ペットは飼い主に似るというが、たしかに先生の猫は先生に似ている。どこか超俗した雰囲気をまとっていたり、挙措が静かで不意に出現したりするところがそっくりだ。なお、先生は猫至上の物言いをするので、猫が自分に近づいているのではなく下僕がお猫さまに倣うのだと主張するかもしれない。
猫は家中を自由に出入りしたがるので、わたしも、自室の扉を少し開けておいたりする。わたしがいないときに入ってへんなものを触って怪我をしては大変なので、わたしが在室してるときだけ。小さな生き物は、時折ぬるっと入ってきて、あたりのにおいを嗅いだり、わたしの足に頭をこすりつけたり、ベッドでコロコロ転がったりしては、ふいっと出ていく。
先日は、この文章を書いている最中に、ノックの音がして、精神状態がよくないときの顔をした大きな生き物がぬるっと入ってきて、わたしのベッドにぱったり倒れて、しばらく仮眠して、ふいっと去って行った。
ほんとうに、よく似ている。