もう昼も夜もわからなくなって、閉め切ったカーテンから差し込む光の加減で夜明けを知る。鉛のような身体を引きずってゴミを出す。鉛様麻痺とはよくいったものだ。一般的には鬱状態だとゴミが溜まりがちだといわれているが、最近はそれすらも通り越してゴミが少ない。食事をあまりしていないからゴミらしいゴミが出ない。今飲んでいる精神科処方薬の副作用のひとつに食欲減退があるので、その気になればいくらでも絶食できてしまう。食べ物を買うお金がないときには便利かもしれないですね。でも薬代も安くはないからトントンか。エナジーゼリーの空き袋だけが積み上がっていく。死んだ友だちが訪ねてきてデパスをくれた。そんな、フリスクを分けるみたいにデパスを差し出すんじゃあないよ。渡された錠剤は記憶にある姿かたちとは違っていて、アメリカのお菓子みたいな毒々しい色をしていて、これなに?と言いながら顔を上げたところで夢だと気づく。そもそも死人がいる時点でわかれよな。
水だけはきっちりたっぷり飲んでいる。水道は止まっていない。安全な飲み水が24時間供給される国バンザーイ。自分ちの水道が万一止まっても、公園に行けば水が飲めるなんて最高の国じゃないですか。一生出て行ってやらん。国くんのほうはアタシみたいな障害者には出て行ってほしがってるのは知ってるケド。え? 一応は先進国ぶりたいから本音を隠してるのにどうしてわかったのって? バレバレなんだよ、ド腐れ外道が。お前を使い捨てにしてやろうか。
母親に久しぶりの電話。金の無心をする。そう、わたしには、金を無心できる親がいるんですよ。バンザーイ。母とわたしは大変仲がいいが、それは離れて暮らす盟友(ともに父親に立ち向かった仲間)としてであって、同居して親と子になった瞬間に破綻するのはお互いに承知している。てか、破綻してました。金の話題だけが、われわれを母子に戻す。
金が届く。身辺を整える。近々、知人宅で掃除洗濯などをする代わりにごはんを恵んでもらう取引が発生している。人生は楽しい。いつでも楽しい。ただ生活がちょっと大変なだけだ。まだまだ足掻く余地はある。諦めるつもりは一切ない。