取り出しやすいと思われる。また、底鋲もついていないので地面に直置きするのは好ましくない。
また、大容量ではあるがノートパソコンは入りません。今のわたしはノートパソコンを日常的に持ち歩く生活はしていないので、今のところ問題はない。
雑誌と大きさ比較
ガバッと大きく開く口。内張りが明るい色なので中身が見やすい
3.鞄の中身紹介
さて、お待たせしました。いよいよ鞄の中身の紹介です。荷物がたくさんあるので長いです。
外側のポケット
まずは、外側のポケットに入っているものから。外側には3つのポケットがある。
◆スマホ
スマホは服のポケットに入れることが多いが、鞄にしまうなら外側のポケットにしまう。
ちなみに、わたしはポケットのないボトムやアウターは基本的には買わない。ADHD流の服の選び方については過去記事に書きました。
◆無印良品の水ボトル
無印良品の店舗で無料で給水できるボトルです(このボトル指定というわけではない)。ウイスキーの瓶のような平べったい形状なのがかさばらなくていい。容量は330ミリリットルで、重すぎず少なすぎず、外出先でちょっと喉を潤したり薬を飲んだりするにはちょうどいい量です。外出先で心身の状態が悪くなったとき、水を飲むと落ち着くことがあるのだが、いちいち水を買う気力はないことが多いし近くに自販機や店があるとは限らない。そんなときにこれが1本あるとだいぶ違います。個人的には500ミリリットルのペットボトルは持ち歩くには重い。
◆カードケース
スマホと同じポケットに入れる。財布は別にあるが、Suicaと、最もよく使うクレジットカードだけはカードケースに分けて入れている。近所のスーパーに買い出しに行くときはポケットにこれだけ入れていくこともある(行き先によって荷物を入れ替えることはしないと書いたが、本当の近所ならこれだけ取り出すことはあります)。
カードケースとしては珍しく、二面がオープンになっているクリアファイルみたいな仕組みで取り出しやすい。
万が一、急に現金が必要になったときのために、五千円札も忍ばせてあります。
◆AirPods Pro
ADHD向けの服の選び方の記事にも書いた通り、わたしは外出先で身体から離す可能性があるもの(傘・手袋・帽子など)には基本的にお金をかけないようにしている。紛失を前提にして安物をどんどん買い替えるほうが気が楽だからだ。しかしワイヤレスイヤホンだけは、ノイズキャンセリング機能を求めてAirPods Pro(3万円)を買いました。音楽を聴かないときも、つけておくだけで感覚過敏による疲労感が軽減されます。このAirPods Proも、外側のポケットに入れておく。
ポケットはマチつきで、容量に余裕があるので、家の鍵もここに入れている。
キーホルダーはカメです。カメが好きなので。
わたしのキーホルダー2つとハンカチとコンパクト見て pic.twitter.com/Djzi2MIRuF
— 呉樹直己 (@GJOshpink) 2021年4月1日
内側のポケット
鞄の内側には、仕切りポケットが2つとチャックつきポケットが1つある。仕切りポケットは今は使っていないので、チャックつきポケットの中身を紹介します。
チャックつきポケットはものを素早く取り出すのには向いていないので、使用頻度の低いものを入れている。
◆色つきリップクリーム
COVID-19の流行拡大で日常的にマスクをつけるようになって以来、口紅を塗る習慣はなくなっているが、たまに色味が欲しい気分のときにつける。今使っているのはUNO(ウーノ)のオールインワンリップクリエイター。本来はメンズコスメで、ティント成分が含まれていて唇の水分に反応して薄ピンク色に発色する仕組み。元のスティックは灰色で、暖色のリップクリームに心理的抵抗がある人でも使いやすいようになっているのが面白い。
過去記事でも紹介しています。
◆メモ帳とシャーペンつき三色ボールペン
普段のメモはスマホアプリのEvernoteで取っているが、メモ魔なので、万一のためにアナログのメモ帳も欠かさず携帯している。最後に勝つのはアナログ。
◆マスクの予備
COVID-19が流行してから欠かせなくなったマスク。予備を入れておけば万が一忘れて家を出てしまったときも安心。
◆文庫本
本は常に持っておきたい派。
◆ファイル(コンサータ登録カード・自立支援医療受給票・診察券・精神障害者保健福祉手帳)
個人情報のためファイルの中身の写真は省略
月1回の精神科の通院に必要なものをミニサイズのクリアファイルに入れている。わたしの処方薬の一つであるコンサータは、国によって流通が管理されているので専用のカードを提示して処方してもらう。自立支援医療制度は、精神科での負担額が1割になる制度で、受給票を提示して適応してもらう。
精神障害者保健福祉手帳もついでにまとめてあります。
このクリアファイルは、出先で紙ものをもらったときしまうのにも使う(美術館のパンフレットなど)。
リュック本体
リュック本体の中には、ポーチ2つ(メイクポーチがあるときは3つ)と雑多なものが入っている。
◆財布
財布は二つ折り派です。ある程度大容量で、レシートなどを多少溜めてしまっても大丈夫なものがいい。
ちなみに財布の中にヘルプマークも入れてあります。必要に応じて取り出して鞄につける。
◆タオルハンカチ
ハンカチはタオルハンカチと決めている。ペラペラのポリエステル生地のハンカチは使わない。このタオルハンカチはいただきもので、わたしの好きなカメの柄です。
◆モバイルバッテリー&ケーブル
ビックカメラで適当に買ったモバイルバッテリーですが、薄型で邪魔にならなくて重宝しています。ケーブルはType-C・micro USB・Lightningの三股を常備している。なぜなら面倒なことに、普段使っているガジェットが、スマホの充電はType-C、モバイルバッテリー自体の充電はmicro USB、Air Pods Proの充電はLightningと三種類が必要だからです。このモバイルバッテリーを買った当時使っていたスマホがmicro USB式だったのでバッテリーもmicro USBなのだが、次買うときはType-Cに統一したい。
出先でmicro USBとLightningを使うことはほとんどないが、家で充電するときにわざわざケーブルを探し回る手間を省きたいので、最初から三股に統一してあります。
◆エナジーゼリー
出先でのエネルギー補給に。
◆日焼け止めスティック
出先での日焼け止めの塗り直しはスティック型の日焼け止めに限る。愛用しているのは紫外線予報のさらさらUVスティック。手指を汚さずに手軽に塗り直しできます。SPF50+・PA++++のウォータープルーフで、なおかつ石鹸で落とせる。身体に使っても別途クレンジングする手間がなくていい。
日焼け止めスティックのすすめについては過去記事にも書きました。
ポーチ(大)
GUCCIのタイガーフェイスモチーフに憧れて、似たような柄を求めて買った思い出。
大きいほうのポーチには雑多な細かいものを入れている。ポーチはなるべくティッシュ入れつきのものを選ぶようにしています。
◆ポケットティッシュ
ポーチについているティッシュ入れに常備。
◆アルコールウェットティッシュ
出先で服の汚れを拭いたりと、なにかと重宝する。COVID-19が流行するようになってからは手指の消毒にも使っている。
◆眼鏡拭き
眼鏡をかけているので必須。昔は布製のクロスを使っていたが、COVID-19流行後は、マスクによる眼鏡の曇りが気になるようになったので、曇り止め防止機能つきの使い捨てクロスを使うようになった。
◆ミラー
誕生日プレゼントにいただいたものです。わたしの好きなカメ柄。
◆携帯洋服ブラシ
猫と暮らしているので、猫の毛を取るために常備するようになった。黒色の服が好きなので毛が目立つのだ。
◆ハサミ
なにかと便利。
◆有線イヤホン
ワイヤレスイヤホンを忘れたときや、充電が切れたとき用。コードは絡まったまま上等。
◆唇ピアス予備
唇にピアスを開けている人はわかると思うが、口のピアスは傷が塞がりやすい。外出先で万一ピアスを落としたら外出中の数時間で塞がってしまう可能性もあるのだ。痛い思いをして開け直したくないので、念のため予備を持ち歩いでいる。
◆ショーツライナー
ショーツライナーは毎日つける派。愛用しているのはサラサーティのコットン100おりものシート ワイド&ロングです。一般的なショーツライナーよりもやや大きいサイズで安心感がある。
小柄な人にはサラサーティの2枚重ねのめくれるシートもおすすめです。一度つけたら2回使えて便利。わたしにはサイズが合わなかった。
◆多い日用タンポン
出先で思いがけず月経が来たときのため。ナプキンよりタンポン派。
◆ナプキン
タンポンを入れてさらにナプキンもつけると安心。
ポーチ(小)
小さいほうのポーチには薬類を入れています。
◆点鼻薬
鼻づまり持ちなので必須。新ルル点鼻薬は、点鼻薬で有名なナザールよりも容器が小さいので持ち運びに適していると思う。
◆絆創膏
幸いにもまだ出番はない。
◆乗り物酔い止め
乗り物に酔いやすいので必須。乗り物酔い止め薬は数多くあるが、個人的にはアネロンは眠気の副作用が起こりにくいと感じる。
◆鎮痛剤
月経痛や突然の歯痛に。
◆下痢止め
腹痛を起こしやすいので念のため。
◆カフェイン錠
眠気覚ましに。
◆処方薬
精神科で処方されている薬も持ち歩いている。個人情報なので内容は伏せる。
◆マウスリフレッシャー
人と会わないので最近は使わなくなった。
◆コンドーム
そのときどきのセックスパートナーの有無に関わらず、護身用として常備している(パートナー以外からのデートレイプを想定)。普段パートナーと使っている定番品がある人はそれを入れておけばいいと思うが、特にこだわりがないときはこのサガミオリジナルがおすすめです。プラスチック容器に入っているので頑丈。よくあるアルミパウチのは袋が破れやすくて潤滑剤が染み出てくる。
メイクポーチ
メイクをしているときは、メイク直しポーチを追加する。
◆ティッシュ
メイクポーチはティッシュ入れつきのものしか買わないと決めています。
◆鏡
拡大鏡つきコンパクトが便利。
◆油とり紙
ティッシュで十分な気もするので、いずれ外すかもしれません。一応持っている。
◆フェイスシェイバー
眉毛をささっと剃る用。
◆その他適宜コスメ
その他、そのときしているメイクに合わせて適宜メイク直し用コスメを入れます。
真冬のみ追加
◆マルチクリームチューブ
真冬は、日焼け止めスティックを抜いて、ハンドクリーム代わりのマルチクリームチューブを入れます。定番はニベアクリーム。必ずチューブ容器のものがいい。缶容器はNG。
真夏のみ追加
◆フェミニーナ
夏季にアトピーが悪化する体質なので、緊急のかゆみ止めとしてフェミニーナジェルを持ち歩く。デリケートゾーン用軟膏だが、オーソドックスなかゆみ止めとして虫刺されなどにも使えます。
以上、わたしのバッグの中身一覧でした。
4.いい女はバッグが小さい?
いい女はバッグが小さい、というまことしやかに囁かれる俗説がある。理屈はよくわからないが、持ち物が足りなくても助けてくれる人(女中や男性)がいる証、つまり社会的身分や性的魅力がある証ということなのだろうか。あるいは、小さいバッグで事足りる管理能力、つまり定型発達っぽさを問われているのかもしれない。いずれにせよ、わたしが目指すべくもないスタイルだ。小さいチェーンバッグに細巻きの煙草と赤リップと裸のお札だけ入れて、ピンヒールで颯爽と闊歩する人に憧れていた頃もある。でも、家の外で自分を快適に保とうと思ったらこれだけの荷物が必要だし、遺伝性の外反母趾だからピンヒールは履けない。
理想のカッコいい姿にはなれなくても、わたしはスタイリッシュを諦めてはいない。わたしなりの判断基準の下で厳格に組み上げた鞄の中身を、わたしは愛している。大きめのバッグで、今日もわたしはよりよい生活を試みている。
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【2023.5.31 追記】
2年越しにアップデート版を書きました。