過去記事に書いたように、わたしは2020年夏から一人暮らしをやめて、双極性障害の兼業作家である「先生」と共同生活をしている。
書生として、衣食住*1と勉学に集中できる環境と小遣いを提供していただく代わりに、わたしに委託された家事のひとつに炊事がある。これは、ただ三度の食事を作成して食卓に並べるだけではなく、先生の望みであるダイエットに協力するとか、 先生の食事管理とでもいうべき内容まで含まれている。その様子を、ここに記録していこうと思う。オープンな情報とすることで、 ほかの誰かの参考になったり、こちらにも有益なフィードバックがあったりしたら幸いである。題材の性質上、先生のパーソナルな生活状況を公にしてしまうことになるが、書生のバランス感覚と先生の最終チェックによって、必要分のプライバシーは守られていると信じる。わたしが書く文章で言及される先生の個人情報はおおむね、先生が自身のSNSなどですでに明かしてきたものに限られている。
1カ月目から8カ月目の様子については、過去記事に詳しく書いた。
1カ月目。先生の胃炎が寛解し、食生活が安定するまで。
2カ月目。先生の食事管理を担ったことによる、書生のメンタル面の変化について。
3カ月目。ダイエットの試行錯誤、飲み物のアップデート、先生の味覚の変化などについて。
4カ月目。朝食の内容変更、夕食の副菜事情などについて。
5カ月目。節約の工夫、台所回りの生活改善などについて。
6カ月目。夕食後の時間の使い方の変化について。
7カ月目。季節の行事事情、朝のスープ事情、揚げ物事情などについて。
8カ月目。家事分担の変化、台所回りの生活改善などについて。
今回は、9カ月目の様子を記録していきます。
1.高カリウムネコチャン、持ち直す
8カ月目の記事に書いた通り、先生は2月末の血液検査でカリウムが高いと指摘されていた。そこで、食後に果物を毎日出すのをやめて、ハーブティーも毎日ではなくたまにして、代わりに白湯を出して様子を見ていました。すると、5月の再検査では見事に正常値に収まったのだった。めでたい。このまま継続していきたいと思います。
2.家事分担、その後の変化
8カ月目の記事に書いた通り、4月は先生が夕食担当だった。その後、先生の仕事の形態が固まったのを機に、5月下旬からは書生が夕食担当に戻っています。先生の仕事は、基本は在宅勤務で週1~3日出勤とのことで、在宅勤務の日は19時に、出勤の日は帰宅後すぐの20時過ぎに食べられるように準備している。
なお最近は、ご飯の写真を継続的に撮るようになった。外食でもないのに食事前にスマホを握りしめてゴソゴソするのはダサいという気持ちがどこかにあったのだが、これも日々の成果の可視化だと思って、継続しています。時間をかけて写真映えを狙うほどの意欲はないので(ごはんが冷めちゃうし)、さほどフォトジェニックではないが、ぽつぽつTwitterに上げていくことにしました。
晩ごはんは鱈の塩焼き、付け合わせにトマトときゅうり。キャベツとブロッコリーのオイスター炒め。昨日の残りのかぼちゃサラダ。食後にハーブティーと小夏みかん。 pic.twitter.com/abEXv9KxD1
— 呉樹直己 (@GJOshpink) 2021年5月20日
晩ごはんは焼き鮭、付け合わせにきゅうりとトマト。ピーマンとツナのサラダ、エリンギと玉ねぎとハムのスープ。食後にハーブティーと焼きマシュマロ。 pic.twitter.com/uJatxJl8qV
— 呉樹直己 (@GJOshpink) 2021年5月22日
晩ごはんは大根と鶏もも肉と卵の煮物、肉味噌と小松菜のスープ、海藻とミニトマトとブロッコリースプラウトのサラダ。肉味噌は先生が作って冷凍してくれていたもの。 pic.twitter.com/Or1WfQskYv
— 呉樹直己 (@GJOshpink) 2021年5月25日
晩ごはんは冷凍ハンバーグ(from 先生のご実家)、付け合わせにミニトマトとブロッコリースプラウト。しめじと玉ねぎのポン酢和え、豆腐と小松菜のすまし汁。 pic.twitter.com/ws0RI9ZkQX
— 呉樹直己 (@GJOshpink) 2021年5月26日
ちなみに、わたしが食事を作っているときに考えていることを、webメディア「ユニコーンはここにいる」様にエッセイとして書かせていただいてます(再度の宣伝)。ぜひ読んでください。
3.家庭菜園、始動
実はわたしは昔から植物を育てるのが好きで、実家では自分で花やハーブを育てたりしていた。一人暮らしのときはそんな余裕も失っていたが、先生の家に引っ越して、家の周囲にある豊かな自然を見るにつけ、土いじり欲が復活してくるのを感じていた。
COVID-19の流行もあるので、家でできる趣味は多いに越したことはない。そこで、ベランダにプランターを置いて家庭菜園をしたいと申し出たところ、意外と先生も乗り気で、家計からお金を出してやっていいことになったのです。よって、休日に二人でホームセンターに行って、道具やら苗やら種やらを買ってきましたよ。
とりあえず初心者向けの野菜をということで、買ってみたのは小松菜・小かぶ・葉ねぎ・ミニトマト。5月6日に二人で小松菜・小かぶ・葉ねぎの種まきとミニトマトの植え付けをして、5月10日に小松菜と小かぶが発芽、5月12日に葉ねぎが発芽した。
間引き前の様子がこちら。
その後も順調に成長している。ミニトマトには、5月29日現在、青い実がついています。
家庭菜園初心者なのでうまくいくかわからないが、頑張ってみようと思います。先生に新鮮な野菜を食べさせたいし、また、土いじりの精神安定効果とやらを実感したいのもある。でもこういうのって結局、卵が先か鶏が先かで、土いじりをする余裕があるくらい精神的に安定してなきゃできないよね……。まあ、なんにせよ、朝に水やりをすることで朝日を浴びる習慣がついたのはいいことなんじゃないかと思います。
以上、9カ月目の記録でした。
相変わらずわたしは、炊事・片づけ・掃除・洗濯・朝6時半に先生を起こすことなどを担当し、その代わりに基本的な生存と学習環境を保障していただいている。これが妥当な取り引きであると思えるかは人によるだろう。先生はこの程度のタスクのために安くはないお金を支出して赤の他人を住まわせているのかと驚く方もおられるかもしれない。しかし、人それぞれできることとできないことがあるというだけの話です。先生は社会人歴1X年の3X歳、わたしは大学生とはいえとっくに成人済みの2X歳であり、 お互いに自分のできることとできないことは把握していて然るべきである。無理や我慢をして破滅するのではなく、キャパシティを超えていることに関して他者に適切に援助を求めるスキルこそが望まれている。われわれは、双方納得して共同生活契約を結んでいるので、なにも問題はない。
引き続き、お互いに協力して、よりよい食生活・共同生活を試みていこうと思います。
先生がリモートワークを頑張っている間も、ねこはのんびり寝ています。 pic.twitter.com/cNXeFKJyeq
— 呉樹直己 (@GJOshpink) 2021年5月18日
*1:厳密に言うと、「衣」は毎月1日にいただくお小遣いの中からわたしの裁量で買うことになっています。食住は完全に生活費から出していただいている。